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作成日時:2024.10.11
更新日時:2024.10.12

【首位・浦安の指揮官に聞く!独占インタビュー】14日、名古屋との超重要決戦へ。小宮山友祐監督「負けたら、一瞬でひっくり返る。ここにいる以上、勝ち続けるしかない」

PHOTO BY本田好伸

バルドラール浦安が好調だ。今シーズンは開幕から5連勝を飾り、夏の中断期間前の9試合で711敗。堂々の単独首位を走っている。

現役時代も浦安でプレーした元日本代表・小宮山友祐監督は今シーズンで就任5年目。悲願のリーグ初制覇へ向け、万全の準備を重ねて後半戦を迎えようとしている。

選手と共に戦う熱き指揮官は、今シーズンのチームをどう見ているのか。また、1014日に迎える再開初戦・名古屋オーシャンズとの決戦、そしてリーグ初制覇の行方は──。まだ暑さの残る9月某日、小宮山監督にその胸中を聞いた。

インタビュー・文=福田悠



選手たちは本当によくやってくれている

──今シーズンの浦安は、第9節を終えて堂々の首位を走っています。小宮山監督は、ここまでのチームの戦い振りをどのように評価していますか?

首位で折り返せたという結果がなにより大きかったと思います。現在1位だからと満足するのではなく、リーグが終わった時に1位にいることが大事だよと伝え続けてきましたが、それって1位に立っていないと伝えられないことなので。第9節まででしっかり勝ち切れたことは改めて大きかったのかなと思います。

ただ、第6節の湘南ベルマーレ戦で敗れて、第8節のしながわシティ戦も引き分けてしまったので、「全部勝ちたかったな」というのは(中断期間に入ってからのオフが明けて)最初に選手にも伝えました。理想は9勝したかったですけど、簡単な試合は一つもなかったですし、当然、強い相手もたくさんいたので。現状711分で1位にいることには満足しています。選手たちは本当によくやってくれていると思いますね。

──今シーズンここまで首位を走れている要因はどういった部分にあるとお考えですか?

いろいろあると思いますが、ホームで戦ったペスカドーラ町田戦(第7節、5-0で勝利)までは、登録したFP全員を起用して勝つことができたというのがチームのなかで大きかったかなと。「自分が必要とされている」という認識を一人ひとりがもつことで自覚や責任が芽生えましたし、「自分も勝つために必要な存在だ」ということを改めて感じてくれたのがすごく大きかったと思います。チーム内での競争もよりいっそう激しくなっているので、そこはすごく良くなっていますね。

あと、ワールドカップには行けなかったですけど、日本代表に入っている石田健太郎、本石猛裕、長坂拓海の3人や、ロドリゴ、レアンドロ、(ピレス・)イゴールも含め、経験のある選手たちがチームを引っ張ってくれているのも非常に大きなことかなと思っています。

──名前が出た日本代表の3人、石田選手、本石選手、長坂選手のプレーのすごみが今シーズンはさらに増しているようにも見えるのですが、その辺りはいかがですか?

そこまで核心を突いた話というのは健太郎とも拓海ともしていないんですけども、彼らはアジア予選で敗退してしまったことに対してすごく悔しさを感じていたと思います。終わった直後はショックを受けていましたけど、切り替えて4年後を目指そうと、いま足りないところをしっかり補っていこうと取り組んでいますね。

本石に関しては今シーズンが始まった時はまだ日本代表に入ってもいなかったので、逆にこれから代表の主軸になることを目指して取り組んでいるのがプレーから伝わってきます。イゴールにしても、もう一度代表に入りたいという思いはあると思うので、そういう選手たちに若手が引っ張られているのかなというのは感じますね。

──新加入のブラジル人選手2人もすっかりチームにフィットしていますね。

おっしゃる通りです。ロドリゴもレアンドロもすごく献身的にプレーしてくれていますし、それだけでなく仲間を思いやる気持ちが非常に強くて。ミスをしてしまった仲間に対しても励ますような言動をしてくれます。

プレーでも違いを見せてくれますけど、同時に献身性もある2人なので、それがうちのチームに合ったのかなと。助っ人の2人があれだけチームのためにプレーすれば、他の日本人選手たちも当然、刺激を受けますから。練習でも試合でも、グループへの献身性はチーム全体としても高まっていて、それは2人の振る舞いによるところが大きいと思います。

