更新日時:2023.12.11
【F1第22節|記者会見/湘南vs浦安】リスクかリターンか?残り数秒での“究極の選択”。湘南・伊久間洋輔監督「感情では判断できない」
PHOTO BY本田好伸
12月9日、Fリーグ2023-2024ディビジョン1の第22節、湘南ベルマーレvsフウガドールすみだがトッケイセキュリティ平塚総合体育館にて開催された。
湘南にとってホーム最終節となる今節は、2019-2020シーズン以来約4年ぶりに平塚総合体育館で行われる特別な試合となった。J1リーグも閉幕し、会場にはFリーグのファン・サポーターだけでなく、Jリーグのファン・サポーターも集結。今シーズン最多となる1,652人が応援に駆けつけた。
3試合ぶりの出場となった靏谷春人をはじめ、堀内迪弥や萩原真夏らによる、多彩な攻撃ですみだを押し込む湘南だが、シュートは枠を捉えることができず。
0-0で試合を折り返した湘南は37分、左サイドを突破した萩原からファーサイドを狙うパスが送られ、これを堀内が触って待ちに待った先制点を奪った。
ところが喜びも束の間、15秒後に同点ゴールを決められ、1-1で試合は終了。湘南としては悔しいドローゲームとなったものの、「勝ち点1を取る」という最低目標を果たし、ファイナルシーズンに臨む。
試合を終え、伊久間洋輔監督とフィウーザが記者会見に出席した。
当然、ホームで勝ちたい気持ちがあった
●湘南ベルマーレ|伊久間洋輔監督
──今日の試合を振り返って。
ホーム最終戦ということで、たくさんのお客さんに来ていただき、それはいつもですが感謝しています。試合は、ゴールを取れないのはしょうがないという現状を認識したうえで、すみだの攻撃、特に清水誠也選手のところをケアしつつ得点を狙おうと。そのプランはみんなが遂行してくれて、後半はより攻撃的に、シュートも打てていました。
先に(萩原)真夏の突破から(堀内迪弥が)ゴールを決める形は描いていたものですし、あれが3、4本あれば。そこは彼らが直面しているところですね。先に点を取ってきっちり締めたかったですが、やはりまだまだ課題はあります。
──試合の締め方のところですが、ベンチでは靏谷春人選手がGKユニフォームの準備をしていました。マイボールになれば、勝ち点3を狙うためのパワープレーを考えていたのでしょうか。
当然、ホームで勝ちたい気持ちがありました。ただし、残留争いのなかにいますし、順位を争うチームとの対戦で相手に勝ち点を挙げてしまうリスクを取るかどうか。これは感情では判断できないですし、僕のプランとしては、勝ち点1をもぎ取る必要もあるという考えがありました。この状況なので、「勝ち点1」を取ることですね。それでも最後、残り数秒でやれるというか、1点を取れる可能性もあったので準備させました。
──佐藤玲惟選手は、若い年齢ながら引退を決めました。怪我にも泣いたと思います。下部組織から上がってきて、あれだけクラブに想いを持つ選手がいたというか、クラブの哲学が浸透していたと思います。メッセージはありますか?
もちろん、彼が小さい時から知っていますし、そういう選手はうちのクラブにはたくさんいます。下から上がってくる選手が多いですし、子どもから大人になる過程の成長を見ているので、本当に息子のように思っています。小さい頃から湘南の試合を設営したり、試合を見たりするなかで、その舞台でやりたいと。努力して上がってきたことが本当に素晴らしいと思います。後輩にもいいモデルになると思う。その意味では本当に残念ですが、怪我もあったと思いますし、彼の判断は尊重したいと思います。
選手としては、非常にいろんな思いがあります。他のチームでやることを考えても良かったとは思います。我々は、自分たちのクラブから育った選手が、他のクラブに進むケースもあります。そういう選手には、会った時には話をしますし、外でやることも選択肢の一つです。ただ、彼はこのクラブに強い思いがあります。今後も関わってほしいです。
選手とは厳しいものです。去年ももちろんそうでしたけど、今年もこの時期になると、契約更改の話はつきものです。今後もクラブに関わって応援してもらいたいですね。まずはお疲れ様と言いたいですが、まだファイナルシーズンの5試合と、全日本選手権もあるので、メンバーに入れるように頑張ってもらいたいですね。
──レギュラーシーズンが終わりました。ここまでを振り返ってどうですか?
今シーズンは、昨シーズンからの得点源だった選手がいなくなることを、全員で埋めるところから始まりました。ただし、力不足で補えていないことが現状であり、すべてかな、と。決して、目指しているものが積み上がっていないということではありません。自分たちで保持して攻撃を組み立て、いろんな形で点を取れることを目指していますが、そこはまだ力が足りていない部分ですね。先ほど、ロッカールームでみんなにも話しましたが、あと5試合でどれだけ成長できるのかだ、と。足りないところを常に積み上げていくことが求められていると思います。
──ファイナルシーズンの下位リーグは初めてのレギュレーションですがどう戦いますか?
得点を取らないと勝利につながらない。先ほども言いましたが、相手に勝つためには直接の順位争いにおいて、守備を強化しながら攻撃をブラッシュアップしていく戦いになると思います。
──前節終了後は、ファン・サポーターからも厳しい言葉があり、チームで受け止めたそうですね。前節は浦安に0-3で敗戦してから、これだけお客さんが集まる試合に向けて、どういった整理をしてきたのでしょうか。
なにかを変えるつもりはありませんでした。変えるのではなく、なにをできて、なにをできないか振り返ることをみんなともう一度話しました。攻撃は、やはり自分たちで点を取れなければああいう状態になります。
浦安戦は、うちが悪かったのは点を取れないことでした。守備もそこまでやられていません。浦安の勢いを殺せなかった。それを受けてすみだにもやることです。そのためには個人個人、なにが必要かをみんなに確認しました。
よく、周囲から「気持ちが入っていない」など、いろいろと言われることがあります。でも、気持ちが入っていないわけではありません。12チームあって、必ず1位があり、12位がある。でもそういうふうに見られるということは、みんなにも伝えました。勝ててないと、そう見られてしまいます。ベンチでもっと声を出そうよとかもそうです。チームスポーツなので気持ちということではなく、いいチームのベンチはそれができているからいいチームになるよねとは話しています。今日もベンチから声を出していこうと、単純なことですが話して。それは、前節から見直したりしたことですね。
──真夏選手は前節も攻撃でいい動きを見せていましたし、今日も結果につなげました。「やってやるぞ」という、頼もしさもあるように感じたのですが。
「やってやるぞ」と映ったのですね。伝えておきます(笑)。やはり、我々が求めているものと彼がやれることは合っていると思います。足りないのはフィジカル面や、自分が結果を残すという責任感。若い選手はそこですね。
試合に出続けることでそれは積み重ねることができる。前節も、あれで2点くらい取ってほしいですし、(靏谷)春人もそうです。彼らには毎日、言っています。「お前がやるんだよ」と。見てもらってそう感じるのであれば、ありがたいですね。中で見ていることと、外から見えることも合っていると思うので、さらに成長してほしいと思います。
これがホーム最後なのは寂しい
●湘南ベルマーレ|フィウーザ
──今日の試合を振り返って。
今日はホーム最後で、サポーターが素晴らしかった。ありがとうございました。試合はベルマーレとフウガがいい試合をしました。パワープレーから失点して、ベルマーレにもチャンスはありましたが、最後に決め切ることができませんでした。これがホーム最後なのは寂しいですね。また次も頑張ります。
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