更新日時:2023.10.07
【日本代表】日本の新10番、21歳の金澤空が背負うもの「久保建英選手だって僕と年齢は一緒。若いなんて言ってられない」
PHOTO BY本田好伸
日本代表は9月28日から10月1日、AFCアジアカップ予選に向けた国内合宿を高円宮記念JFA夢フィールドで実施した。その後、チームは大会が行われる台湾へと移動し、7日にオーストラリアとの初戦を迎える。
木暮ジャパンが発足した2021年12月以来、前回の9月25日〜27日の若手中心の活動を除き、すべての活動に呼ばれてきたのが金澤空だ。今年で22歳を迎えるスピードスターは、現在はもちろんのこと、今後の代表チームにおいても中心となっていくことが求められている。その証として今回、授けられた背番号は「10」だ。
これまで、木暮賢一郎、仁部屋和弘、逸見勝利ラファエル、クレパウジ・ヴィニシウスらが背負ってきた番号は、決して“数字”だけのものではないだろう。今シーズン、立川アスレティックFCから名古屋オーシャンズに移籍し、日常的な出場機会は激減した。立川では中軸だったが、名古屋ではまだ、そこに辿り着けていない。
それでも、木暮監督からの信頼が揺らぐことはない。日本の“新10番”はなにを感じているのか。
ブラジル遠征はポジティブだった
──いよいよ、アジアカップ予選が始まりますね。
去年のアジアカップも緊張感のある大会でしたけど、今回はワールドカップにつながっているということで、さらに緊張感が上がると思います。予選も本当に難しいことは体感しているので、気持ちが引き締まっています。
──とはいえ、国内合宿中はまだ、リラックスしている雰囲気も感じます。
そうですね。なかなかこれほどたくさん練習できる代表期間はないので本当に貴重な時間だと思いますし、そういう意味でもいろいろな選手と多くのコミュニケーションを取りながらやっている感じです。
──ブラジル遠征からまもない期間で始まった今回の合宿はどんな印象ですか?
そのブラジル遠征での課題や良かったところも記憶に新しいというか、そういう意味でもチームとしてもやりやすいです。前回の活動を踏まえて、そこのレベルを上げていける活動期間になればなと思います。
──ブラジル遠征の4試合は個人的にどんな印象でしたか?
世界トップレベルの相手とやれたことで、守備の強度や頭を使ってプレーするところなど、自分の足りないところや課題がわかりやすく出た大会でした。それをプラスに変えて、逆に自分の強みにしていけるようにやっていきたいと思っています。
──昨年のアジアカップで戦ったイランと、ブラジル遠征で戦ったイランでは違いを感じましたか?
自分たちが取り組んでいる今のボール回しの部分は、前回のイランとやった時と比べてもたくさん持てて、主導権を握りながらプレーできたと思います。ただ、そこに結果がついてこなかったので、本当に勝てれば最高でしたね。すごくポジティブな試合でしたし、イランもすごく嫌がっていた印象です。途中、マークが混乱しているシーンもつくれたので、それを続けていきながら、ゴールに迫るプレーをもっと増やしていければ勝つチャンスは増えていくと思います。
──4-0を軸にした戦術で金澤選手に求められているものは?
スピードを生かしたドリブルはもちろんですが、ドリブルだけではなく、裏に出ていくプレーやワンタッチ、ツータッチではたきながら、自分のモビリティを生かしてどんどん機動力を出していくことが求められていると思います。それをこの先、世界や、それこそ名古屋で活躍するためにも必要になってくると思うので、自分自身が成長できるチャンスでもあります。
──サイドで孤立して1対1を仕掛ける場面ではないところも求められるようになった。
この1年間、代表活動でいろんな国と戦ってきたなか、お互いに止まった状態の1対1の局面で、自分より20センチ以上も大きな相手と対峙するのはなかなか簡単ではありません。もちろん、それでも突破できることがベストですけど、難しい部分もあるので、ボールがないところでもどんどん裏を取っていくことで相手は嫌がる。マークする選手がつかまえにくくなるようなプレーをすることが、自分が生きていく道ではないかなと実感してます。
──そこを突き詰めると、1対1の強みをさらに生かせそうですね。
どっちもできるくらいになることで、相手はつかまえにくくなると思いますし、自分の良さをいろんなシーン、いろんなプレーで出していけるようにしていきたいです。
名古屋の厳しさ、難しさを実感できている
──名古屋のことについても聞かせてください。クラブでの立ち位置をどのようにとらえていますか?
