更新日時:2020.01.13
【F1第33節/湘南×大阪】“消化試合”で史上最高のゲーム。残り5秒の逆転劇を演じた湘南。「ファン・サポーターのみなさんと(勝利のダンスを)踊れて、孝も胴上げできて、もう出来過ぎ」(湘南 奥村敬人監督)
PHOTO BY軍記ひろし
1月12日(土)、Fリーグ2019/2020 ディビジョン1 第33節、湘南ベルマーレとシュライカー大阪の一戦が駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場で行われ、湘南は5-4で勝利。
試合序盤に浦上浩生の退場でビハインドの展開を負ったものの、最後まで気迫のプレーを見せながら、残り33秒で同点とされて迎えた残り5秒、本田真琉虎洲が決勝弾を決めて劇的な勝利を飾った。
大激闘の試合ハイライトはこちら(AbemaTVビデオ)
この13年間で一番いい雰囲気で戦えた
奥村敬人監督(湘南ベルマーレ)
──今日の試合を振り返って。
まず、会場設営をしてくださった方々、ボランティアの方々、AbemaTV、J-SPORTSのみなさん、ファン・サポーターのみなさん、フットサルファン、すべての方に感謝したいと思います。
試合は、(浦上浩生が退場となった)ジャッジの部分は、本当に難しかったと思うので、何とも言えないのですが、非常に流れが悪い状況となってしまったなかで、選手たちがすごく奮起してくれて、より闘士が乗ったというか、そういう戦いをしてくれたと思います。
正直、興奮していたのでよく覚えていないのですが、選手が苦しいなかで、選手たちが話してくれた「この状況を楽しむ」ということをみんなで体現してくれました。そういうときに火事場のクソ力が出た部分もあると思います。浦上浩生の退場が選手にパワーを与えたのかもしれないですし、(中島)孝が引退するということもあったかもしれないですし、いろんな要素があったのかなと思います。
僕たちはプレーオフがない状況のなかで、とんでもない状況の試合になったなと。フットサル関係者の全員が見るんじゃないかという試合に、自分たちが大阪とできて、プレーオフにいけなかったですが、「自分たちがそこにいくに値するような力を見せよう」と話していて試合に臨んだのですが、それくらいの力が、そこそこあるのかなと。ただ、足りなかったのが事実。第1クールは5勝3敗3分、第2クールは4勝7敗、第3クールは9勝2敗で、最後に飛躍した部分はありますが、リーグを通して、33節が終わったときに何位にいるかがすべてで、現在5位にいる。それが自分たちの実力だと思っています。一回、休息をとって、全員でまた全日本選手権に向けて戦っていきたいと思います。
コーチの村松(裕樹)もそうですし、府川(俊一朗)トレーナー、GKコーチの阿久津貴志、(試合)分析をしてくれていたコーチの二見(一輝)、ライフキネティックを取り入れてくれたインストラクターの鈴木大地さん、ドクターの鈴木英一先生、二階堂宏治先生。スタッフの遠藤さんや椎野さんも、(地域普及・育英コーチの)金井もそうですし、選手のみんなが一生懸命やってくれて。僕は何もしていないのかなと思うんですけど、全員が本当に成長するために一致団結して働いてくれたことが本当に幸せというか。この13年間、僕は湘南に携わらせてもらっていますが、一番いい雰囲気で、素晴らしい仲間たちと今シーズンできたと思っていますし、最後に、ファン・サポーターのみなさんと(勝利のダンスを)踊れて、孝も胴上げできて、もう出来過ぎだと思います。
でも、想いが本当に強かったと思いますし、その想いのなかでやるからこそフットサルが楽しいし、フットサルの楽しさをみなさんにお届けすることができるのかなと思います。ただうまいだけではなく想いも乗せながら。まあ、うまかったらもっといいんですけど、もっともっと届けられるように、「湘南がFリーグ界を引っ張るという気概を持ってやろう」と話しているのですが、もっともっとやれたらいいなと思いました。
今は、正直、プレーオフに行けなかった悔しさが大きいです。もっと自分たちのフットサルを見せたかった想いがあります。そこは真摯に受けてめて、また全日本選手権に向けて一丸となってやっていきます。
──後半残り4分あたりの同点場面で、ロドリゴ選手を投入してパワープレーに。奥村監督らしいというか、「男だな」と。プレーオフ出場がないなかでの最終節で、先手を取っていった。
本当に、勝ちしか考えていなかったので。勝って、サポーターの方々と踊って、孝を胴上げする。それしか頭になかった。同点なら負けでもいいや、くらいの気持ちで。大阪は同点でもたぶん、得失点差のところでプレーオフに上がれる可能性が高かったですが、僕もそうですし、コーチの村松も「もう、パワープレーやろ」と話をしていて。いくしかないでしょ、選手を信じよう。勝ちしか考えていませんでした。
──先手を取る。
そうですね、もう絶対に勝つ、と。悪く言えば(湘南にとっては)消化試合ですけど、1節から33節まで、毎回来てくださる、北海道や大分まで来てくださるサポーターの方もそうですし、とにかく勝ちを見せたい。勝って、気持ちよく次の日を迎えていただきたい。その想いですよね。あとは孝が引退というところで。本当に半年くらいでしたけど、何年も一緒にやっているような気持ちにさせてくれた選手。(鍛代)元気とか刈込とか、チームでは(年齢や在籍年数が)上の選手の心の支えになってくれました。若手にもそうですし、本当に貢献度が高かったので、湘南だけではなく、Fリーグの功労者だと思っていますし、その選手をこの場で胴上げできたことが。僕たちの想いも強かったのかなと思います。
──「湘南がFリーグを引っ張る気持ち」と話していました。でも今シーズンはプレーオフに出場できません。そこに出場するのは、名古屋、大分と、大阪かすみだの3チーム。そういう意味では、彼らに残りのシーズンを託すというか、「自分たちはこういう試合を見せたぞ」じゃないですど、何か伝えたいメッセージはありますか?
