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作成日時:2023.12.22
更新日時:2023.12.23

【ヒカルのF2探検記】戦国の歴史薫る長野で、「推し活」と「推し甲冑」をめぐる旅|ボアルース長野

PHOTO BY青木ひかる、勝又寛晃

みなさん、こんにちは。SAL編集部の青木です。

2023年も残すところあと数日。F1リーグもファイナルシーズンに突入し、優勝争いと残留争い、個人タイトルなど見逃せない試合が目白押しです。

一方、今シーズンはF2の戦いも拮抗。

ここ数年は、しながわシティが“絶対王者”として君臨していたため早々に優勝チームが決まっていたものの、今年は12月23日、24日に行われる最終節まで、争いがもつれこんでいます。

残り1試合を残して優勝争いに名を上げているのは、現在1位のヴォスクォーレ仙台と2位のボアルース長野。

ともにF1リーグを経験したことのある2チームのどちらが、再昇格のチャンスを手にするのか。

運命の残り1試合を前に、9月にお邪魔した長野の観戦記録をお届けします。

取材・文/青木ひかる



いざ、平日ナイターのプチ遠征へ

F2の9クラブを巡りたいとスタートさせた【ヒカルのF2探検記】。さてさて、次はどこに行こうかと模索しておりました。

ただ、週末は今自分が担当させてもらっているJリーグの試合と重なってしまったり、首都圏にチームがなく1日、もしくは宿泊込みの2日がかりの取材になってしまうため、なかなか優先度が下がってしまいがち。

そこで目をつけたのが、9月22日の金曜日の19:00に開催される、ボアルース長野vsマルバ水戸の一戦。JリーグもほかのFリーグの試合も被らないこの日ならば、移動中に業務をしながら観戦ができるのでは?と、池袋駅から片道2800円の高速バスに飛び乗り、弾丸旅を決断しました。

今回試合が行われることぶきアリーナ千曲は、JR長野駅からしなの鉄道に乗り換えて20分ほどの場所にある体育館。最寄りの屋代駅周辺について情報を集めたところ、「時間があるなら、上田駅のほうが観光スポットがたくさんあるよ」とアドバイスをいただきました。

バスに揺られること約5時間。目的地の上田に到着し、一息ついて駅前の写真を撮ろうと振り返ると、駅の建物には地元の戦国武将・真田幸村の六文銭のマークが。

歴史にうとい私でも一度は「教科書で見たことある!」この家紋ですが、ボアルース長野のユニフォームの首元にもしっかりあしらわれています。

 つゆや薬味で甘さを調節!名物『くるみそば』

駅前のドトールコーヒーで急ぎの作業だけ片付け、14時過ぎにちょっと遅めのお昼ごはんを食べるため、お蕎麦屋さんを物色。以前、浜松編で登場したサポーターから「長野は『くるみそば』がたまらない」と教えてもらい、駅から10分の『刀屋』さんに向かいました。1961年に創業した古風な店内は、お昼どきを過ぎているにもかかわらず、ほぼ満員の人気ぶりです。

壁際にあるメニュー表に載っていた『真田そば』に誘惑されながらも、予定どおり『くるみそば』を注文。「お蕎麦の量は小、中、普通、大。女性は中をおすすめしてます」とのことで、少し悩みましたが中を選択しました。

「ちょっと足りなかったら、あとでアリーナグルメをたくさん食べよう!」と思っていたものの、届いたお蕎麦の量にびっくり。普通より「少なめ」なはずなのですが……。

横には、くるみを練り込んだみそとタレがついており、蕎麦つゆを混ぜていただくスタイル。最初はつゆを少なめにして一口食べると、みたらし団子のようなくるみの味噌の甘さが口いっぱいに広がります。甘さに少し飽きてきたなと思ったら、つゆを増量して味を調整したり、ねぎやわさびの薬味を加えることで、少しずつ違う味が堪能できます。ただ、食べ終わる頃にはもうお腹いっぱい。普通サイズにしなくて良かったと、少し安心しました。



 難攻不落の上田城で「推し甲冑」探し

お腹が満たされたところで、20分ほど歩き上田城へ。

バスの道中で調べたのですが、この城は大河ドラマ『真田丸』の主人公である真田幸村(信繁)のお父さんである昌幸が、1583年に徳川家康の援助を受けて建てたお城。ところが、完成から2年後の1585年、命令に刃向かったことで徳川の逆鱗に触れ、城が攻め込まれる事態に。

このピンチに「城の中に敵を誘い込む」という昌幸の策が功を奏し、わずか2000人の軍で7000人の徳川軍を討ち返すことに成功。その後、1600年に起こった関ヶ原の戦いの際にも、この上田城で徳川軍を足止めしており、難攻不落の城として知られています。

1615年に起きた大阪夏の陣で豊臣秀吉とともに敗れた真田幸村ですが、圧倒的不利な状況から、あと一歩のところまで徳川家康を追い込んだそう。若干無理やりですが、F2優勝を目前にした仙台軍に立ちはだかる、難敵・長野の構図を考えると少し被る部分も……?ないか。

敷地内には、上田市立博物館が併設されており、入館料は300円。プラス200円を支払い、上田城の櫓(やぐら)の中まで見学してきました。

博物館には、真田氏のあとに上田城の城主となった仙石氏、松平氏時代のさまざまな形の甲冑がずらり。戦いのためだけではなく、元服など通過儀礼の際に着用するものもあるようで、小さい子ども用のサイズも展示されていました。

