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作成日時:2024.11.18
更新日時:2024.11.18

【F1第15節|記者会見/浦安vs立川】5連勝で首位堅持も、一分のスキもなし。浦安・小宮山友祐監督「タイトルを取るまでやり続けるんだ。俺たちは名古屋じゃないんだぞ、と」

PHOTO BY伊藤千梅

【Fリーグ】バルドラール浦安 5-1 立川アスレティックFC(11月17日/バルドラール浦安アリーナ)

11月17日、バルドラール浦安アリーナにてFリーグ2024-2025 ディビジョン1の第15節が行われ、バルドラール浦安と立川アスレティックFCが対戦。浦安は5-1で勝利し、5連勝を飾った。

浦安の勢いが止まらない。立川をホームに迎えたこの試合も、第1ピリオドの終盤まではスコアを動かせなかったものの、18分に“GK攻撃”から守護神・ピレス・イゴールの強烈なミドルシュートで先制すると一気にペースをつかんだ。その15秒後には相手のキックオフから染野伸也が猛烈なプレスでボールを奪い、右サイドから中へのパスでロドリゴの追加点を演出した。

第2ピリオドも、26分に石田健太郎が立川・上村充哉からボールを奪った左でフリーの本石猛裕に預けると、ダイレクトで決め切って3点目。28分には染野、29分には田中晃輝と、いずれも彼らの今シーズン初ゴールが決まり、勝負を決定づけた。31分に失点を許したものの危なげない試合運びを見せ、ホームで勝利を飾った。

この結果、10月の中断明け以降、名古屋に引き分けた翌節から5連勝とし、首位を堅持した。

試合後、浦安の小宮山友祐監督が記者会見に出席し、いつも以上に熱いトーンでクラブの“現在地”を語った。

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我々はまだ、なにもつかんでいない

●小宮山友祐監督|バルドラール浦安

──今日の試合を振り返って。

先週に続いて、上位との非常にタフな試合になることは最初からわかっていました。選手たちには、この試合をしっかりと勝ち切ること、それが今シーズン自分たちが本当にタイトルを取るために必要な関門だと話しました。まずはその関門を通り抜けたということで非常に大きな勝利だったと思います。

立川がどんなフットサルをしてくるかは、選手にもスカウティングを落とし込みました。今日は、自分たちで守備からゲームを動かすことが狙いでした。立川の強みはボールを奪ってからのショートカウンター、トランジションなので、変な失い方をしないことを意識しました。ある程度は立川にボールをにぎらせてもいいので、こっちが前からプレッシャーをかけ、ボールを奪ってショートカウンターで点を取れたらダメージは大きいと思っていました。

そうした形からゴールを奪えましたし、チームとしては40分間集中を切らさないで、1失点しましたけど、全体としてはいい試合ができたと感じています。

先ほど試合後のミーティングでも話したのですが、まだ、我々はなにかをつかんだわけではありません。今日勝ったことはすごくうれしいですけど、リーグは続きますし、このまましっかりと首位でい続けられるように、次の北九州戦に向けてまた明日からいい準備をしていきたいと思います。

──染野伸也選手が今シーズン初ゴールを決めました。途中からセットに組み込んでの起用でしたが、ゴールを決める前から相手をはがしてフィニッシュまで持ち込むなど、浦安らしさを感じるシーンでした。若手を、ある意味で我慢して使い続けてきた選手たちが今は結果を出して、浦安らしさを体現できていることをどう感じますか?

染野に関しては、本当にチームの中で一番声を出してくれます。出場時間は短いですけど、毎日の練習の取り組みであったり、振る舞いであったりは、我々の集団にいい影響を全員に与えてくれています。ピッチでつまらないプレーやマイナスとなるプレーをする選手ではありません。彼は自分にはこれができると、すべきことをわかっていますから、こちらが求めたことにしっかりとコミットしてくれました。

今日に関しては柴山(圭吾)の調子が良くなかったので、2ndセットのピヴォに入れて、ディフェンスから試合を動かすために「伸也が一発目に取りに言ってくれ」と。ロドリゴが決めた2点目のシーンもそうでしたが、染野が高い位置で奪ってロドリゴにラストパスを送って決める。本当にあの2点目は大きかった。イゴールが決めた1点目もそうですけど、立て続けに2点を取れたことと、その取り方。染野がしっかりとプレスをかけてボールを奪って決めたところ。本当に我慢して我慢して、このチームのために犠牲心をもって振る舞ってきた男のプレーだな、と。

