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“フットサル界の久保建英”大澤雅士の覚悟。「自分が新たな道にどんどん進んでいく」

PHOTO BYゾット早稲田フットサルクラブ

スペインではボールを受けてから考えていては遅すぎる

──W杯では同級生の毛利選手がW杯に出ました。大澤選手としてはどう見ていましたか?

「自分も選ばれたかった」という気持ちが強かったですし「悔しい」という気持ちもありました。ですが同世代が選ばれたというだけではなく、中学生の頃から一緒に切磋琢磨してきた元亮が選ばれたので、素直に応援したい気持ちにもなりました。本当に良い刺激を常にもらえています。

──毛利選手はアンゴラ戦でゴールこそありませんでしたが何本か惜しい決定機がありましたね。

W杯という大舞台に立つことももちろんですが、そこでチャンスを作れているのはすごいなと思って見ていました。貪欲でエゴイストな感じは僕にない部分。元亮のメンタルの強さは見習わないとなといけないですね。

──スペイン戦は見ていましたか?

見ていました。2点リードしていた時間もあって良い試合でしたけど、チャンスの数や内容の部分ではスペインの方が上回っていたなと思います。日本のフットサルのレベルは上がっていて、2年前に大敗したときよりも戦えていましたがそれでもまだ差はあるのかなと感じました。

──その差はどんなところに一番感じましたか?

パス一つとってもスピードと精度が日本とは違っていましたね。スペインはどう崩すかではなく、ゴールに直結するようなプレーを常に選択しているなと思いました。当たり前のことなんですが、ゴールを決めて勝とうという気持ちが日本よりも強いなと。

──実際にスペインでプレーしている大澤選手から見て、どんなところにすごさを感じましたか?

ボールをもらったときにかかるプレッシャーの強度がすごいなとスペインに来て最初に感じました。日本にいたときは考える時間があったのである程度自由にプレーできました。ですがスペインに来てからはボールを足元で止めたら食われてしまいますし、ボールを受けてから考えていては遅すぎる。ピッチに出ているときは頭を常にフル回転させていないと置いてかれる感覚でした。

──アジリティの部分はどうですか?

アジリティではさほど大差がないと思いましたし、そこでは日本人は負けてないと思います。でも、頭の回転のところはスペインの方が上ですね。常に考えていないとボールを取られてしまいますし、先を読んでプレーしていないとスペインではプレーできないなと感じます。

──なんとなく止めるのではなく、相手がプレッシャーに来ている角度や切られている方向を考えた上で止めるという選択をしている。

そうですね。スペインでは一つひとつのプレーに意味を持たせないといけないです。頭がぐちゃぐちゃになるような感覚は人生で初めてで、試合や練習が終わったとき「今日、なにしていたんだっけ」と思うくらい最初は頭が疲れきっていました。最初はガムシャラでしたけど徐々に慣れてきて、1年目が終わる頃には練習の意図を読み取るような余裕が生まれてきました。

──スペインに行って技術よりも考える力が向上した。

はい。技術面で大きなレベルアップは感じていないですが、見えない部分の頭のところが変わりました。スペインの選手は思い切りが良いというか、迷いがない。迷いがないとパスは成功しますし、ゴールに直結するようなパスになる。そういう部分が上がりました。

──例えばどんな違いがありますか?

日本ではマイナス方向へのパスの意識がどちらかといえば多かったですがスペインに来てからは横、もしくは前。あと、プレッシャーが速い分ダイレクトプレーの回数も増えたので、そこの精度も上がったと感じています。

──日本代表ではオリベイラ・アルトゥール選手が攻撃のスイッチを入れるようなプレーをしていました。それができたのはキック精度が高いと理由だけではなかった?

そうですね。練習からそういうプレーが多いのでそこの技術はもちろん高いですが、迷いないプレーは成功しない。そういうところのメンタリティは重要な要素だと思います。

3年後は自分がW杯で“活躍してないといけない”

──やはり、2024年のW杯に関しては当然意識してますか?

そこは意識してます。そのとき23歳になるので、そこに出ないとダメだなという感覚。むしろ選ばれるだけでなくて、そこで活躍できるレベルにいないといけないです。

──今回のW杯を見て「俺があの場で活躍するんだ」という思いは強くなりましたか?

その思いは強いですね。これは選手なら“あるある”だと思いますけど「自分だったらこうするな」と考えながら試合を見ていたので、イメージはより具体的になりました。

──自分が日本代表に選ばれるには今いる場所での活躍が必要です。3年後、そしてさらにその先はどんなキャリアデザインを描いていますか?

まずは2024年のW杯に出るために、自チームで結果を残すことは最低ラインですね。トップチームに絡んでいかないといけないですし、W杯までにスペインの1部リーグという高いレベルでやれてないと世界では戦えないと思っています。W杯が終わった後は、フットサル選手としていい年齢になるので、その頃にはスペインのビッグクラブのどこかでプレーしているイメージです。

──大澤選手は日本代表で言えば誰のようなスタイルを目指していきたいですか?

日本代表ですと吉川智貴選手だったり西谷良介選手。あとは、自分はパワーがある方だと思うのでアルトゥール選手のように後ろから点を決める選手になりたいです。

──大澤選手の強みは何で、今後どんなことを伸ばす必要があると感じていますか?

自分の強みは2人組の関係だったり、シュートのパワーや1対1です。ですがスペインではディフェンスを必要とされるので、ディフェンスの意識も上がりました。正直言うと全部のレベルをバンと上げないと1部リーグではやっていけないなと思っています。まずはそういう環境に慣れることが大切だなと思います。その上で自分の強みをどんどん伸ばしていけば、1部でプレーできる可能性は上がると思います。

──憧れているチームはありますか?

憧れはFCバルセロナですね。 小学6年の時に潤さんと隆二さんが企画するスペイン遠征に参加した際に バルサと対戦して1-14で負けたんです。 何もかもが違いすぎてあの衝撃的な強さは今でもハッキリと覚えています。 それ以来いつかここでプレーしたいという自分の中での目標が生まれました。 またバルサは誰が聞いてもわかるくらい有名なチームですので ここでプレーすることは今でも一番の目標です。

──サッカーでは久保建英選手に引っ張られるように久保選手の同世代はみんな海外にチャレンジしています。日本が次のW杯で上位を目指すためには大澤選手が久保選手のような存在になって海外へどんどん挑戦する流れを作ることが必要だと感じます。

僕が18歳で海外に行くと決めたときもU-20アジア選手権でMVPに選ばれて、同世代では一つ抜き出た存在ではあったと思います。「ここからは自分が新たな道にどんどん進んでいこう」と思ったこともFリーグを経由しないで海外に行こうと決めたきっかけの一つでした。

──新たな道なので不安もあると思います。

言葉も分からないですし親元離れて海外で暮らすことになるので不安は最初大きかったですね。ですがそれ以上にスペインという最高峰の舞台で自分がどこまでやれるかという方が楽しみですし、興味があります。

──代表監督も新しく変わりますが次の代表へ選ばれるための意気込みを聞かせてください。

海外でプレーしていることで日本代表に還元できるものはたくさんあると思います。チームを良い方向に引っ張れって良い影響を与えられる選手になりたいです。

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