ちなみに、私が一番気に入った1着はこちら。

猫耳かと思いきや、フクロウをかたどっているらしいです。

櫓に上がると火縄銃体験コーナーが設置してあり、『武者窓』と呼ばれる窓から敵を迎え撃つ態勢を体験することができます。せっかくなので、近くにいるスタッフさんにお願いして記念撮影。神社でおみくじもして2時間近く滞在し、戦国の片鱗を存分に楽しみました。

 「推しグッズ制覇」は人脈が命

上田城を後にし、17時過ぎの電車に乗って1時間半前には会場に着くつもりが、上田駅に戻るまでの道をのんびり歩き過ぎて、乗ろうとした電車を逃してしまいました。次の電車はまさかの25分後。乗り遅れには要注意です。もう1点の注意点としては、しなの鉄道はSuicaなど電子マネーが使えないため、現金を用意しておく必要があります。

25分ほど電車に揺られ、屋代駅から徒歩15分ほどで会場に到着。

2018年にできたばかりのことぶきアリーナは白基調のとても綺麗な施設で、広い駐車場も完備されています。さらに敷地内には、選手と試合告知ののぼりがずらり。「試合に来たぞ!」という高揚感を味わうことができます。

ちなみに、いつもは一人で記者席で見ることが多いのですが、今回は取材申請と別でアリーナ席のチケットを購入し、長野ファンのみさきちゃんと観戦することに。大学受験を控える現役女子高生の彼女は、今年長野に加入した三笠貴史選手がきっかけでFリーグ観戦にハマりはじめたそう。前回の浜松編の訪問記と三笠選手の対談記事の感想とともに、「ぜひ長野にもきてください!」とお誘いしてくれました。

10歳近く年の離れた子とご一緒していいものかとドギマギでしたが、アリーナ席で「はじめまして」の挨拶をしてから、たくさん「推し」の話を聞かせてくれました。

すると、席に一人の長野ファンの女の子が近寄ってきて、「これ当たったけどいる?」と、手には三笠選手の缶バッチが。

中身がシークレットのガチャガチャはお目当ての選手が当たるとは限らないため、ファン・サポーター同士でこういった譲り合いが発生します。「え!いいの!ありがとう!!!」と、とってもうれしそうな様子に、私までほっこりしました。

りんごにおやきと、会場でも長野名物をGET

そうこうしているうちに、席の目と鼻の先で試合前のアップが始まりました。会話も聞こえるほど近距離に選手たちが現れ、思わず黙り込む私たち。普段取材で選手と接することはありますが、戦いを前にした真剣な表情にこちらの緊張感も高まります。

会場内は装飾だけでなくライティングも豪華で、選手入場前のメンバー発表では、チームカラーの赤とアウェイユニフォームの青に会場が照らされ、応援席からはコールリーダーさんが叩く和太鼓の音が鳴り響きます。

第1ピリオドを終え、ハーフタイムにはファン・サポーターのPK対決に、みさきちゃんがエントリー。開始を待っている間に、グッズ売り場とアリーナグルメを散策します。

まだお蕎麦がお腹に残っていましたが、切り干し大根と、ナスのおやきを購入。屋外で販売していた「たません」も気になりましたが、今回は見送ります。

一番驚いたのは、会場で果物の販売を行っていること。しかもとってもお手頃で、シャインマスカットの値段はなんと250円。ただ、プチ遠征で来場しているため持ち帰りが難しいと判断し、マスカットではなく3つで200円のりんごを購入しました。

アリーナに戻ると、ちょうどピッチに立つみさきちゃんを発見。「17歳の集大成をぶつけます!」と意気込み、スタンドからは応援の声が飛び交います。助走をつけて勢いよくシュートを放ちますが、残念ながら浮き玉のボールは枠外へ……。代わりにGKとしてゴールマウスに立った時には、しっかりとセービング。大盛り上がりのPK対決となりました。



「推し活」を保護者目線で見届け

試合は4-2で長野が勝利。一時は同点に追いつかれたものの、第2ピリオドに巻き返し、無敗記録を7に伸ばしました。

試合後、記者会見に出席し「ファンサービスの時に本人を目の前にするとうまくしゃべれないので、そばにいてほしい」というオーダーに応えるべく、一緒に選手を待ちます。健気な姿に、きゅん。

ただ、待っている間に急遽オンラインミーティングが入ってしまい、本当にそばで見守るだけになってしまったのですが、どうやらちゃんとお話しできたようで一安心。受験がひと段落するまで、しばらく試合観戦に来られないというみさきちゃんに対して、「頑張ってね」と声をかける三笠選手。これ私、とても邪魔では?めちゃくちゃ邪魔だよね。

最後に2ショットを撮る際には、カメラ係としての任務を果たしました。ナイターゲームですでに21時過ぎなので、もう保護者代わりの心持ちです。

屋代駅までの帰り道では、たまたま見かけたポスターを見て開幕戦で初観戦し、第3節のホームで仙台に敗戦。アウェイを挟んで第5節のヴィンセドール白山戦での三笠選手の2ゴールを見て、完全に心をつかまれたというエピソードを教えてくれました。今日も、「先に帰っちゃったけど、PK戦の応援とみさきの推しを見てみたいって、スタンド席に何人か学校の友達も来てくれたんです」と集客にも貢献するファンの鏡。頭が下がります。

試合だけでなく、Fリーグの「推し活」の実態も知ることができ、とっても充実した長野旅になりました。もしよければ、みなさんの「推し選手」の魅力やエピソードも教えてくださいね。

最終戦はことぶきアリーナではなく別会場での試合となりますが、機会があれば「推し甲冑」巡りもぜひともよろしくお願いします。

12月23日(土)

時間 カード 会場
14:00 ボアルース長野 vs アグレミーナ浜松 ホワイトリング



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