ちょっとウルッとした感動も覚えました。後半もしっかりと自分の役割を果たして、最後にゴールを取ることもできました。もちろん若手を使いたいですし、あまり出られていない選手を使いたいところもありますけど、なにが一番かというと、それは勝つために必要であるかどうか、私が決断をするということです。

今日はディフェンスの試合だったので柴山ではなく染野を使いましたし、それに染野がしっかりと応えてくれました。チームにとっては非常に大きなプラスになったと思います。これから彼はもっともっと自信をつけると思いますし、最後にパワープレーのディフェンスで出場した空(涼介)もそうですよね。

普段、限られた出番のなかで、パワープレーの守備という、一番地味な役割ですけど、ああいうところで結果は分かれると思います。自分も現役の時にそういう時間がすごく長かったので。パワープレーの守備の時だけ出されることがありました。すごく責任のあるポジションだと思います。普段からチームのために振舞ってくれている(染野と空の)2人だったから、そういうプレーができたと感じています。

それに、染野と空だけではなく、今日は全員のプレーに満足していますしみんなが勝利のためによく戦ってくれたと感じています。



本石がもっといい選手になるために必要なことがある

──本石猛裕選手がもらったイエローカードはもったいなかった。プレー外のところでもらうことは、長いシーズンの中ですごく重要な選手だからこそ、ああいった場面の感情のコントロールも必要になるのではないでしょうか。

もちろん、あの後にはタケ(本石)を呼んで話をしました。俺たちはケンカをしているわけではなく、フットサルをしているわけですから。点差を競うものであって、5-1で勝っている残り4分。私は遠い位置だったので相手になにを言われたのかはわからないですけど、これはコントロールしないといけない。

1枚をもらったので、本来であれば本石がパワープレーの守備も出るべきですけど、万が一、2枚目をもらったらと考えました。そこは本石が出られなくても空がいるという選択があったので迷うことはありませんでした。

タケももう少し大人になる必要はありますけど、でも、それが彼の良さでもある。相手に噛みつく。絶対に負けたくないというのは、誰もがそうだと思います。自分も現役時代はそういう選手でしたから。でも、勝つために必要なことなのか、自分が退場したり、累積で出られなくなったりすることは本当にもったいないと思えるかどうか。それはこれからタケがもっといい選手になるために必要なことなのかなと。

ただし、本人もその後は切り替えてやっていました。もっともっと点を取ってほしいですし、当然、リーグの得点王ですから、ピッチに1秒でも長く置きたい気持ちはあります。でもチームの勝利が優先。長いシーズンを考えた時に、ここで2枚目をもらって次の試合に出られないリスクを考えるマネジメントは自分の仕事だとは感じています。

──田中晃輝選手も今シーズン初ゴールを決めました。これまでずっと守備面で大きな貢献をしてきた選手が、フィニッシャーとしても成果を出しました。改めて田中選手の評価も聞かせてください。

本当に、田中の存在が頼もしくなりましたし、欠かせない選手になりました。対ピヴォへの対応ということであれば、リーグ屈指の選手だと思っています。ただ、オフェンスは足りない部分もたくさんあります。比較の対象が(石田)健太郎やレアンドロですからね。田中がいいプレーをしていても、その2人はとんでもないパスを出すので、すごく難しいとは思います。それでも、彼がこの先に代表を目指すのであれば、フィクソであっても点を取らないといけない。今シーズンは初ゴールでも、10点くらいは取れるチャンスをことごとく外しています。今日ももう1点取れる場面があったので、もっと点を取れよって(笑)。ただし、いいところにはいるので、あとはシュートの精度だと思います。

それよりもまず、彼に期待しているのは対ピヴォに対してのハードディフェンスですし、そこだけであれば国内屈指ですからね。代表ではそれに加えて安定したパスであったり、ゲームを決められる得点であったりが求められるので、もうあと少しじゃないですかね。もっともっと良くなると思います。なんせ真面目なので。

