更新日時:2023.12.17
【日本代表】南米王者・アルゼンチンを相手に、木暮賢一郎監督が感じるチームの確かな成長。「今までよりハイプレスをかけ、守備の時間を減らすこともできた」
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12月14日、大田区総合体育館にて日本代表vsアルゼンチン代表の国際親善試合が行われ、試合は1-1のドロー。試合を終えて、日本代表の木暮賢一郎監督が記者会見に臨んだ。
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GKの途中交代を試し、アイテムを増やせた
●フットサル日本代表|木暮賢一郎監督
──試合を振り返って。
昨日の会見でも話しましたが、チケットも完売し、多くのお客さんに見にきていただけている会場で、代表チームとしてプレーできる幸せを感じようという話を全員にしました。フットサルの魅力、競技の発展のために情熱を伝えられるようないいゲームを行うことができました。
──立ち上がり、パスが弱くなってカットされ、危険なシーンが何度かありました。時間とともに順応していったように見えましたが、そこは強豪のレベルに慣れるのに時間が必要だったんでしょうか。
自分の起用法としてはセットで代える時間帯と、セットの内容で選手を入れ替える時間帯と両方のスタイルを使っています。試合のスタートについては、非常にスピーディーにできました。その要因としては、スタートのセットは1番一緒にプレーをしたりトレーニングを積んでいる時間が長い4人であり、専門的なフィクソはいないですが全員走力があって、モビリティのあるメンバーだったこと。直近のウズベキスタンでも同じ4人を使ったので、そこで培った慣れや阿吽の呼吸の精度があり、とてもよかったと思います。
次のセットはウズベキスタンに行っていない選手だったこともあるのか、タイミングのずれが生じてしまい、ボールの周りが良くなかったなと感じました。それでも、その後素早くアジャストしてくれました。選手個人としては常にいいプレーができるとは限らないので、全選手もそこを感じ取りながら、チーム全体の精度を上げられました。
立ち上がりは、各々いろんな感覚があったと思いますが、それでも明らかに去年のブラジルとの国際親善試合よりも選手の経験値は増えてなと感じられました。若い選手も多いので、今日の経験も学びに変えて、第2戦ではもっといいプレーができるのではないかと期待しています。
──試合開始から10分のタイミングで、すでに黒本ギレルメ選手を呼んで話をしていましたが、試合時間残り5分でのタイミングで交代に踏み切った理由は?
フットサルは選手の交代が自由な競技ですが、GKを変えることはあまりありません。ただ、チームには異なる特徴のある2人のGKがいます。ここ数回の活動でゲームの流れや置かれている状況を見て、新しい戦略の可能性を探りたいという話をGK2人やコーチと話をしていた前提がありました。
ハーフタイムが終わって全体に、0-1の状況が続いた場合、想定したくありませんが0-2になった場合、相手のプレスが高くボールが持てない展開が続いた場合のため、クロ(黒本)を使うプランの再確認をしました。そういう話をして、後半は0-1の時間が長く続いたので、残り5分で交代を決めました。フィールドの選手には彼が入ったら何をするかを伝えていましたし、相手がパワープレーをしたらまたフィウーザに戻す。ハイレベルなゲームでそれぞれの特徴をゲーム展開で使うことができましたし、アイテムが増えたと思います。
ピヴォの3人も素晴らしい努力をしてくれている
──強い相手でしたが、今日の内容は手応えを感じているのか。もう少しやれたと感じているか。
相手にも移動時間の問題はあったと思います。我々も今年ブラジルに行った時は30時間かけて中1日でゲームしました。今の世界情勢はタフな要求レベルを突きつけられることが多いです。なので相手のコンディションいい悪いを物差しにしてはいませんし、今日来ているメンバーのほとんどは今年の南米チャンピオン、W杯チャンピオンを経験したメンバーで、ほぼベストメンバーです。我々の進む方向性としては非常にいい手応えを感じています。
これまでの日本は、守備の時間が長くなるという現実がありました。いい守備をしてW杯でベスト16までは進めても、その先をどう乗り越えるかについては、引いてカウンターで勝機を見出すのではなくボールを持つ時間を長くしないといけない。相手のプレスをコンスタントに回避して、今までよりも守備の時間を減らしたり、相手の背後をとるプレーが必要になります。
(そういう戦い方をして)起こり得ることとしては、今日のようにロースコアの試合になること。それは理解していましたが、フットサルでボールを長く持って相手のプレスを回避して、スピーディーなプレーは見せることができたと思います。次の試合についてはそこにプラスして、ゴールを奪う精度をより高めていく必要があります。
これまでアジアの国に対しては自分たちがイニシアチブを取る戦いをできていましたが、今日のようなアルゼンチンやスペイン、ポルトガルという国と戦うことを、これに満足することなく意識したいです。
ゲーム展開については、相手のレベルの高さもあってボールを回された時間もありましたが、ハイプレスをかけることもできましたし、概ね想定通り一定の評価ができる試合になりました。これからも攻守において自分たちが目指しているものの精度を上げていきたいです。
──アジアカップ予選では世界を相手にピヴォのマッチアップで優位性を出せないという判断で、クワトロのパス回しに力を使われました。今回のアルゼンチンに対しては、その戦術にどれくらいトライできたか。手応えについてはどうだったか?
