更新日時:2024.11.02
【F1第13節|ミックス/すみだvs名古屋】守護神の座奪還へ。フウガ一筋・岸将太の矜持「今まで積み上げてきたもの、手放したくないものがある」
PHOTO BY伊藤千梅
11月1日、ひがしんアリーナにてFリーグ2024-2025 ディビジョン1の第13節が行われ、フウガドールすみだと名古屋オーシャンズが対戦。1-2ですみだは敗れた。
第1ピリオド2分、すみだはセットプレーからいいカタチで先制し、幸先良く試合をスタート。しかしその後は、追いかける立場の名古屋から猛攻を受け続け、苦しい展開が続いた。
それでも大崩れすることなく相手の一撃を跳ね返し続け、33分には圧巻の「連続シュートストップ」で会場を沸かせたのは、すみだバッファローズから“フウガ一筋”で戦うGK岸将太だ。
「負けという結果については悔しいし、納得していない」
レギュラーシーズン前半戦は、負傷により思うようなパフォーマンスを発揮できず、もどかしい時間を過ごした。
3試合ぶりの先発をつかみ、臨んだ一戦。前回対戦での0-9の大敗から逆転の可能性を残す内容でゲームを終えたものの、隠せない「悔しさ」をにじませる岸に話を聞いた。
打たれることに対して、どれだけ構えられるかが重要
──名古屋戦を振り返って。
前回は0–9というスコアで大敗しましたが、今日の試合は粘り強く戦えていたと思います。第1ピリオドは数は少なかったもののチャンスはつくれて悪くない流れでしたが、ちょっともったいない失点をしてしまいました。勝てるチャンスがあったので、悔しい結果になりました。
──同点に追いつかれてからは、かなりピンチが多い展開になってしまいましたが、岸選手が気迫のセーブを見せていました。第2ピリオド33分の3回連続ストップは、会場も沸き立っていましたね。
あのシーンも、みんなが体を張って身を投げ出してくれたおかげで、僕もコースを絞れて止めることができました。フィールドプレイヤーの粘り強さがあったからこそ、自分も耐え切れたのかなと思います。
──GKは試合ごとに変えるチームもあれば試合の途中で交代することもあり、戦術によっていろいろな起用法があります。ただ昨シーズン通年で試合に出ていた岸選手としては、今シーズン、年間をとおして出続けられないことへの悔しさも?
そうですね。怪我からコンディションがうまく上がらず、個人的には悔しい思いをしてきました。だんだん怪我も良くなってきて、リーグ後半戦が始まってからは少しずつコンディションも上がってきているところです。
ポジションを争っている伊名野(慎)はスローの配球もうまいし、チームーメートとのコミュニケーションの取り方も、自分にはないものをもっているなと感じます。ただ、 僕自身も彼にないものをもっていると思っているのでお互い相乗効果が出て、いいライバル関係ができています。自分もここから調子を落とさずに続けていきたいです。
──先発は3試合ぶり。ブランクがあっても、名古屋相手にこれだけのパフォーマンスが見せられるのは、どういう意識や工夫をしているんでしょうか?
GK攻撃が得意な選手もいますが、僕のストロングポイントはとにかくシュートを止めることです。ピンチも多いだろうと予想できる名古屋との試合では、打たれることに対してどれだけ構えられるかが重要になります。自分の調子が乗ってきたタイミングで、そこにしっかりと力を注いでいい準備ができたので、そのパフォーマンスが今日は試合で出せたのかなと思います。
「フウガのGK」として、こだわってやっていきたい
──中堅の岸選手は長くすみだに在籍して、毎年チームの変化を感じているかと思います。今シーズンは、どんな特長があると感じていますか?
在籍年数は長くなりましたが、監督も変わったこともあって、今シーズンのチームはこれまで以上にガラッと雰囲気が変わりました。星翔太選手をはじめ外のクラブでプレーしてきた選手も増えてきましたが、僕はフウガでしかプレーしておらず未熟な部分もあるので、いろいろと学ばせてもらっています。もちろんフウガで学んできたこともあって、GKの立場からチームに向けて伝えていかないといけない部分はありますけど、またフラットに考えていることも多いです。
──今までは、コーチングスタッフも長くこのチームに関わってきた方が多かったですが、岡山孝介監督をはじめまた違うエッセンスが入って、新しい変化が起きている?
そうですね。そこは感じます。
──具体的にどういったところが?
うーん。どう表現するのがいいのか難しいんですが、「良かったら使う」「悪かったら使わない」というのが、よりはっきりしているなとは感じます。自分は今シーズン、うまくパフォーマンスを維持できなかった部分があったので、かなり苦しみました。もちろん在籍年数が長い選手として、という側面もありますが、「この1点を止めていれば」というところの責任がより重くなってきたのかなと感じています。
だからこそ、今日の試合も負けという結果については悔しいし、納得していません。ただできることも増えてきてはいるので、もっとチームの勝利に貢献できるように。「フウガのGK」として、こだわってやっていきたいです。
──入場時に、伊名野選手が“守護神”と呼ばれていました。「いやいや、俺だ」という思いも?
もちろんありますし、やっぱりそこは悔しいですよ。慎は慎でいいパフォーマンスをしているのはわかっているし、チームが勝つことが何よりも大事です。でも、自分が今まで積み上げてきたものとか、手放したくないものもあるじゃないですか。
指導者もやっているので教えている子どもたちも試合を見に来てくれるんですが、「コーチ、この間出なかったね」「出たけど負けちゃったね」って、声をかけられるんですよ。「コーチ3失点!」なんて言われる日もあって、けっこう残酷なんですよね(笑)。でも向き合って、結果で示せるところをもっと見せられるように、このあとのリーグ戦も頑張っていきたいと思います。
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