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作成日時:2023.09.07
更新日時:2023.09.22

【日本代表|木暮賢一郎監督】「若い選手が、競争を突き上げていくチームに」|メディアブリーフィング

PHOTO BY高橋学、勝又寛晃

9月5日、日本サッカー協会(JFA)は、ブラジル遠征に臨む日本代表16名を発表した。

メンバー発表に際しメディアブリーフィングがオンラインで行われ、木暮賢一郎監督から、今回の遠征のメインとなる「Futsal Nations Cup」への参戦の経緯と意気込み、代表選考の方向性が語られた。

【日本代表】ブラジル開催の「Futsal Nations Cup」に挑む16名のメンバーを発表!

アウェイの観衆のなかで戦える、貴重な機会

木暮賢一郎(日本代表監督)

まず今回のメンバーについてですが、いわゆるインターナショナルマッチデー(IMD)での活動になります。「Futsal Nations Cup」に参加するの背景としては、ヨーロッパの各国はワールドカップ予選の最終フェーズに入る試合があり、勝ち上がっている国とはゲームができないため、アジアや南米という予選がない国から参加を募るということで、ブラジルからお声がけいただきました。

もちろん、移動距離も長く日本はリーグ中で、日程としては非常にタフなことは重々想定しております。ただ、国内で合宿をするよりも、実戦をする、アウェイの満員の観衆のなかでブラジルとゲームができるということに重きを置いておいています。最初のグループステージはブラジルとサウジアラビアですが、勝ち上がれば、パラグアイやコロンビアなど、私が監督になってから対戦してない国とプレーできる貴重な機会で、非常に価値があると考えております。

メンバーにおいては、10月にアジアカップの1次予選が始まりますので、当然その活動から逆算をして、今回16名の選手を招集しています。何人かの怪我人の選手がいるという点はありますが、いつもお話ししているように、その時々のベストメンバーを選出しています。



日本の選手は、お世辞抜きで評価されている

──メンバーを見る限り、若い選手がかなり多く入っている印象を受けました。今回のその招集にあたっての、年齢バランス、Fリーグでの活躍、あるいは海外クラブでの活躍などあらゆる観点がありますが、どういった狙いをもって、このメンバーを選んだのか教えてください。

メンバー選考においては、先ほど申し上げたように現状のベストだという理解をしていただければと思います。もちろん、2023年に入ってからのU-23のフランス遠征を皮切りにタイ、モロッコ遠征と活動して、継続的に招集されている選手、久しぶりに呼ばれる選手、自分が監督になってから初めて選ばれた選手という構成になってるかと思います。

名前は挙げられませんが、何人かのベテラン選手でギリギリまで競って、リストに入っていた選手もいました。ただ、ブラジルや南米の選手とまだ対戦経験のない選手をテストしたいという狙いもあったので、今後もメンバーは見極めたいと思っています。ベテランの選手は、いつ戻ってきても力になってくれるという確信をもっている選手たちでもありますので、今回は年齢の若い選手がこの場を勝ち取ったということになります。

ただ自分が監督になってからは、同等のレベルであれば、基本的には若い選手を選出しています。来年ワールドカップがあるということは理解していますが、2024年のことだけではなくその先も常に見据えて、若くていい選手が、代表を下から突き上げていく競争をしていく必要があると考えています。今回に関しても、60パーセントぐらいの選手が育成年代の代表から上り詰めてるという構図になっています。

今回、スペイン、ポルトガル、ブラジルと様々な協会やクラブと話をしていますが、どこに行っても日本の若い選手はお世辞抜きで評価されてますし、チームの方向性についても共感されています。自分自身のポリシーを大切にしながら、メンバーを選んでいきたいなと思っています。

──Fリーグで優勝争いしている3チームから、2人以上を選んでいることについては、木暮監督からのメッセージでもあると感じ取れましたが、その点については?

誤解してほしくないのは、リーグで下位にいるから呼ばないということではないです。ただ、代表チームは常に競争を求められています。一つ前の質問と一緒で、短い時間でブラジル代表に勝たないといけない、アジア予選も戦わないといけない。そこで必要なのは、強いメンタリティーです。

プレッシャーがかかる大舞台で、ハイパフォーマンスをするためのメンタルまで、代表活動でトレーニングするのは正直難しいと思っています。コンディションは活動のなかで調整して合わせていくものですが、メンタルは呼ばれた選手の日常や、もっているパーソナリティーだと、僕は考えています。

じゃあどう見極めるかというと、リーグでプレーオフ争いを経験したことがあるか、勝たないといけないゲームを何試合か経験しているか。あとはFリーグで言うと、名古屋という頭ひとつ抜けているチームに対して、どれだけのパフォーマンスができているかはチェックしています。そこからフィルタリングしていくと上位チームが多くなるのは自然かなと。ただ中位、下位のチームでも、代表のチームにおいて非常に重要なポジションやポテンシャルをもっているとか、特徴がある、若くて将来性を感じる選手に関しては、当然リストにはアップしていますし、様々なタイプの選手を必要としています。

プレッシャーのかかる場面でのパフォーマンス発揮という点においては、上位のチームにいるのは毎週末の試合に勝っているからですし、その週のトレーニングは次の試合に勝つために高いレベルでのポジション争いがあったり。そういう背景を汲み取っているというところですね。

──中国リーグの試合は配信なども無いと聞いていますが、オリヴェイラ・アルトゥール選手(深圳南岭鉄狼)のコンディションチェックはどう行ったんでしょうか?

