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作成日時:2019.08.30
更新日時:2019.08.29

【メジャー競技“じゃないほう”座談会・中編/ビーチバレー×フットサル】倉坂正人(ビーチ)×藤井桜子(ビーチ)×田口元気(フットサル)

PHOTO BY軍記ひろし

日本国内でメジャースポーツと言われるバレーボールとサッカーがある一方で、主流にはなれない“じゃないほう”の競技。それがビーチバレーボールとフットサルだ。メジャースポーツと同じように国内リーグが開催され、世界大会があるようなトップ競技でありながらも、両者は陽の目を見る機会が少ない。

ただし、「じゃないほう」ではあっても、そこで戦う選手は、メジャースポーツの選手と同じように努力を重ね、アスリートとして競技に打ち込んでいる。彼らは彼らなりに考え、それぞれの競技の発展を願う。

ビーチバレーボールの倉坂正人と藤井桜子と、フットサルの田口元気。20代中盤から後半の年代の彼らはこの先、自分たちの競技を背負っていく存在。日々、どんなことを感じながらプレーして、この先、どんなことを考えてプレーしていくのか。3者の共通点や相違点、未来へのビジョンを、語り合った。

【企画】スマートスポーツエンターテイメント株式会社
【取材】吉田亜衣(ビーチバレースタイル)、本田好伸(SAL)
【写真】軍記ひろし、吉田亜衣
【協力】フウガドールすみだ、ビーチバレースタイル、SAL

■前編はこちら

自分を伸ばせる現状だから悲観はしていない

藤井 フットサルの環境を伺ってもいいですか? どういったリーグがあって、とか……。

田口 もちろんです。今は、トップリーグ(Fリーグ)に12チームが所属しています。昨シーズンからF2というカテゴリーができて、そこに8チームがいるので、Fリーグとしては20チームですね。各チームに15人から20人くらいがいるので、Fリーガーは全国に400人くらいいます。

倉坂 フットサルって交代が自由ですよね?

田口 そうです。

倉坂 すごく交代するイメージがありますね。

田口 かなり無酸素運動が多くて長い時間のプレーが難しいので、交代しながらやります。12チームでリーグ戦を3周するんです。去年であれば上から3チームがプレーオフに進んで、プレーオフ準決勝、プレーオフ決勝を戦って優勝を争っています。あとは全日本選手権という、アマチュアを含めて予選から戦って、日本一を決める全国大会もあります。もう一つはリーグのカップ戦があるので、国内のトップカテゴリーではこの3つのタイトルを懸けて戦っていますね。そういうところで戦う選手から日本代表が選ばれます。フットサルのスケジュールとしては、だいたい6月くらいからリーグ戦が始まって、2月、3月まで続きます。

藤井 あれ、そもそもフットサルってインドアですよね? でも芝でもやっていますよね?

田口 そうですよね……その印象ですよね。

藤井 すみません、基本的すぎる質問で。屋上とかで芝でもやっていますよね?

田口 そうです。人工芝のコートですね。実は、トップリーグで戦う選手たちは基本的には体育館などのフロアで試合をします。スポーツコートを敷いたり、バレーボールなどでも使われているタラフレックスのコートを敷いてやったり。フウガドールすみだの試合は、1試合で1200から1300人くらいを平均して集客します。キャパが1500人から2000人くらいの施設がほとんどですね。

藤井 あ、私、見にいったことある! 町田にもチームがありますよね。ペスカ……。

田口 ペスカドーラ町田ですね!

藤井 思い出した(笑)。ごめんさない。サッカーを含めてカテゴリーがたくさんあるので、フットサルも芝だったかなって思い込んでいたみたいで……。

田口 なるほど、こういうことなんですね「じゃないほう」って(笑)。記憶にないと。

藤井 いやいや、記憶にはありますよ! でもなぜか一致していなくて(苦笑)。

倉坂 じゃあ、町田で見たそれはなんだと思っていたんだろう(笑)。

藤井 フットサルって芝でやる感じかと……。

田口 ははは(笑)。実際、いろんな方とお話しするときに話題になるのですが、みなさん芝でやっていると思っているようです。僕らは芝ではやらないんです。

──先ほど、「ビーチバレーは究極のバレーだ」という話がありましたが、フットサルとサッカーの関係性はどういったものなのでしょうか?

田口 もちろん、人数が11人から5人になるので、ボールに触れる回数が増えるといったことはあります。これは僕の個人的な考えなのですが、両者は同じフットボールなので、競技性が少し変わるだけ。人数が減って、バスケに近くなるイメージです。でも本質的には変わらないと思っています。かといって、サッカーがすごくうまい人がフットサルをやって、すぐにうまくできるかというとそうではない。

藤井 サッカーからくる選手が多いということでは、どういう選手が合うんですか?

田口 フットサルで活躍している選手は、フットボールの特性をよく理解している人が活躍できると思います。言い方が適切かはわからないですが、サッカーは“うやむや”にできてしまう。

倉坂 すごくわかります!

田口 サッカー日本代表では、今は特に若い選手がどんどん活躍して結果を出していますよね。でも、フットサルは意外とそうではなくて、今も代表の第一線で活躍するのは30歳を超えた選手が多かったりします。

倉坂 経験がものを言う部分が大きい。

田口 そうです。一つのミスが失点に直結しますし、勝敗を左右してしまいます。おそらくバレーボールもそうですし、(人数の少ない)ビーチバレーならなおさらそうではないでしょうか。

藤井 誤魔化せない感じはすごくわかります。

田口 サッカー以上に得点が入るスポーツではあるのですが、とは言え、10点、20点が普通に入るスポーツではありません。なので1点の重みがすごくあります。サッカーでは失点に直結しないものが、フットサルでは失点につながってしまうケースが多いです。だから若い選手は、どうしても長い時間、起用されることが少ない。スポットで起用される。ずっと活躍できる選手は、大舞台を含めていろんな経験を積んで、いいところも悪いところもよく理解してプレーしている選手だということ。そのことを痛感しています。僕自身は正直なところ、「速い」選手がいい選手だと思っています。速く動ける、素早く正確にボールを扱える、より早くロジカルシンキングできないといけないとか。来年で28歳になるのですが、そういうことはこの2年くらいでようやく考えられるようになりました。「速い」というのは、ただ速いだけではいけないと思っています。そういう「速さの質」を捉えて、脂が乗ってくる年齢が異なるのかなと思います。

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