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作成日時:2024.03.06
更新日時:2024.03.08

【第29回全日本選手権|ミックス/名古屋vs立川】選手権準優勝でシーズンを終え、来季は新体制で新たなステップへ。立川・皆本晃「3年後くらいから立川の逆転のフェーズが始まる」

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3月3日、駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場にて第29回全日本フットサル選手権大会の決勝戦が行われ、名古屋オーシャンズ立川アスレティックFCが対戦。試合は6-2で名古屋オーシャンズが5年ぶり6度目の優勝に輝き、立川は惜しくも準優勝という結果に終わった。

試合には敗れたものの、試合を通して高いパフォーマンスを見せたのが立川・皆本晃。2022-2023シーズンより選手と兼任しクラブの代表理事も務め、業務に追われる皆本だが、決勝戦に立つ主力メンバーとして強度の高いプレーを見せた。今大会をもって、3年間ともに戦った比嘉監督が退任し、チームは新たなステップへと進む。クラブの行先を見据える立場の源は、この先どんな未来を描いているのか。

試合を終え、皆本に話を聞いた。

比嘉監督がプロとしての本当のマインドを植えつけてくれた

──名古屋の強みであるピヴォを抑えることが、この試合を左右するポイントだったと思います。

名古屋のピヴォは本当に強力でした。名古屋はピヴォを中心に質的優位を作って攻めるのが伝統のスタイルですが、そこの部分で負けてしまうと試合にならなくなると思っていたので、対等にイニシアチブを取ることは意識していました。ただ、今日の試合では押し込まれる部分もあり難しかったなという印象ですね。

──今日の名古屋戦では前半を中心に多くのチャンスも演出していました。やはり勝負を分けたのは「決め切る力」でしょうか。

決定力もそうですが、見えないプレッシャーもありました。ゴール前までボールを運ぶ作業は労力もかかりますし、相手の攻撃に対して自分たちのディフェンスの強度も高くしなければならなかったので、相手のゴール前まで迫った際に落ち着きを保てるフィジカルの状態では無かったと思います。仮に相手が格下で、自分たちが楽にプレーを進められていたら同じ状況でも得点は生まれていたと思います。国際試合でもレベルの高い相手と対戦した時に、ゴール前で力が入らないというのと同じ状況かなと思うので、一概に決定力だけとは言えないです。とはいえ、チャンスの数自体は明らかに以前よりも作れるようになっていると思います。そこはポジティブに捉えたいですね。

──今日の試合では、昨季まで在籍していた金澤空選手にもゴールを奪われました。やはりこの失点は悔しかったですか?

試合に負けた方が悔しいです。チームを退団した選手だから決められて悔しいということはないです。別に彼も裏切り者で出てっているわけではないので。

──今日の試合は比嘉監督にとって最後の試合となりました。皆本選手にとって比嘉体制の3年間はいかがでしたか。

本当にクラブとして1つステージを上げてもらったなと思います。優勝は1度しか出来なかったですが、リーグ戦も何度も上位に食い込み、オーシャンカップでもファイナルに進出する事ができました。戦術的な面はもちろんですが、監督がプロフェッショナルとしての本当のマインドを植えつけてくれたのではないかと思います。ミスに対しても本当に厳しいですし、これがポジティブかは分かりませんが、若い選手を簡単には試合に出しません。最低の基準を超えないと試合に出れるわけないよって。練習から若手やベテラン、日本代表選手にも関係なく厳しい指導をしますが、プロフェッショナルなマインドをチームに持ち込んでくれたお陰でチームの基準が上がったという点で本当に感謝しています。

──ここ数年リーグ戦でも上位を保っていますが、高い結果をずっとキープし続けることは比嘉監督のマネジメント力だけではなし得ないと思います。

比嘉さんがマインドを植え付けてくれた部分ももちろんありますが、クラブとしても選手が成長出来る土壌がもともとあるのかなと思います。選手がいなくなっても、また次の選手がチャンスを掴んで結果を出して成長する。だからあまり言いたくはありませんが、代表にもアスレ出身の選手は沢山いると思います。(笑) これは僕たちが作ってきた土壌の中で育ってきた選手たちだからこそ花開いたということで、そのマインドや技術の面で成長できる土壌があることがチームの強みなのではないかなと。戦術だけではなく、フットサルに対しての考え方や価値基準は大事にしていきたいです。



5年後や10年後、100年後を見据えたクラブ作りをしなくてはいけない

──代表理事としての皆本選手にお伺いしますが、今シーズンも新井裕生や菅谷知寿といった目立った活躍をした選手が他チームからのオファーを受けて退団する事が決まっています。このように結果を出したがからこそ、戦力が流出することについてはどう感じていますか。

先ほども話したように、このクラブには選手が育つ土壌があって、選手たちは私たちの想像以上のスピードで伸びているので、クラブの運営が追いついていない現状があります。やろうと思えば選手を引き留めることも出来るとは思いますが、クラブを潰すわけにもいかないのでそこは判断をしなければなりません。もちろん大切な選手たちには残ってほしいですし、クラブとしてもいい条件を提示したいですが、それでクラブが潰れてしまったら元も子もありません。目先の1、2年だけではなく、5年後や10年後、100年後を見据えたクラブ作りをしなくてはいけないので、選手が流出することはもちろん悔しいですが、それでも残ってくれる選手は成長してくれる事を信じて育てていければと思っています。僕の感覚では3年後くらいから立川の逆転のフェーズが始まるかなとは思っています。そこに向けてチームを良い状態にできるように頑張っていきたいです。

──代表理事と選手の二足のわらじを履いて過ごしたこの2シーズンですが、今日のパフォーマンスを見ているとまだまだやれるなと感じました。

やれるなとは思ってないです(笑)30分プレーする体力ももう持っていないですし。しかし、フットサルの技術が下手になったとは思っていません。フットサルという競技の特性上、交代すれば技術は発揮できますが、交代の頻度も多くなって、パフォーマンスを発揮できる時間も短くなっていますね。

──年を重ねて走れなくなっても、フットサルの技術は落ちないと沖縄SVの高原直泰さんもおっしゃっていました。

高原さんの境地までいけているならよかったです。(笑)

──皆本選手のやられている事は高原さんと近い部分もあるのではないですか?

そうですね、ほぼ一緒だと思います。高原さんは既に現役を終えられていますが、本来は僕も辞めることが出来るように選手を育てなければならないし、補強もしなければならないと思っています。僕がずっと出ているようじゃダメだと常に思っていますが、プレーは全力でやりますし、若い奴に負けないという思いは常にあります。まだ動けるうちはプレーの中で激しさを見せて、周りの選手に刺激を与えられればと思っています。そういう思いで毎日やっていても、「お前のほうが」と言われるような選手が出てきて辞めたいですね。

──上村選手はこのクラブでこれからもプレーしていくという話を聞かせてくれました。こういった選手とこれからもチームを作っていくのですね。

こういった環境の中でもチームに残ってくれる(上村)充哉のような選手は大事にしなければいけないと思っています。もちろん、他のチームのオファーに比べれば報酬は低いのかもしれませんが、彼を含めた他の選手の環境も少しずつですが、改善することが出来ているのではないでしょうか。

──明日からオフシーズンとなります。

練習はしなくてよくなりますが、明日も営業がとんでもない数が入っています。近いうちに金満クラブになっているといいですね。(笑)



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