中国リーグは8月5日に終了していて、アルトゥールが所属しているチームはリーグチャンピオンになりました。リーグの最中に関しては、私たちはきちんとネットワークをもっているので、彼の監督やコーチから試合映像をもらっています。また、中国は非常にレベル差があるリーグなので、試合だけでは判断することができないので、トレーニングの映像も見ながら、直接本人とも話をしてきました。

彼は今オフ期間で、オフィシャルなゲームは1か月ほどしていない状況です。ただ、数少ないIMDの期間でもあります。なので、今どんなケアやコンディションをしているか、どういう環境で準備をしているかも見て、把握したうえで今回の招集の判断しました。実際ゲームをしてみないとわからないというのは、彼以外も同じことです。ただ、そういうプロセスを踏んでるということは、お伝えしておきます。



タフな日程でも、自分たちの全てをぶつけたい

──前回のブリーフィングの中で、海外選手を招集する難しさをお話ししていましたが、今回はそのあたりの交渉をどう行ったのか、話せる範囲で伺いたいです。

今回の活動に関してはIMDなので、基本的にはどのクラブも問題なく招集には応じてくれました。

準備期間の短さについては、サッカー日本代表や森保(一)監督の戦いぶりからも、いかにわずかな活動時間のなかで、プレッシャーがかかる戦いをしていくかについて、学ばせてもらっています。

僕も選手に対して、今までのようにいい準備をしたからいいプレーができるということではなく、時差や移動距離があったり、クラブの背景がバラバラであっても、代表選手にふさわしい選手であればいプレーができるし、そういった経験を積み重ねていけば、しかるべきタイミングでしっかりと準備をした時に実を結ぶんだという話はしています。なのでそこはあまり自分としては心配がないですし、プロセスとして必要なことだと思っています。

世界最高峰と言われるブラジル代表との初戦を、ワンセッションで戦うことがどれだけ厳しいチャレンジかというのは理解していますし、もちろん簡単なことではないです。ただ、それ以上に価値がある遠征になると思っています。

──この大会で、チームとしてどのような戦いを想定しているか。ロースコアを見越しているのか、撃ち合いになるのか。南米との対戦も含めて今の日本代表の立ち位置について、監督としての見解を教えてください。

この1週間スペインやポルトガル、ブラジルという強豪国や、バルセロナやインテルなどのトップレベルの監督やダイレクターとコミュニケーションをとってきました。

そのなかでは、日本が昨年、若い選手を多く起用してアジアチャンピオンになったこと、U-23フランス代表に2勝したこと、特にU-19がクロアチアでの大会でスペイン代表といい戦いをしたことは、どの関係者も素晴らしいと評価してくれています。

選手個人も代表チームも、新しい世代、若い世代が世界に出て活躍していることを、映像を見たうえで、世界のフットサル関係者たちがそう評価してくれているのは、一つ日本の立ち位置の指標になるのではないかなと。

今回のブラジル戦、その先の南米との戦いをどういう展開にもちこめる、あるいはもちこみたいかに関しては、当然勝つためにアグレッシブに、自分たちのフットサルの全てをぶつけるつもりです。スコアを気にして、例えば負けたとしても、0-1で最少失点だからいいということではなく、アジアカップ2連覇、ワールドカップで最高の成績を収めるという目標の通過点として、恐れることなく戦っていきたい。

大敗しようがロースコアであろうが、勝とうが負けようが、アグレッシブな姿勢で臨むしか、成長することはできないと思っています。そこに関しては、スコアから逆算をしてとか、どういうフットサルをということよりかは、何のためにプレーをしているのか海外まで来て試合をしているのかを忘れずに活動する必要があります。

もちろんブラジルにも勝ちたいですし、どこの国も勝ちたいですし、勝利という結果を多くの方に届けるっていうことは、まず第一にありますけれども、忘れていってはいけないのは、自分たちはまだプロセスの途中にいて、その先に何を手にしたいかっていうことを考えながら挑みたいです。

1戦目については24時間の移動があり、1セッションでやるので、試合の入りが悪いとか、コンディションとかいろんな懸念のある、タフなチャレンジになることは承知しています。それでも、今大会についてはプランニングを遂行して、セミファイナル、ファイナルに進んでいきたいです。

──欧州視察をして得たことを教えてください。

しっかり話せば、かなり時間がかかってしまうのですが……(笑)。フル代表、育成年代の代表チーム、女子も含めて、協会や組織のあり方、選手の発掘やリストのつくり方など、非常に大きな学びました。クラブのGM、監督、ダイレクターが選手をどうみているか。あとは、ビッククラブの構造、スタッフ、環境の整備の良さも見ることができましたし、一方で2部のチームでは、環境面では向上の余地があるなかで、身の丈にあった健全な運営をしながらどう結果に繋げているかを、包み隠さず見せてくれました。地域リーグも、育成も見ることができて、戦術的な新たな発見よりも、より見えないところでの取り組み、協会、クラブ、育成など、それぞれ違う側面において、どう競技に対して取り組んでいるかを見ることができました。

ただ結論としてどのカテゴリーやクラブも、フットサルが大好きで、自分たちの選手や競技の環境ををよくしたいという思いは共通しているということを、再確認できました。

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