言われたことをよくやってくれますし、そうした部分が彼の急激な成長につながっていると思います。これからおそらくもっと厳しい試合が続くと思うので、今日もそうですけど、めちゃくちゃ丸裸にされていると感じます。当然、トップのチームを引きずり下ろすためにどこもやってきますから、田中や染野や空という存在が重要です。

本石、石田、長坂(拓海)、菅谷(知寿)、レアンドロ、ロドリゴにはマークが厳しくなりますから、他の選手たちがゴールやゲームを決定づける仕事ができるかにかかっていると思います。



名古屋に引き分けた後の表情は危惧するものだった

──追われる立場のなかで、田中選手なども「『1位の振る舞いはするな』と言われている」と話しています。監督の思考が浸透していることを感じますが、勝ち続けている今、どのようにチームをマネジメントしているのでしょう。

これはいつも話していますが、本当にまだなにもつかんでいません。今、1位にいるだけ。大事なのはシーズンが終わった時に1位にいることです。例えば、名古屋から挙げる勝ち点3も、他のチームから挙げる勝ち点3も、全部「勝ち点3」です。大事なのは負けないこと。勝ち点3を積み上げること。どのチームに勝っても勝ち点3なわけですから、緩める試合はありません。「11月の町田、しながわ、立川という上位との3連戦が大事だ」と周囲からも言われましたし、表向きに話してきましたけど、この後の3つはもっと大事です。北九州、大阪、仙台。今、下位にいるチームを相手に、勝つべくして勝つことは本当に難しい。俺たちは名古屋オーシャンズじゃないんだぞ、と。

彼らは、そういう相手に勝つという哲学が浸透していますが、うちは違います。今年はすごく勝てていますし、それこそFリーグ開幕当初、2年間くらいの浦安はすごく勝っていましたけど、もう十何年も経っています。このクラブが勝ち続ける、1位でい続ける経験はそれ以来していません。だから何度も何度も言いますけど、最後にタイトルを取るまでやり続けるんだ、と。さっきもミーティングで話したんですけど、自分たちが目指しているところをつかみ取るまで、緩めることはしない、と。俺もしないし、選手にも毎回練習は100%でやってほしい、と。

ものすごくきついと思います。心のどこかで、相手チームの順位とかを考えちゃいますから。でも、それをなくそう、と。そのことが象徴的だったのは、中断明けにこのホームでやった名古屋との試合後でした。

0-0で引き分けたけど、誰がどう見てもうちらのゲームだったと思います。でも勝てなかった。その時、週明けのミーティングで選手に話を聞いたら、全員が「いい試合だった」「勝ちたかったけど勝てなかった」と、すごく満足そうな顔をしていました。自分たちはやり切れた、と。でもそれは危惧するものだったので伝えました。

「名古屋に引き分けたからその顔ができるよな。でも、最下位のチームに引き分けたらその顔ができるか?オフェンスが良かった、ディフェンスが良かったってそんな意見が出るか?勝手に順位づけをしているんだよ。名古屋に引き分けたから、満足そうに話をしている。俺たち勝てたよね、強かったよね。でも違うでしょ。最下位のチームを相手に引き分けたら、同じようには言わないじゃん。だから俺たちはまだまだ1位じゃないんだよ。その振る舞いを間違えてはいけない。名古屋にも勝たなければいけなかった。チャンスどれだけあった?ああいう試合をちゃんと勝利に結びつけられるチームが、タイトルを取るチームだよ。第1クールの湘南への負け、名古屋の引き分け、それがなかったら勝ち点11差にできていたんだよ。だからそういうところはシビアにしないといけない」

そんな話でした。どうなんでしょうね。毎回毎回、監督から「決勝戦だぞ」って言われるのはきついかもしれない。でも誰もが達成したことがないものを取ろうとしたら、それくらいの強い覚悟がないと無理だと思います。

今のグループは全員が結果にこだわっているし、勝つためにコミットしているからこそ、強くいられます。チャンスを与えて、それに応えられなければ使えないという、厳しい世界だと思います。でも、遊びでやっているわけではなく、トップカテゴリーのプロフェッショナルでやっていて、タイトルを目指しているからこそ、その振る舞いが必要です。



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