メッセージですか……どこも強いんでね。名古屋さんも大分さんも大阪さんもすみださんも。やっぱり、僕らがいつも掲げているのは、転んでも早く起き上がってとか、華麗なプレーだけではなく、とにかく感動するのは、必死な顔してボールを追いかけたり、ブロックをしたり、ラグビーは本当に日本中が感動したと思いますが、そういう男の戦いというか。球際とか、そういうところに人は心を打たれるのかなと。
僕が以前、ロンドリーナの子どもたちのバーモントカップの試合を見にいったときに、準決勝で強いチームに当たって、先行されて、2点取られて1点返して、2点取られて1点返してみたいな感じでしたけど最終的に追いついて、PKで勝った試合があったんですけど、終わった瞬間に号泣しました。だから、心を打つっていうのは、やはりきれいなプレーだけではなく、その試合に対する想いとか、その競技にかける想いを表現している選手たちが、監督、コーチ、スタッフが集まっているチームが、引きつけると思います。
選手たちがうまいのはわかっていますし、でも、取られたら必死に追いかけて、取ったらもう一度ゴールを奪うために上がっていって、ピンチで体を投げ出して、そういうところを強いチームに見せてもらいたい。そうしたら自然と人は感動すると思いますし、お客さんも増えていくのかなと。うまい選手がボールを取られてその後に歩いていたら、やっぱり見にこないんじゃないですかね。そこはずっと心がけていて、(以前の湘南を指揮した監督の)相根澄さんもずっと言っていましたし、そういう想いを引き継いでやっています。
僕たちよりも強いチームなので、もっともっとフットサルの魅力というか、人間くささというか、そういった部分を見せていただきたいなと思います。
──大阪以外のフットサルファンにとっては、最後のバルドラール浦安とフウガドールすみだの試合への注目を残しました。すみだもすごく気合の入る展開となります。
浦安も、北海道戦をみましたが、すごくよかったので、本当にわからない。いい試合になるんじゃないですかね。僕も、楽しみにしています。
鍛代元気(湘南ベルマーレ)
──今日の試合を振り返って。
監督の話がすごいいっぱいあって、何をしゃべろうという感じですけど(苦笑)。本当に、今、客観視をしようとしています。自分もすごく(試合に)入ってしまっていたので。すごいドラマティックな試合展開で、仮にこれを外で見ていたとしてもすごい楽しかっただろうと思います。これを見ていた方もそうですし、楽しんでもらえた試合だったと思います。先行されて、このままズルズルいってしまうのかと、もしかしたら見ていた側の人はあったかもしれません。僕ら的には全然、そんなことはなくて。短い時間で失点を重ねてしまったのですが、それでも「ヤバイ」とか「ズルズルいっちゃうのかな」というのはなくて、むしろ「全然、まくれるでしょ」という雰囲気ができていました。
本当に、浦上が退場したことで、それが逆に僕らのモチベーションになりました。ウラには申し訳ないけど。マルロンのスーパーゴール……ジャッピ(本田真琉虎洲)が最後に取ってくれたり……(林田)フェリペ(良孝)が2点決めるとか、刈込(真人)が珍しく点を取るとか、本当にチーム全員で、ゴールだけではなく守備も戦って、取った勝利だと思います。これは本当にピッチにいる選手だけではなく、ピッチにいない選手も声を掛け合っていたし、ベンチに帰って来たときに外から見ていた部分を伝えたり、スタンドから見ていたメンバー外の選手も、見たら何か合図をしてくれていたし、みんなで戦えて本当によかったです。
リーグ戦はこれで最後で、残念かなって。これがまだ続くならよかったですが、続かないので、僕らがもっとこれを早い段階からリーグ開幕からできていたら、プレーオフにいけていた、かもしれないし、でもそれが僕らの実力。勝って終われたからよかったではなくて、大事なのは現実を受け止めて、今いる選手もそうですし、クラブとしても前に進んでいけたらいいなと思いました。
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