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作成日時:2021.06.29
更新日時:2021.06.29

【日本代表/WEB取材】W杯に向けた最終フェーズに突入。最終メンバーへの生き残りに向けて大事な要素は「競争力」

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リトアニアで行われるFIFAフットサルワールドカップ(W杯)に向けて、準備を進めるフットサル日本代表。6月28日から30日にかけて千葉で行われる国内合宿では、海外組である清水和也(コルドバ・パトリモニオ/スペイン)がメンバー入りを果たすなど、より本大会を意識したメンバーが選ばれた。

実際にブルーノ・ガルシア監督も「今回のメンバーから大多数が本大会に選ばれる」と明言するなど、最終メンバー14人に絞り込む最後のサバイバルレースが始まる。そんな最終フェーズと位置付ける今回の合宿についてブルーノ監督が、メンバー選考やトレーニングの狙い、さらには本大会で対戦するスペイン、パラグアイ、アンゴラについて語った。


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合宿テーマは「総仕上げとなる“洗練”」

──今回の合宿の位置づけは?

今回、W杯直前の準備に入る最後のフェーズです。国内キャンプとしては、最終調整前最後のキャンプと位置付けています。ここまで3月末から4月、5月、6月、そして今回とほぼ毎月のペースで、3日以上のトレーニングキャンプが実現できています。その延長線上にある最後の仕上げです。今回は(W杯の)組み合わせ抽選も終わって、本番での対戦相手が決まったなかで、具体的な準備に入りながら最終のフェーズに臨んでいく考えです。

──今回行われる3日間のトレーニングキャンプで上積みしたいことは?

今回の狙いは大きく分けて2つあります。1つは、これまでの話にもあったように“継続”のなかで、あらゆる側面から異なる取り組みをやってきています。チームとしての戦術的なゲームモデルの洗練だけではなく、チームビルディングの側面、フィジカルの側面などいろいろなスポットを当てるべき側面があります。それを変えながら取り組んできています。そのなかで総仕上げとなる“洗練”をさらにあらゆる分野で高めていくことがまず1つです。

もう1つは、最後の仕上げになります。ここから先のフェーズに入った時に、メンバーの最終リストを見据えて固めていかないといけません。そのなかで、選手たちがどういう競争力を見せてプレーするか。そこを見極めながら、選手選考に結び付けていきたいと思います。

──国際試合が昨年の2月から実施されていないなか、日本代表はどこまで成長できているのか?

ポイントを突いた非常に良い質問だと思います。お答えする前に、状況と認識、自分の感覚を伝えたいと思います。おっしゃる通り、何カ月も長いことトレーニングに取り組み、チームビルディングをやってきました。しかし約1年8カ月、以上にわたって、選手が自分たちの力やレベルを図ることができる本当の場である国際Aマッチを経験していません。この状況は非常に難しく悩ましいものだと認識しています。

キャンプで取り組むトレーニングの様子、コンディション、リーグのゲームなどで、どういうパフォーマンスなのかを見ることができますが、本当の国際Aマッチでしかはかれないものが間違いなくあります。それ(国際Aマッチ)がないことは、制約になっています。しかしそこに対しては、これまでプレーしてきた国際試合や国際大会の場での傾向。あとは現在取り組んでいる複数のチームスタッフのメモを反映しながら、評価をしていくことになると思っています。

──予定されていた親善試合が中止となったことで、本大会に向けた不安要素は?

国際親善試合の中止に関しては、これまでに何度もリプラン(再計画)を繰り返して、黙々と最善を尽くす気持ちをぶらさずに、適応し続けることをやるしかありません。ただ非常に残念だなという気持ちになるのは、サポーターの皆さんに対して、国内で試合をする姿を見せられていません。ようやくW杯直前にお披露目できる場ができると考えていましたが、それがなくなってしまい本当に残念で申し訳ない気持ちがあります。今の状況で海外のチームを呼び、待機期間を設けて、また試合をして戻ってもらうことを、このタイミングでセットするのは現実的ではないということも理解できます。致し方なかったのかなと思います。

この先についてですが、8月の親善試合がなくなったことを踏まえて、(w杯の)直前期に向けて試合をやる時間、試合をする回数がすごく大事になってきます。現在、リプランをしているなかで、最も大事にしているのが対戦相手のフィックス(決定)です。何とか試合をやる状況を作っていきたいことを趣旨にリプランしています。現在、他国の協会やチームとのやり取りをしています。それが近日中には固まると思いますが、どこでどういう試合をするかをお披露目できると思います。今回は国内で親善試合ができないので、そういうプランで立ち直ろうとしています。

「最終リストに向けての最後のフィルタリング」

──今回はw杯がかなり近いなかで迎える合宿だが、今回のメンバーからどれくらいが本大会に残るのか?