試合に入る前にピヴォの3人にはその話をしました。(メディアから)よく3-1か4-0か、難しいですかと聞かれるし、もうそこに関してあまり言われたくない。だからそう感じさせないプレーをこのゲームで示してほしいと。そこについては彼らも感じている部分があるし、彼らは素晴らしい努力をしてくれています。ただ、僕はピヴォを使わないとか、いらないとは一切言っていませんし、3-1か4-0かという人の配置でゲームを区切りたくありません。質問にお答えするなら、ピヴォの選手たちはチームの機能と彼らの機能をこのハイレベルのゲームでうまく展開して、取り組んでいるものを示してくれたと感じています。
若手とベテランで健全な競争を
──国内の代表戦に出場したことがない選手も今日はピッチに立ちましたが、彼らへの評価を教えてください。
前々からもお話はしていますが、自分は若い選手がすごく好きです。伸び代やポテンシャルに期待しています。そういった選手がハイスピードで駆け抜けてくれるようになるためには、試合に使うことが大事だと考えています。出場時間が短いことで満足感はないかもしれませんが、この代表に呼ばれず、この試合をスタンドや映像で見て「相手強いな」「こうしたほうがいい」「自分だったらこう」と思うことと、同じ目線でベンチで見ることとは全く景色が違います。
さらに1秒でもピッチに立って相手と対峙するのは経験になる。誰でも最初からプレータイムがあって、クラブと同じパフォーマンスをすることは簡単ではないし、自分も20、21歳で代表戦に出場した時はなかなか輝くことができず、消化不良の試合を何度も味わいました。代表に選ばれて1、2年目はだいたいそういうものです。
ただ彼らに伝えたいのは、この試合を外で見ているだけよりもはるかにいい経験だということ。次の試合では、いいパフォーマンスをしてくれるはずだし、もっと今日よりもいい試合をしてくれるはずです。そういう若い選手がどんどん出てきてくれることで日本のフットサルの未来はもっと明るくなります。代表チームでこれだけ若い選手をこの2年間招集して使い続けているというメッセージをいろんな指導者に感じ取ってもらって、いい選手を育成年代から育ててほしいなと思います。もちろんベテラン選手も大事ですけどね。
──デビュー戦になった、甲斐稜人選手については。
すごく大きな意見をするプレータイムや、攻守の関わりはなかったかもしれません。それでも彼の表情や、臆することなくディフェンスを行うこと、相手の脅威になろうとする姿は見てとれました。やっと一歩踏み出したという感じですね。金澤空、山中翔斗、山田凱斗も含めてU-18の代表から見てきている選手なので、その世代がこの先、主役になれることを期待して何年も前から鍛えています。ほかの若い選手、彼らに刺激を受けるもっと下の年代の選手にも努力してほしいし、ベテランの選手たちはそれを阻むくらいの切磋琢磨をし合って、健全な競争が生まれることを期待しています。
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