SAL

MENU

【新天地を求めたものたち】自衛隊でミサイル迎撃部隊勤務からお寺の仏具清掃。異色のキャリアを歩む福田亮が地元凱旋を決めたわけ

PHOTO BY高橋学/エスポラーダ北海道

フットサルキャリアの大きな転機。しながわで学んだ「岡山イズム」

──関東に出てきてからは、ペスカドーラ町田アスピランチに入団しトップチーム昇格を経て、昨季はしながわシティでプレーされました。悲願のF1昇格を果たしたチームですが、契約延長のオファーはなかった?

いいえ、契約更新の話を頂いていました。ただ、シーズンが終わった3月の時点で「地元に戻ります」と。今年で28歳になるので、そろそろ良い年齢です。せっかく地元でプレーするなら、一番良いパフォーマンスができる時期に戻りたい。だからしながわのオファーは断って、エスポでプレーする道を選びました。

──しながわでは10番を背負い、昇格を義務付けられたチームで結果を残しました。この1年を振り返るといかがでしたか?

キャリアにおいて印象的だったことが2つありました。その1つがチアゴとの出会いです。彼は全てにおいてプロフェッショナル。特に試合に向かう姿勢やメンタルについて話してくれました。

口酸っぱく言われたことは「球際で絶対に負けるな」と「練習で負けていたら入れ替え戦では絶対に勝てない」ということでした。日々の練習を大事にしていても、気持ちが緩んでしまう瞬間はあります。そこでチアゴのような経験ある選手がみんなを引き締めてくれる。彼の姿勢は自分のためになりました。

──もう1つは?

岡山孝介さんの存在です。すごく細かな監督で、とにかく細部にこだわる。チアゴと同じように、少し気を抜いた選手がいると「ここで手を抜くなよ」とすぐに気を引き締めてくれます。チーム全体を見ているので、的確な声かけをしてもらえましたし、それによって練習から全力で取り組めました。何事にも全力で取り組む姿勢は“岡山イズム”ですね。

──岡山監督とはアスピランチ時代の師弟関係ですね。岡山監督の存在は、しながわに移籍した理由の1つ?

岡山さんの存在は大きかったです。2021年の入れ替え戦で、しながわが負けた時の会見が印象的で、岡山さんはこれまでに見たこともないような悔しい表情、シラさん(白方秀和)は悔しさを押し殺そうとしながらも我慢できずに涙を流していました。それを見て「来年、岡山さんと一緒にやって昇格したい」って僕の中に火がつきました。

──当時は町田でプレーしていたので、しながわへの移籍はF1からF2とカテゴリーを下げることになります。それでもしながわでプレーしたかった?

向上心があればカテゴリーは関係ないと思っていたので、そこは気になりませんでした。しながわは、町田のトップチームに上がって1年目の時にもオファーを考えていたようです。ただ、ルイス監督に起用してもらえるようになっていたので、オファーを出さなかったと。岡山さんも僕と一緒にやりたいと思ってくれているんだなと思って嬉しかったです。だから正式にオファーをもらってからは「しながわで昇格するんだ」という気持ちで移籍を決断しました。

──しながわではプロの環境でプレーされていたと思います。フットサルに専念できる環境はこれまでと大きく違ったのでは?

これまでは昼まで練習してそこから仕事に行く日々でしたが、フットサルだけに集中できる恵まれた環境だったので、時間の使い方が大きく変わりました。朝に練習して、昼過ぎにジムへ行き、体をケアする時間もできました。フットサルに対する意識はすごく上がりましたね。

選手個々の意識も高く、練習後にコミュニケーションを取る機会が多かったです。入れ替え戦にかけていたので、「絶対に勝つぞ」という意識が強く、まとまりがあるチームでした。

──フットサルキャリアのなかでも濃厚な1年だった?

間違いなく濃密な1年でしたね。しながわの目標はF1昇格だったので、F2での優勝は当たり前。勝つことを義務付けられているチームの難しさを感じました。名古屋オーシャンズはF1でそういう立場にいるチームで、改めてすごいなと思いましたね。

「先輩たちのように今度は僕がエスポに還元する」福田亮、27歳の決意

──そういった経験を経て、今季から北海道でプレーされます。すでに練習にも参加されていると思いますが、チームの雰囲気はいかがですか?

みんな仲良くて雰囲気はいいですが、ちょっと締まりがないように感じますね。フットサルに対しての姿勢が緩いなと。ポテンシャルがある選手はいるのですが、戦術をもっと学んで、経験を積まないといけません。それができれば、上位に行けるチームになると思います。

──今年からクラブのOBでもある嵯峨祐太氏が新監督に就任しました。監督とはチームについて話しましたか?