端的に言うと、たくさんです。今回のメンバーから本大会に選ばれる選手は、大多数であると言えます。話にもあったように、チームとしては最終リストに向けての最後のフィルタリングに向かっています。具体的な数字はもちろん言えませんが、非常に高いパーセンテージで今回の招集メンバーから選ぶことになると思っています。

──メンバーのなかでも海外組は、清水和也選手が招集されました。一方で逸見勝利ラファエル選手と森岡薫選手は招集を見送られていますがその理由は?

3人の選手について、海外に行ってもずっと追いかけている選手であることに間違いはありません。逸見選手については、向こうのリーグが終わり、日本に帰国してから待期期間を経て、このキャンプに間に合うことが現実的、物理的に困難でした。森岡選手も基本的には同じです。力は十分に知っている選手ですし、この3人のなかでも重要なタレントとして見ています。ただ、今回のタイミングで参加してもえる状況ではなかったと考えています。

そして清水選手については、タイミング的にも(招集が)適う。何年か向こうでプレーしている様子もトラッキングしてきていますし、自分が代表監督に就任した時にU-20からA代表に入ってきた選手で、それ以降の成長ぶりをずっと見ています。特にここ近年のスペインに行ってからの力の付けようは目覚ましいです。このレベルを続けてもらえれば、非常に重要な役割を果たしてくれる人材ではないかと期待しています。

──今回の合宿は本来、U20日本代表との練習試合が組まれていたが実現しなかったことへの思いは?また、今後もA代表とU20代表の対戦などはあるべきと思うか?

サッカーのA代表とU-24日本代表の試合は、不測の事態に対しての次善の策として編み出された案だったと思います。私たちの場合は私の提案というよりも、私が提案を受けて、それに対して実現に向かったものです。最初の話は合同トレーニングをやるというものでした。ただ私はA代表と違うカテゴリーの同じ代表ファミリーが試合をするというのは、本質的に違うと感じています。

A代表は目指すべき場所のはずであり、そのA代表と対戦するということが、本来のあるべき関係性ではないと思うからです。本質的に不自然な感じがあるので、個人的にはそこにフォーカスした機会は、良いものだと思っていません。ただ、U20日本代表の今の状況はA代表とも同じく、世の中の情勢を鑑みると、策が必要な事態になっていることも理解しています。

合同トレーニングをして、いろいろなものをシェアしながらA代表からU-20代表に刺激を与える。そしてU-20日本代表から先につなげる本質は理解できます。タイミング、方向性、その部分さえうまくセットできれば、非常に有効な策なのではないかなと思います。

スペイン&パラグアイは「明らかな2強」

──W杯の組み合わせが決定し、 スペインやパラグアイといった対戦経験がある国と同居することになったがどう、改めて今回のグループに関する印象は?

パラグアイ、スペイン、アンゴラとの試合がありますが、なかでも目を引くのはスペインとパラグアイ。W杯で実績を多く積んでいる2強だと思います。一方でアンゴラもアフリカの強豪で、毎回力をつけているという情報を受けており、今回は同じ組で対戦します。

明らかな2強はマークしないといけません。ただ、それぞれをスカウティングをして、戦略を練って、全力を尽くして臨まないといけない前提のなか、最初にフォーカスを置くのは、9月14日20時キックオフのクライペダで行われるアンゴラとの試合。これにすべてを賭けて、勝ち切ることに集中することだと思っています。グループとしては非常に困難なグループという自覚や認識がありますが、今のマインドとしてはそのことに集中することです。

──予選を兼ねたAFCフットサル選手権が中止となるなど実戦不足という不安要素があるが、あえてポジティブな要素をあげると?

端的に言うとタフになったと思います。試合ができない状況は、強化の側面では非常に苦しい状況なのは明らかです。特に他国を見ると試合ができている状況を横目に見ながら、この状況に耐えています。苦しいところもありますが、我々はそこを言い訳にしないスタンスで取り組んでいます。それをさらに磨き込み、内なる強さ、チーム力の向上の部分については大きく取り組むことができた部分だと思います。

誰もが想像していなかったこの状況で、言ってみれば本大会の2カ月前の今でもリプランをしている状況で、ネガティブにとらえようとすればいくらでもできます。しかし我々のメンタリティは、そういう次元を超えて、かなり前から“代表”から、“代表チーム”になり、“ファミリーメンバー”という関係性になりました。それくらいの強さを身につけたと思っています。そのあたりは、こういう時間なくしてはなかなかできなかったかなと思っています。

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