更新日時:2023.12.12
【日本代表】予測力とスピードを武器に、スペインの名門・インテルで戦う山田凱斗。「体をぶつけられる前に勝負することを意識している」
PHOTO BY本田好伸
12月12日、フットサル日本代表は12月14日と17日に開催されるアルゼンチン代表との国際親善試合に向け、高円宮記念JFA夢フィールドにてトレーニングを行った。
山田凱斗が、2022年3月にバサジィ大分を退団して以来、1年半ぶりに日本のピッチに帰ってきた。
スペインの名門インテル・モビスターで出場機会を得て活躍する若きフィクソは、2016年のワールドカップ王者・アルゼンチンを相手にどんなプレーを見せるのか。
トレーニング後、山田に話を聞いた。
1年半ぶりに日本のピッチでプレー
──山田選手は木暮賢一郎監督が就任してから2022年1月の代表活動で初招集されましたが、今回は久しぶりですよね。
そうですね。今年4月のモロッコ遠征以来です。
──そこから代表チームの状況も変わってきたと思います。今回の活動に参加してどんな感覚ですか?
モロッコ以降でも何回か代表活動があったなかで、僕自身、怪我などもあって参加できないこともありました。継続した活動で(代表チームが)よくなっている部分も多いので、今は適応するのにまだ時間がかかっている感覚です。
ただ、一気にガラッと変わったわけではないので、モロッコや、(その前の2月に6カ国国際親善試合を戦った)タイでの積み重ねを生かせているので、もう少しコミュニケーションをとってうまくやっていけたらと思っています。
──コンディション的に参加できないこともあった?
9、10月の活動は、僕が怪我したのは6月で、リハビリ期間や復帰から間もなくてコンディションがまったく上がっていないこともあったので。監督とも話をして、活動に参加できていませんでした。
──久しぶりに日本でプレーを見せられる機会ですね。
僕自身、日本でちゃんとプレーをするのは1年半以上前になるので。バサジィ大分で全日本選手権に出たのが最後の公式戦だったので、見に来てくださる方に久しぶりに自分のプレーを見てもらえるのはうれしいです。
なおかつそこで、こういう選手がいることを知ってもらえたら、自分自身の価値にもつながりますし、日本フットサルの環境が良くなることにもつながると思っています。その意味でも、アルゼンチンは世界の強豪ですしいい相手ですから、しっかりと結果にもこだわってプレーしていきたいと思います。
──インテルにはアルゼンチン代表選手がいるんですか?
今はいないのですが、去年のチームにはいました。今回も選ばれているルーカス・トリポディ選手です。今年からはナバーラに移籍したのですが、元チームメートなので。
──今はスペイン語も問題ないですか?
プレーに関しては問題なくやれる程度ですね。頑張っています(笑)。
毎日が各国の代表練習のようなもの
──あのインテルで、日本人選手がプレーしている。これはものすごいことなのですが、海外フットサルが日常的に見られるわけではないので、なかなかその価値を伝えられていません。ご自身ではどうですか?
いやまあ、入ってしまうと慣れてしまう感じはあります。ただ、一緒にプレーしている選手はスペイン代表や各国の代表選手ばかりですし、歴史あるクラブですから、関わっている人たちもレジェンドみたいな(笑)。そういう時には、いいクラブにいることを実感しますし、だからこそそこで結果を出すことが僕自身にも大事だと思っています。
今シーズンは(怪我から復帰できたばかりで)まだそれをできていない悔しさはありますけど、いいチームにいる実感はあるので、今回の試合で「あの選手すごいじゃん」「インテルっていうチームにいるんだ」「インテルってどんなチーム?すごいね」とつながっていくといいなと思います。
──山田選手のプレースタイルは、日本の時とも変化しているように感じます。
自分がプレーしているので、めっちゃ変わったとかはわからないのですが、いい意味で、日本のフットサルとスペインのフットサルを経験できているので、そこはプラスかな、と。自分は予測をしながらプレーするので、その点では、経験が重要になりますし、幅が広がったなとは感じます。
──予測して、そこから決断して実行するフェーズがあります。その技術もレベルアップしている実感が?
