更新日時:2024.07.06
【インタビュー】町田で突き抜ける。スペインでの2年間で“弱さ”と向き合った毛利元亮の次なる目標
PHOTO BY伊藤千梅
「全部が足りていなかった」
2年間のスペインでの生活で自身の“弱さ”と向き合った毛利元亮。ただ後悔はしていないと、すべての経験を糧にして日本に戻ってきた毛利の今の目標は、2年前と変わらず大きい。
「どの国のピヴォよりも点取れるようになるのが一番大きな目標」
どれだけ警戒されても結果を残せるピヴォになるために。
古巣・町田で優勝を目指しながら、自分の成長を追い求める毛利に話を聞いた。
取材=舞野隼大
執筆=伊藤千梅
自分の気持ちと向き合った2年間
──今シーズンから町田に復帰されましたが、改めてスペインで過ごした2年間というのはどのような時間でしたか?
自分の弱さがすごく出た2年間でした。好きなようにやらせてもらって、得意なところを評価してもらえる環境だったらのびのびやれると思いますが、自分の欠点ばかりを見られる時期もあって。ただそういうときの自分のメンタルの作り方や整え方はすごく勉強になりました。
──どういったところが足りていないと感じましたか?
全部です。スペインのリーグでやれるかやらないかでいったら、やれるんですけど、そこで突き抜けるためには全部が足りていなかったというのが正直な感想です。いろんな意味で未熟だったなと。どんな状況でも点が取れる選手になりたいと思ってスペインに行ったので、そこに関してはほぼ自分の目標が達成できずに帰ってくることになりました。
──メンタルの部分では、具体的にどのような学びがあったのでしょうか。
日本にいた時には、出場時間が極端に少ないことはあまりなかったけど、スペインに行って試合に出られない時期が続きました。選手でいると他に試合に出ている選手を見て「なんでこいつが」という気持ちが出てくることもあると思うんです。もちろんその気持ちがいいほうに向く場合もあるしそれで踏ん張れることもあるんですけど、自分をコントロールできていないと、無駄なファウルが出てしまうこともあって。僕がいたところもそうですが、スペインはそういうのを気にするチームが多いので、そういった部分で家に帰って反省して、まだまだだなと思うことは多かったです。
──気持ちのコントロールは難しい部分ですよね。
あと最初の頃は特に、息抜きがあまりうまくいっていなかったのもあって。今振り返ると、自分から下を向いてしまうような生活をしていた時期もあったなと思います。でも、後悔はしないタイプなので、そのときの自分は100%でやっていたというふうには思っています。
勝ち取れなかったブルーノ監督からの信頼
──スペインに行って最初の監督は、元日本代表の監督であるブルーノ・ガルシア監督でした。
そうですね。ブルーノと話す機会があったときに、海外に行きたいという気持ちがあって、ブラジルやスペインを考えているといった話は代表の期間でしていました。それもあってピヴォがほしいとなった時に呼んでくれたのだと思います。
──代表チームとクラブチームでのブルーノ監督に違いはありましたか?
