更新日時:2024.12.10
【日本女子代表】日本人GK初のスペイン挑戦でぶつかった壁と、強まったプロの自覚「練習の強度が一番高い。毎日が修行」(須藤優理亜/トレブランカ・メリリャ)
PHOTO BY伊藤千梅
11月28日から12月1日にかけて、フットサル日本女子代表候補国内トレーニングキャンプが高円宮記念JFA夢フィールドにて行われた。
2025年11月に開催される、フットサル女子W杯。そこを見据え、2024年7月に日本人GKとして初のスペイン移籍を決断したのが、須藤優理亜だ。
須藤は、FIFA女子フットサルランキング1位のブラジル人選手が多く在籍する、スペインリーグ1部のトレブランカ・メリリャに加入した。しかし開幕から13試合が行われているなかで、出場機会を得られたのは4試合。いずれも第2ピリオドの途中からと、ピッチに立つ時間は限られている。
それでも、代表合宿で見せたシュートへの反応スピードには磨きがかかっていた。「日常の練習の強度が一番高い。毎日が修行」と話した須藤は、世界トップレベルでしのぎを削るなかで、新たなプレースタイルも確立しつつある。
そして日本とは異なり、競技での収入で家族の生活を支える選手がいる環境に飛び込んだことで、自ずとプロとしての自覚を強めている。そんな新天地での経験を通して、一回り成長した姿で代表合宿に合流した須藤に、話を聞いた。
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■合宿中インタビュー
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スペインで目指す新たなスタイルの確立
──スペインに移籍していかがですか?
スペインは、レベル感が違いますね。ブラジル代表の選手も多いですし、日常の練習が一番強度が高いので、毎日が修行の日々です。
でも、すごくやりがいがあって楽しいです。練習も日常の生活も楽しめています。
──どんなところで強度を感じますか?
シュートスピードやコースが全然違います。今までの自分のプレースタイルで、日本ではゴール前で構えていたら反応ですべて止められていたものが、まったく通用しません。いいコースにシュートが飛ぶと、こちらが反応する前にゴールに到達してしまいます。シュートスピードも早くて間に合いません。
なので、今はプレースタイルを変えて、前に出てゴールに到達する前に捌く形に挑戦しています。どこにポジショニングしたらボールが取れるのかを調整しながらやっています。難しいですが、楽しいです。
──スペインに移籍して、成長したと感じる部分はありますか?
今はまだ、調整しながら、自分がシュートを止められる位置を模索しているところです。
ただ以前は後ろで止めるスタイルしかできなかったけど、前に出ても後ろで構えても対応できるようにする前後の調整は、少しずつできるようになっているところかなと思います。
──プロになったことでの自身の変化はありますか?
世界が違うなと感じます。もちろん日本の選手も真剣ですけど、その真剣の種類が違います。
ブラジル人の選手の中には、母国に住んでいる家族の生活費も全部払っている選手もいます。自分が活躍しないと、給料がもらえなくなる。だから家族のために死ぬ気でやっている。そんな選手がいるような環境の中に、今私はいます。
背負っているものが違うので、意識のギャップはどうしても生まれてしまうと思います。なので、プロとしての自覚は意識的にもつようにしていますね。
愉快なスペインでの生活
──言葉は話せるようになりましたか?
言っていることは、7割くらいわかります。なので練習中はいちいち翻訳せずにできています。話す時は単語単語でなんとなくの文にして伝えていますが、まだまだですね。できるだけ毎日1人で勉強するようにしています。
ただ、練習時間は1時間半と短いのですが、体の疲労以上に脳疲労がすごいんですね。ものすごく頭を使っているので、疲れて勉強できない日もあります。
──チームメイトとの関係は?
すごく優しくしてくれます。ブラジル人2人と、セグンドのコロンビア人2人と住んでいます。大きい家に各部屋があって、キッチンやトイレ、お風呂が共有です。
その人たちとも仲良くさせてもらっていますし、トップチームで言ったらブラジル代表のアナルイサと、元ブラジル代表のネガという選手が一番仲良くて、いつも一緒にいます。音楽をかけて歌って踊って、愉快な人に囲まれていますね(笑)。
練習中もうまくいかないことのほうが多いですが、その2人が気にかけてくれて、ずっと声をかけてくれます。
──須藤選手も一緒に踊るんですか?
踊ってみたんですけど、まったく踊れないですね(笑)。
──そうなんですね(笑)。オフの日は何をしていますか?
スペインに行った直後はちょうど暑かったので、セグンドの加藤伊吹選手(元立川アスレティックFCレディース)と一緒に海に行って焼いていました。あとはボーリングにも行きました。でも休みが週1日しかないので、試合で疲れてずっと家にいることも多いです。
代表に貢献できるように
──今回の代表合宿の雰囲気はどうですか?
今回は19人が召集されていて人数も多いです。初招集の選手もいるなかで、みんなでコミュニケーションを取って、いい雰囲気でできていると思います。
──須藤選手自身は、どんな気持ちで今回の合宿に臨んでいますか?
トレーニングマッチとはいえ国際試合ですし、今後みんなと合わせることも私は必要になってきます。この先のW杯なども意識はしていますが、まだ時間はあるので、まずは目の前の中国戦に勝てたらと思います。
──海外からの代表合宿への参加は初めてだと思いますが、その辺りはいかがですか?
海外からの招集になると、日本にも適用しなきゃいけないので大変です。スペインはずっと20°くらいで暖かいのですが、日本は寒いし、時差ボケもありますし……。
あとはチームで求められていることと、代表で求められることは違いますし、普段プレーしている選手も全然違うので、フィットしていくことは意識しています。
──最後に、代表に対する思いを教えてください。
ここ5年くらい代表に呼んでもらって活動しています。来年にはW杯が控えているので、そこに向けていい結果を残すことが大事です。スペインでまた修行して、代表チームに貢献できるように頑張っていきたいと思います。
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