まだ具体的な話はしてないですが、いくつか気になる点については話をしました。僕がしながわでやっていた前プレやプレスの掛け方、プレスをかける前の準備のステップ踏むとか細かい話をしています。僕から「こうしたらいいんじゃないですか」っていう感じで。

──福田選手から率先して監督に話をしている?

疑問に思った部分があれば「もっとこうした方が、相手は嫌だと思います」っていう意見を言わせてもらっています。嵯峨さんがやりたいことにプラスアルファで、もっと細かい部分について、僕が中でやってみて「ここができてないので、こうした方がチームにプラスになると思います」っていう感じで話しています。

──今までも、監督であろうと言うことは言うタイプでしたか?

監督に何かを言ったりするタイプではありませんでした。「はい!」と従ってやるタイプでしたが、北海道に戻ってみると思っていたよりも強度が足りない。僕が感じたものを監督だけでなく選手にも伝えています。嵯峨さんも「意見ある?」って聞いてくれるんで、その時にみんなの前で話をする。気になった点はしっかりと伝えようと思っています。

──町田時代はいじられキャラ、ムードメーカーなイメージでした。引っ張って行かなきゃという思いは、しながわを経験したのが大きい?

しながわで色々な経験ができたことが大きいです。今までは周りにすごい選手や年上の経験がある選手が多かったですが、今は僕もだいぶ年齢を重ねました。先輩たちにやってきてもらったことを、今度は僕がエスポに還元する。引っ張っていくっていうか、いい流れを僕が作りたいですね。

──新しい役割は大きなモチベーションになりますね。北海道で一緒にプレーをしてみて、注目している選手はいますか?

まだいないっすね(笑)。ポテンシャルがある選手はいますが、それをまだ出し切れていない。そのなかでも、セカンドから今年昇格した(近藤)一哉は今後楽しみだなと思っています。スピードがあってドリブルもできる。まだ荒削りなんですけど、フットサルの知識を身につけたら、めちゃくちゃいい選手になるんじゃないのかなと思っています。

──町田でも一緒にプレーしていた室田選手はいかがでしょう?

相変わらず上手くて、一緒に出ると楽しいですね。一緒にプレーして3年ぐらい経ちますが、今でも祐希くんは半端ないです。プライベートでも仲が良くて、練習前にシャワーを借りに行ったりとかしています。家が近いので、バイトした後に「シャワー借りま〜す」って感じで(笑)。

──チームには水上玄太選手や鈴木裕太郎選手など、長くチームを支えているベテランの選手がいます。声をかけられたりしましたか?

よくいじってくるんで、いじり返してます(笑)。「自衛隊だったんだから面白いギャグ持ってんだろ」みたいな感じで。扱いが雑なんで、僕もたまに雑に扱わせていただいたりして。そういうところも含めて、すごく馴染みやすい雰囲気ですね。

──皆さんの期待を背負って戻ってきた北海道ですが、改めてこのクラブで何を見せたいですか?

得点です。目に見える結果が必要だと思っています。ルイスや岡山さんの時も、ゴールを常に求められていました。北海道でもゴールにこだわってプレーしたいと思っています。

久しぶりのF1でどれだけ得点ができるのかなと。僕もチャレンジのシーズンです。F2ではそれほど取れませんでしたが、F1でどんだけ得点を取れてチームを勝たせられるか。僕が点を決めて、まずは上位リーグに食い込みたいですね。

──勝敗に直結するゴールが求められていることでプレッシャーを感じるのでは?

そんなことはなくて、ワクワクの方が大きいです。常に点を取らないとクビもありえるんだぞという思いで戦っていきたいです。

──チームで結果を残すことで日本代表の話も舞い込んでくると思います。日本代表についてどのように考えていますか?

今の日本代表は若くて素晴らしい選手が多い。そこに食い込みたいですが、かなり厳しいと思っています。ただ、フットサルを始めた時から日本代表でプレーしたい思いはずっと持っています。そのためにもまずはチーム。エスポで結果を残すことしかないですね。

──最後に、今年の目標は?

求められて移籍したチームですし、活躍しなければいけないと思っています。家族や友達など多くの人に観てもらえるので、結果を残したいですね。チームとしての目標は、上位リーグに食い込むことなので、まずはそこを目指して優勝争いをしたいと思っています。

▼ 関連リンク ▼

  • AFCフットサルアジアカップ2024予選|大会概要・試合日程&結果一覧
  • Fリーグ2023-2024 試合&放送日程

▼ 関連記事 ▼