あと1stセットに関して言えば、レアンドロがフィクソでプレーできるようになったことが大きいです。正直、今シーズンが始まった頃は「どうかな?うまくフィットするかな?」という未知数な部分もありましたけど、オーシャンカップとその後のリーグ戦9試合を経てフィクソでのプレーが計算できるようになったので。その分、健太郎を1列前に上げられたことで、攻撃に厚みも出ましたし、ディフェンスでも健太郎が1列前に上がることでそんなに簡単に突破されることはなくなる。奪った後も一つ高いところでゲームをつくれることが、攻撃の厚みにつながったのかなと感じています。

──たしかにいまの浦安の1stセットの攻撃力はかなりのものですし、選手たち自身も自信をもってプレーしているように見えますよね。

自信はもてていると思います。細かいことを言えば、長坂、石田、本石、菅谷(知寿)で出す時と、レアンドロと長坂を入れ替えて出す時ではリズム感が若干、違うことはありますけどね。本人たちもクワトロで回すとしても、他のことをやるにしても、リズム感を大事にしてボールをにぎりたいので。レアンドロがいきなりよくわからないところでエラシコとかするので、取られてカウンターを受けることもあるんですけど(笑)。

ただ、そういうもんだろと。ディフェンスの貢献度はレアンドロはものすごく大きいですし、エラシコで相手を抜いてチャンスにつなげている場面も多いですから。

──右足イン・アウトで「トトン!」というリズムで繰り出すあの逆エラシコは彼固有の必殺技ですよね。

あれは初見じゃ絶対に取れないと思うんですよね。(ボールが動く)幅も広いし、かなり鋭いので。日本人選手4人で回している時とはパス回しのリズムは変わりますけど、一方でレアンドロの仕掛けがいいアクセントになっているのも間違いないので、両方あっていいのかなと思っています。

セットの組み合わせが少し変わるなかで、選手同士ですごく話すようになったので。コミュニケーションを密に取れていますし、実際、試合結果も数字上のデータも良いです。なので、セットに関しては、いったんこのままでいいんじゃないかなと思っています。



献身的に守れる選手がいないとチームは成り立たない

──リーグ中断前最後の立川アスレティックFC戦も6-0で完勝を収めました。中断期間が2カ月半と長いからこそ、あの試合で勝てたことも本当に大きかったのではないでしょうか?

立川に勝てたのは非常に大きかったです。結果がすべてだと思って臨んだ試合だったので、何点差でもいいから勝つために必要なことを準備しました。

ただ、シュート数は倍くらい打たれているんですよね。今シーズン、うちが相手よりもシュート数で上回られたのはあの試合だけです。立川には39本打たれていて、こちらは21本しか打てていなくて。数字だけ見たら「よく勝ったな」という試合でしたけど。まあでも、あの試合は攻撃面が目立ったスコアになりましたけど、個人的には地味なディフェンスが良かったなと思っています。

──なるほど。打たれてしまってはいるものの、ファーへのパスコースだけはなんとか消せていたとか、DFが寄せてシュートコースを限定できていた、といった部分ですね。

そうですね。打たれてはいるけど、最後のところで体を投げ出せていたので。一番特徴的なのは田中(晃輝)、染野(伸也)、菅谷といった選手たちで、彼らはディフェンスでの献身性はありますよね。ああいう選手たちがいないとチームは成り立たないよなと、改めて思いました。ゴレイロにイゴールがいるから止められるんじゃなくて、イゴールが楽をできるようなディフェンスをすると、一番、安定感は増すよねと。

「最後の最後はイゴールがいてくれるから打たせていい」ではないんですよ、決して。まずはFP全員で100%、全力で守る。それでも40分のなかで、相手が苦し紛れに無理やり打ってきたシュートがたまたまスーパーなコースに飛んできてしまうこともあるじゃないですか。そこにイゴールがいてくれるっていうことの安心感。そっちだよと。

──小宮山監督は現役時代フィクソの選手だったので、そういった部分はやはり特に大事にされているのではないですか?

そうですね。それで言うと9節までを終えて、(全14失点のうち)相手のピヴォに反転されて3失点してるんですよ。実はこれが全失点パターンのなかで一番多くて。ここだけはどうにか、早急に改善したいなと思いますけど。もちろん、Fリーグにはいいピヴォがたくさんいるので、警戒していても反転されてしまうことはあると思います。難しいのはわかるんです。でも、「わかっていても」をやられてしまうチームはやっぱり優勝できない。わかっていることは全部つぶしていくことが、ここからは特に大事になると思います。

この中断期間に、浦安を引きずり下ろすためにいろんなチームが研究も対策もしてきていると思うので。それを上回っていくのはなかなか簡単ではないですからね。

──「追われる側」になりますよね。

今まではずっと追っている側だったので、そこの難しさは必ず出てくると思います。

──Fリーグ開幕からの数年間は名古屋と浦安が優勝を争うシーズンが続いていました。小宮山さんは当時、浦安の中心選手としてプレーしていましたが、その経験から選手たちに伝えられそうなことはありますか?

