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作成日時:2024.01.26
更新日時:2024.01.26

【インタビュー】旦那様は日本代表。アスレのムードメーカー・黒本里紗が楽しみ抜いた8年間のフットサル生活「みんなに会えて、プレーできたから、心から楽しめました」

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オン・オフを問わず、常にチームを真ん中で明るく照らす、立川アスレティックFCレディースのムードメーカー、黒本里紗。「普段から人をいかに笑わすかを考えている」という黒本の周りは、笑顔であふれている。

性格は負けず嫌い。ピッチでは、熱い気持ちでチームを引っ張りながら、うまくいっていない選手に声をかける一面もある。チームメイトが「何度も励まされ、いつも支えてもらっていた」と話すように、立川における黒本の存在は大きい。

そんな彼女は、この1年で人生の転機を迎えた。2023年2月、しながわシティに所属する黒本ギレルメと入籍。2024年1月、今シーズン限りでの退団を発表。ここでいう退団は「現役引退」を意味するという。8年間続けてきた競技フットサル生活から離れる決断を下した。

1月21日、リーグ戦ラスト2試合目を終えた直後、彼女に話を聞いた。

いつもどおり“ふざける”姿勢を貫き通しながらも、一つひとつの質問にていねいに答える彼女は、あの頃と変わらない。私にとっては、高校時代にプレーしたスフィーダ世田谷の2つ上の先輩でもある。ピッチの中でも外でも光り輝く里紗さんに、ライターとしては初めての取材。フットサルへの思いやプライベート、引退後について彼女の胸の内に迫った。

大事にしてきたのは得意なプレーで自分をアゲること

──里紗さんがフットサルを始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

きっかけは、今スペインでフットサルをしている船附ひな子(ADセウタ)に誘われたことでした。

大学では、高校まで続けたサッカーをやめて、なにもしていなかったんです。フットサルを遊びでやっていた時に、当時の府中アスレ(現立川アスレティックFCレディース)の練習に誘われました。行ってみたらまあみんないい人で。おもしろい人もいっぱいいたし。それで始めてみたら「フットサルおもしろ!」となってハマりました。

1年目はなにもわからなくて、がむしゃらにやっていました。最初は周りがいい人たちだったから始めたけど、1年目の途中くらいから、味方と連係してうまくいった時に「楽しいな」と思うようになりました。当時は、今コーチをしている森佳祐監督でした。優しかったし、フットサルの初期段階のことをたくさん教えてもらいました。

──8年間フットサルをやっていて、記憶に残っていることは?

いっぱいあるけど、特に1年目に浦安(バルドラール浦安ラス・ボニータス)と対戦した時の記憶は残っています。

その時、自分たちはフィールドが5、6人ぐらいしかいなくて、本当に人数が少なかったんです。誰かが1点入れて、そこからはもうずっと攻められっぱなしだったけど、みんなで頑張って守って、ギリギリで勝ちました。本当に疲れたけど、マジで今ではありえないぐらいみんなで頑張って、試合が終わった時にめっちゃ喜んだのを覚えています。

あとは、去年のアリーナ立川立飛でのホームゲーム(2022年7月16日vsアルコ神戸)。ずっと1-0で勝っていたけど、終了間際の残り10秒で失点して、1-1にされたんです。でも、直後のキックオフでボーンって前に蹴ったら、残り2秒で今、SWH西宮にいる斉下遼音選手が決めて。めっちゃうれしかったですよ。超喜んだもん。

その時はホームだったし、知っている人もいっぱい応援に来てくれました。地獄から、一気に天国に昇った感じを今でも覚えています。劇的でした。

──フットサルをプレーする上で大事にしてきたことはありますか?

うまくいく時もいかない時も、人間だからあって。でも、自分の強みはハイプレッシャーをかけるディフェンスだと思っているから、試合でたくさんミスしちゃうことがあっても、自分の得意なことで、自分を“アゲて”いこうというのはあったかな。

うまくいかない、うまくいかないって考えていると、どんどんプレーも悪くなっちゃうから。だから、まずはディフェンスだけでも頑張ろうと思っていました。あとは、きついけど走るとかですかね。

日本代表の旦那様が洗い物担当

 

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──里紗さんは、2023年2月に黒本ギレルメ選手とご結婚されました。お2人は普段からフットサルの話をしますか?