ほぼ一緒ですね。例えばセットプレーの番号とかも、ただスペイン語に変わってるだけだったので、言葉がわからないながらもすぐに理解することができました。なのでプレシーズンのときは、スポルティングといった強いチームとの試合にも出してもらっていました。
──特徴を知っている監督のもとでプレーしたことは、やりやすさもあったと思います。
そうですね。ただトップのベンチにはプレシーズンでは何試合か帯同させてもらいましたが、リーグでは出場できませんでした。チームも苦しい状況だったなかで「使いたい」と思われる選手にはなれていなかったと思っています。あとは期待されてるスペインの若手が代表から戻ってきたのもあって、そこでのポジション争いに勝てなかった。信頼を勝ち取れなかったのが大きいです。例えばプレシーズンで点が取れていれば状況は変わったかもしれないし、逆にワールドカップで点が取れていればもっといいオファーがあったかもしれない。タラレバを言ったら山ほどありますが、結局は実力不足だなと思っています。
やっぱり町田が好き
──今回、スペインから町田に戻ってきた理由を教えてください。
このままスペインにいると、もしかしたら賢い選手にはなれるかもしれないけど、自分が求めている選手像からは遠のいてしまうかもしれないという迷いがありました。ディフェンスが2枚来ても反転して点が取れるとか、どれだけ警戒されていても自分でかわして点が取れることを自分は目指していて。それができれば、どこの国と対戦しても日本が脅威になってくると思います。
そのなかでスペインでの2年間は、求められてたことが少し違いました。周りも使ったなかで自分のプレーを出すことも大事だというのは理解していますが、自分の描いていた形とは異なっていて。もちろん全部が環境のせいではないですが、一度仕切り直して地に足つけていこうと思って戻ってきました。レベルの話というよりは、言葉が通じて、自分が安心してできる環境で、またイチから積み上げていけたらなと思っています。
──2年ぶりに町田に戻ってきて、今やっているフットサルの手応えはいかがですか。
戦術どうこうというよりは、本当に勝つためのフットサルをしていると思います。どれだけうまいパス回しをしても、点が入らなかったり最後のところで戦えなかったら勝てないと思うので、そういうところはユースの時から変わらず甲斐さんが求めているところではあると思っています。
──町田は今若い選手が多いなかで、毛利選手の経験を伝えていく立場でもあるのかなと思います。
そうなれればいいんですけど、僕も(森岡)薫さんやバナナ(クレパウジ・ヴィニシウス)に聞いてばかりです。今後そういうことができたらいいなとは思いますが、まだそこまではいけていないですし、勝手に見てくれみたいな(笑)。いいプレーを見てくれればいいし、悪いプレーは「こうしないほうがいいな」と思ってくれたらと。でも本当に町田が改めて好きだなと思っていて、昔だったら試合出場時間が少なかったらふてくされていましたが、今はそういう時でもチームのためにという気持ちが強い。自分より経験値が少ない選手には、少なからず声かけはしようという気持ちではいます。ただ僕もまだまだなので、大先輩にいろいろ聞きながらという感じです。
──町田のどんなところが好き?
簡単に言ったら甲斐さんが好きなんですけど(笑)、これまで一緒にやってきたメンバーがたくさんいて、毎日練習が本当に楽しいです。このメンバーで優勝したいし、甲斐さんを優勝させたいという気持ちが全員あるチームだと思うので、そういうところが好きですね。
どんな場面でも点が取れるピヴォを目指して
──改めてどんな一年にしていきたいですか?
個人的には圧倒的な数字を残したい。まだ2点しかとっていないけど、そういう気持ちでやっています。ゴールが自分の仕事だと思っているので、そこは引き続き成長していきたいです。あとは自分が優勝するために必要な存在となれるように頑張りたい。その上で、自分の目標の一つでもある「町田で優勝する」ことを達成したいです。町田がそういう存在になっていかないといけないリーグだとも思っているので、気持ちだけでうまくいくかわからないけど、その気持ちはぶれずにやっていきたいなと思います。
──個人としてこれから先、描いてるものはありますか?
もちろん次のワールドカップも意識していますが、代表色に染まるためにやるわけじゃなくて、いい意味で自分が成長することだけを考えていきたいです。2028年にどの国のピヴォよりも点取れるようになるのが一番大きな目標ではあるので。自分が誰よりも点を取っていれば最後には呼ばれると思いますし、そこを目指してここからの4年間でいい選択を選んでいきたいと思います。
──また海外に行くことも?
オファーがあればそれも選択肢にはありますけど、まずは今シーズン優勝することが大事です。それができれば、おのずと自分が活躍していて、またそういった話も出てくるかなと思うので、今は目の前のことに集中していきたいです。
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