どうですかね。普段のチームの練習がもはや各国の代表メンバーが集まった代表練習みたいな感じなので(笑)。日々の練習には常に100%で取り組めているので、積み重ねが結果として技術のレベルアップにつながったと思います。
──自分のなかではそこまでレベルアップを感じていない?
はい、あんまり(笑)。毎日練習していて、一気にバンと上がることはないので。積み重ねでちょっとずつ上がって、久しぶりに見てもらった時にうまくなったと感じてもらえたならうれしいです。
──うまくなっていると言うとおこがましい表現ですが(笑)。まさに、幅が広がった印象を受けました。どんな状況でも認知、決断、そして実行ができる。今話していた予測の部分は際立っているな、と。実際、インテルではどんなところが評価されて出場できるようになったのでしょうか?
最初はディフェンスの部分ですね。フィクソとしてプレーしているのでピヴォとの勝負。そこで受けさせないことですね。予測の話につながるのですが、昨シーズンからレベルアップしたというか、自分の力がスペインでも通用したという感覚がありました。最初はそこを評価してもらいました。
なおかつ、フットサルは守備だけではないので、攻撃の部分をこれから求められていくと思います。そこで違いを出せないと試合には出られなくなる世界です。そこはもっともっとレベルアップしないといけないと感じています。
スピードではどのピヴォにも負けない
──体のサイズは大きいほうではないですよね。それでも勝てるのはどんな要因が?
僕はまさに大きくはないですし、めちゃめちゃ強いわけでもありません。純粋に勝負をしたら勝てないと思います。それこそ、清水和也選手とかを見ても、体がデカいし、強いですよね。だから体をぶつけられる前に勝負することを意識しています。前カットですね。スピードでは、どのピヴォよりも自分のほうが優れていると思っているので、ピヴォに触られる前に自分が先に触る。そのためにはボールが出てくる予測であったり、ピヴォがどこで受けたいかだったりを含めて考えてやれているので、その駆け引きのところが自分の持ち味かなとは思います。
もちろん、失敗はあるんですけどね(苦笑)。今のところうまくはできていると思います。
──フィクソは、体のサイズ感だけではない。
そうですね。それこそ、オリベイラ・アルトゥール選手とかは大きいし、強いですけど、いろんなタイプがいます。僕の元チームメートでもあるボルクバレット北九州のパカット選手やバルドラール浦安のディドゥダ選手(いずれも元大分)なんかは強いですよね。あの選手のプレーをしろと言われたら僕にはできません。
ただ逆に、大きくて強い選手が僕のようなプレーをすることもまたできないので、完全に、誰かを真似する必要はないと思っています。いいところは盗みつつ。(石田)健太郎くんとかもタイプが違いますからね。
──それこそ、内村俊太選手もサイズは大きくないですよね。ただ1対1に強い。
そうですね。まさにフィクソでもそういう違いがあると思います。
──インテルでトップチームに呼ばれる。これってどんな感覚ですか?
昨シーズンはサテライトチームに加入していて、その1年間でトップチームに絡めたらいいなくらいの感覚でした。ですが、プレシーズンに(トップに)呼ばれて、そこからトップチームにいたので、最初は見たことある選手ばっかりだって感じでした(笑)。ただ向こうの人はみんなフレンドリーで、すぐに打ち解けてくれました。正直、言葉もまだ十分にわからなかったですけど、それでもコミュニケーションを取ろうとしてくれました。
あこがれのように見ていた人たちがすぐにチームメートという感じで受け入れてくれたのでありがたかったです。
──パスが回ってこないなんてこともなく。
全然、そんなことはなかったです(笑)。それこそ、チームメートが木暮(賢一郎)監督のことを知っていたり、(清水)和也くんや、吉川(智貴)さんもそうですし、今までプレーした選手たちが残してくれたものは、絶対にスペインにはあるので、そういう恩恵を受けながらやれているのかなと思います。
──原田快選手もバルセロナでトップチームデビューしましたね。
出ましたね。
──トップで戦えることも。
可能性はありますね。そのためには僕ももっと頑張らないといけないですね。
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