あの頃はシト・リベラ監督の下でとにかくがむしゃらにやっていたという印象が強いです。そんな初年度を思い返すと、デウソン神戸あたりはすごくやりづらかったんですよね。正直、なにをしてくるかがわからなくて、それでいて11の能力がものすごく高い選手が多かったので。ああいうスタイルのチームに対して、自分たちは相性が悪かったんです。

そういううまくいかない時に、シト監督はだいたいすぐにパワープレーを決断していましたね。それですぐに点を取ってゲームをひっくり返して、という采配。当時、浦安には経験のある選手がたくさんいたからこそあのやり方が可能だったんだと思います。

でも、あれから20年近く経ってリーグのレベルも上がってきましたよね。どのチームもしっかりとしたプレーモデルがあって、それを貫いてくるチームがたくさんあるなかで、「これをやったら絶対に勝てる」という戦術は正直ないんですよ。

──たしかに、パワープレー一つ取っても攻撃側が得点を決める確率は当時と比べて格段に下がりましたよね。昔は終盤に34点入ることも珍しくなかったように思います。

Fリーグができたばかりの頃は「守り方がわからない」というチームもあったくらいですからね。いまはリーグ全体のレベルが上がって、そういう必殺技のようなものが通用しなくなったからこそ、一つひとつ積み重ねていくことの大切さを、選手たちにはいつも伝えています。例えば、前半5分で1-0、前半10分で1-0、前半15分で2-0とか、ちょっとずつなんでもいいから積み重ねていく。勝利に近づくために。

そのためには点を取るのもそうだけど、「目の前の11に簡単に負けちゃダメだ」と。さっきのフィクソの話じゃないですけど、フィクソ対ピヴォなんて一番ゴールに直結する場所ですから、なおさらですよね。とにかくまず、目の前の11に負けない。

逆に、柴山(圭吾)とかには、「あなたが相手のフィクソから反転してぶち込めば、相手に与えるショックもデカい。逆にこちらは一気に勢いに乗れる。ピヴォが反転シュートを決めるのには、試合の流れをもってくる効果もあるんだよ」という話もしています。そういう局地戦で、どこまで相手を上回れるか。

──局地戦で。なるほど。

はい。で、理想を言えば2点以上リードして終盤を迎えられたらいいなと思いますけどね。安心して見ていられるので。1点差とかもうドキドキしちゃって(笑)。パワープレーって先ほど話したように今は昔ほど入らないですけど、やられているとやっぱりソワソワしますよね。ボールをにぎられているし、打たれたらDFに当たって(コースが変わって)入っちゃうとかもあるので。やっぱり終盤に2点差でいけるといいなと。じゃないとやっぱり、ちょっと怖いですね。

──試合で指揮を執る小宮山監督の様子を見ていると全然そうは見えませんが(笑)。

態度や振る舞いでは「いくらでも攻めてこいよ」くらいの雰囲気を出していますけど、内心は「やべー」って思っています。試合の終わらせ方ってすごく大事だなって。特に首位のチームは。1点差でも2点差でもいいから、最終的に勝ちをつかんでいく。後半戦はそこの勝負強さがより大事になってくると思います。

──どれだけ勝点3を取りきれるか、それをいかに毎回積み重ねられるか。

そうです。だから唯一負けた第6節の湘南戦も、2-2の同点からこちらがパワープレーをして、あくまでも勝点3を取りにいきました。結果、取れずに返されてしまいましたけど、「今シーズンは優勝するために毎試合勝点3を取りにいくんだ」というチーム全体へのメッセージでもあったんです。全員が納得してトライしたことなので。

うまくいかなかったですけど、あれがあったからこそ「やっぱり勝つって大変だ」ということに改めて気づけた部分もあります。自分たちが首位にいる以上、当然どこのチームもこれまで以上にうちを倒しにくるでしょうし、そこで負けてしまったら、現在の勝点差的にも一瞬でひっくり返されるわけで。

勝ち続けるしかないんだよと。それって相当なプレッシャーではあると思うんですけど、そこにいられるのは首位のチームだけなので、この重圧を楽しんでいきたいですね。



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