当然、もっともっと試合に出たいという気持ちが一番にあります。ただ、名古屋という環境では、試合以外の日常からレベルアップできますし、そういう意味ではいい毎日を過ごせていると思います。
──金澤選手も言うように、出場時間はまだ多くはないですよね。
さっき言ったように、プレーの幅をもっと広げないと。やっぱり、ドリブルだけではなかなか難しいと思いますし、ディフェンスやモビリティなどで質の高いプレーができないと、名古屋で軸として出るのは難しいです。そういう意味では、本当に今、自分がさらに大きく成長できるチャンスだと思って、毎日いろんなことを意識しながらトレーニングしています。
──名古屋に入る前から、ある程度は想定していたことですか?
去年、立川アスレティックFCでやっていた時とは感覚も違いますし、もちろん厳しい世界だというのはわかっていました。それを実際に体感すると、最初の頃は厳しさや難しさを感じたのですが、移籍しないとわからなかったことでもあります。ずっと立川でやっていては感じることができなかったので、移籍して良かったと思っています。
──代表でもクラブでも、キャリアにとってもかなり重要な時期ですね。
成長できる“種”というか、代表でもクラブでも、そういうものをたくさん与えてもらっているので、それをモノにできるか。そうなれるように、頭を使ってやっていきたいと思います。
10番になったことはSNSで知った
──アジアカップでどんなことをしたいとかはありますか?
年齢的にはまだ下のほうですけど、そんなのは全く関係ないですし、グレさん(木暮賢一郎監督)になってからずっと代表に呼んでもらっていますから、チームをしっかりと引っ張っていく強い気持ちをもってやらないといけないな、と。
──金澤選手よりもさらに下の年齢の選手も入ってきていますよね。
本当に年齢は関係ないというか、21、22歳くらいはもう、若いとは言っていられません。下からもどんどん選手が入ってくるなかで、フットサル以外のスポーツを見ても、自分と同じような年齢の選手が主軸として活躍しています。サッカーの久保建英選手や、バスケの河村勇輝選手、富永啓生選手も、自分と同い年の人たちです。そういう選手たちの活躍を見ながらすごく刺激を受けていますし、若いなんて言っていられないという思いです。
──サッカーの日本代表も見ますか?
サッカーはすごく好きなのでかなり見ますね。
──参考にしたりとかも?
いえ、どちらかというとだ楽しむ感じです(笑)。日本代表や海外サッカーとか。以前はラ・リーガが好きだったんですけど、最近はプレミアリーグが多いです。マンチェスター・シティとか、ブライトンが好きです。
──三笘薫選手と金澤選手は、プレースタイルが似ていますね。
いやもう、ファンですね(笑)。一番好きなのはベルナルド・シウバです。楽しみながら見ています。
──今回から、日本代表の「10番」となりました。いかがですか?
正直、最初に見た時はびっくりしましたけど、それだけ期待してもらっているということですし、番号に恥じないように。日本代表の10番は簡単に背負えるものではないですし、しっかり結果を残して、10番が似合うようになりたいです。
──10番を知ったのは?
発表の時です。それこそ、SALさんのSNSの投稿を見て知りました(笑)。チームからの連絡では背番号までわからないので、いつもSNSを見て「俺、何番だ」みたいな感じで。ずっと7番だったので今回もそうだと思っていたので驚きでした。
──10番はメッセージ性がありますね。
でも、ユースの時も着けていて、自分の中ではすごく好きな番号の一つなのでうれしかったです。
──日本代表の10番は、長く着けていくようなイメージもあります。
この先ずっと背負えるように、常にいいプレーをすることが理想ですし、目標です。
台湾には大量のラムネを持っていく
──もう少しだけ聞かせてください。ブラジルの時は誰と一緒の部屋でした?
いつもランダムではありますが、ブラジルでは(伊藤)圭汰さんでした。どう決めているのかはわからないですけど。
──昔から、代表の部屋割りにはメッセージがあるようにも思います。
それはあると思います。モロッコ遠征の時は(吉川)智貴さんでした。タイとか、U-23のフランス遠征の時は(毛利)元亮と連続でしたね。
──では、今の代表で仲の良い選手は誰ですか?
しかたなく今は、(原田)快と(山中)翔斗ですかね(笑)。基本的には(同年代の)3人で一緒にいます。あとは、内村俊太くんと4人でウイニングイレブンをやったりして、よく盛り上がっています。
──内村選手は強いんですか?
強いですね。まあ、どっこいどっこいかもですけど。
──最後に、台湾になにか持っていくものは?
僕は、ラムネですね。試合前やハーフタイムにいつもラムネを食べるんです。ブドウ糖をすぐ摂取できるから、ずっと続けていて。ラムネは、遠征に行く前にめっちゃ買います。パックのやつとか、水色のボトルみたいなやつ。あれをいっつも食べてます。スペインでは売ってないので、快とかも「買ってきて」って言われますね。
──そうなんですね。
はい。周りでも、けっこう食べている選手は多いですね。なので大量に持っていきます。
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