します!Fリーグの試合も一緒に見るし、(ギレルメ選手の)試合のハイライトを見ての感想とか。「これは無理なの?」みたいに私が質問して答えてもらうことが多いです。お互いフットサルが好きだし、競技の話はけっこうします。

今日もそうだったのですが、私の試合とかも、近場だったらたまに見に来てくれるから、その時は感想を言われます。けっこう褒めてくれるかな。「良かったよ~!けど残念だったね~」とか「1番輝いてたよ」とかも言われますね(笑)。

──里紗さんだけが知っているギレルメ選手のいいところは?

基本、優しいこと(笑)。家事は、洗い物をやってくれます。私がご飯を作って、洗い物は絶対にやってくれる。向こうが作ってくれる時もあるんだけど、その時も洗い物はしてくれる。洗い物は絶対です。

私は、洗い物が嫌いで(笑)。爪とか傷んじゃうし、手も荒れるし。そこの分担はちゃんとできていますね。

──逆に「ここは直してほしい!」というところはありますか?

いっぱいあるけど(苦笑)。フィウーザ(湘南ベルマーレ)とか、ブラジル出身の友達がFリーグにもいるんだけど、その人たちと電話とかボイスメッセージをするんです。それが長い。そして声がデカい。家の中でも、声がでかすぎてマジでテレビが聞こえなくなる。本人にも言っています。「声がデカい!」って。

しかも日本語じゃないから、なにもわからない(笑)。英語だったらなんとなく……まあわかんないけど。でもポルトガル語だと、余計にわからないからやめてほしいですね。

ママさんで復帰……それはわかんない(笑)

──先日、退団を発表しました。里紗さんらしい表情の写真がたくさんあって。でも、そこで語られている内容は「現役引退」でした。どんな思いがあったのでしょう?

私はもう引退する気持ちというか、いったん終わりだと思っています。でも母親から「引退じゃなくていいじゃん」と言われたので「退団」にしました。

退団コメントにも書いたけれど、母親も父親も、家族が私のフットサルをめっちゃ応援してくれていて。そのためにやっていたのもあるから。だからまだやってほしいのか、またやってほしいのかはわからないけど、おそらく願いも込めて「退団にしなよ」と言われたので、一応、退団にしました。またやるかもしれないですしね(笑)。まだ体力的にはできると思っているので。

──そうだったんですね。引退を決めた理由は?

一番の理由は、結婚もしたので子どもがほしいという理由です。

──では、子どもが生まれたらその後、ママさんで復帰とかも……?

いや~どうかな。そこはなにも考えていないです。今のところは「第2の人生スタート!」みたいに思っています。

──第2の人生で「これだけはやる!」と決めていることはありますか?

頑張りたいのは料理とポルトガル語。さっきも話したけれど、(ギレルメ選手が)電話とかで話していることがなにもわからないのは悔しいから、真剣に勉強してみようと思います。料理もできる時間が増えると思うから、オシャレで美味しい“映える”料理ができるようになりたいです。

──料理は好きなんですね。

いや、別に好きではないですね。でも作ったら「美味しい」って食べてくれるので、じゃあ作ってあげようと思います(笑)。

でも遠征とかが多いから、向こうがいない時はもう簡単なもの。食べられればいいやと思って、肉を焼いてご飯と食べるみたいなことしかしてないです。

──料理の写真があったら掲載したいのですが……。

見せられるほどのものはないです!唐揚げバンッみたいな。まだ映えません。2年後ぐらいに送れるように、インスタに載せられるような料理を作れるようにします!

──最後に、退団リリースでもたくさん思いを語られていましたが、改めてチームメイトや関わってきた人たちに伝えたいことはありますか?

みんなが大好きで、疲れていても「よし練習に行こう!」と思わせてくれた仲間たちがたくさんいました。普段、嫌なことがあった時も、みんなに会って、みんなとフットサルしたら、その時は忘れて心からフットサルを楽しめました。

フットサルのない生活だったら、こんなに試合で喜ぶことも、悔しがることも、あんまりないから。だから自分は、何年間も最高な生活をしていたんだなって改めて思います。サッカーとかフットサルをやってきたことで、人とのつながりもたくさんできました。私が関わったみんなは本当にいい人たちだったし、おもしろい人たちでした。

ホント、みんなに感謝感謝です。感謝申し上げます!

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