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作成日時:2024.12.17
更新日時:2024.12.17

【日本女子代表】W杯を見据え、スペイン帰りのバランサーが抱える葛藤「代表は結果を残さなきゃいけない」(四井沙樹/SWHレディース西宮)

PHOTO BY伊藤千梅

11月28日から12月1日にかけて、フットサル日本女子代表候補国内トレーニングキャンプが高円宮記念JFA夢フィールドにて行われた。

代表合宿を終えた四井沙樹が、浮かない表情で取材エリアに現れた。

現在28歳の四井は、代表経験の豊富な選手だ。2018年に行われたAFC女子フットサル選手権のメンバーにも選出され、日本の準優勝に貢献。個人としては、2023年1月にスペイン1部リーグのBurela FS(ブレラ FS)に移籍すると、チームを変えながら1年半を世界最高峰のリーグで過ごした。

今回の合宿でも、さまざまなセットの中心としてゲームを組み立てた。中国代表との2戦目では、四井のキックインから相手のオウンゴールを誘発し、チームに得点をもたらしている。

決して悪いプレーを見せているわけではない。しかし「数字が出せていない」と四井は振り返る。今回の中国代表とのトレーニングマッチと3月のポルトガル遠征でのゴール数は0。「実は、けっこうしょげています」と苦笑いを見せた。

多くの選手が2025年11月に初めて開催される女子フットサルW杯を目指すなか、ここからの代表活動において、よりシビアに「結果」や「数字」が求められる。ライバルとなる味方と息を合わせながら、自分の強みをアピールしなければ、生き残ることはできない。代表選手たちは少なからずその矛盾や葛藤を抱えながら、日の丸を背負うのだろう。

W杯まであと1年。長年、第一線で活躍しながら、普段とは異なる表情を見せた四井に、胸の内を聞いた。

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どんな時も世界基準で

──今回の合宿を振り返っていかがでしたか?

新しい顔やベテランが入り混じる、融合の期間かなと感じました。新しい選手もすごくいい選手が多かったですし(日本代表として)新しい発見もあったんじゃないかなと思った期間でした。

──コンスタントに代表に選出されている四井選手から見て、新しい選手たちと一緒にプレーしてみてどんなことを感じましたか?

チームでリーグ戦を戦う時よりも、自分の個性を生かせている選手が多いなと思いました。

──確かに、普段のリーグ戦でもみなさん上手ですが、代表に来て引き上げられていると感じました。

そうですそうです、まさにそう感じました。

──日本代表が“融合の期間”である今、四井選手がチームに対して何か働きかけたことはありますか?

直接伝えるわけではないですけど、プレーでいうと、常にボールを受ける前にアクションを起こしてフェイクを入れて、自分のスペースをつくることは意識してやっていました。そういった細かい部分をどれだけの選手が見ていたか、やるかはわからないですが、世界と戦うにはそういう部分が大事になると思います。

今回は中国が相手だったのもあり、ボールを受けてからどうにかできる部分が多かったと思います。ただスペインなどが相手になると、そうはいきません。まずはアジアや目の前の相手を見るべきだとも思いますし、難しいですが、常に意識してやっていったほうがいいなとも思っています。

──四井選手は、アジアだけでなく、世界と戦うことを見据えてプレーされていたのですね。

もちろんです、もちろんです。

でもわからないですけどね。今回、結果を残していないので。だから、得点が取りたかったんですよ。でもうまくいかなくて、アシストもそんなにしていない。実は、けっこうしょげています(苦笑)。



“日本代表”としての特別なプレッシャー

──浦安の選手をベースにしたセットと、西宮の選手をベースにしたセットがありましたが、四井選手は両方に出場する機会が多いと感じました。それぞれで意識する部分が変わるのでしょうか?

そうですね。浦安セットは前進する選手が多いので、私がバランスを取って、なにかあった時に対応できる位置にいるようにしています。

逆に西宮セットだと、例えば10番の網城安奈選手がボールを持てるとわかっているので、どんどん自分が抜けていって、裏のスペースでボールが受けられるようにという動きを意識してプレーしています。

実際セットが変わった時に、その切り替えをうまくできるようにできたらいいなと思っています。

──代表という場所では、得点などの数字が大事になりますか?

自分では、そうだと思っています。というのも、これまでも代表に選んでいただいているんですけど、直接自分でゴールを決めていないんですよね……今年3月にポルトガルに行った時も何も残せていないので、悔しいなという気持ちです。

ただ、気にしすぎているのかなとも思います。代表だからより結果を残さなきゃいけないんですけど、いつも通りやればいいのかなとも思いますし、自分のなかで葛藤がありますね。

──厳しい世界ですものね。

そうなんです。厳しい世界なんですよ。どんどんいい選手も出てくるし。そのなかで自分の結果も残さないといけない。

──でも、合わせないといけない。

そうなんです。割と自分は、周りに合わせる選手だとは思っています。でもそれで自分の良さが消えかねないというか……しかも、私の場合はいろんなセットで出させてもらうので、合わせる人がどんどん変わっていく。なので、すごく難しい位置に立たせてもらっているなと思います。

──たくさんの葛藤を抱えながらW杯を目指していくなかでの、代表への思いを教えてください。

2025年には、一番大きな大会であるW杯が控えています。予選はもちろん、本大会で戦うことも見据えてやっていくべきだなと思っています。W杯で勝ち上がっていくには、自分自身もチームとしても、まだまだ足りない。

──代表としても個人としても、世界で戦ってきた経験の多い四井選手だからこそ感じることはありますよね。

そうかもしれないですね。もちろん、アジアを勝ち上がることは簡単ではないし、一つひとつの試合に全力で向かうことは大前提です。ただ一方で「(世界は)こんなもんじゃない」というのは、思います。だからこそ、まず自分は、常に世界を意識しながらトレーニングを積み重ねていきたいなとは思います。

──最後に、代表で“楽しむ”ことはできていますか?

どうでしょう、むずかしいですね。肩が上がらないように、気負いすぎずとは考えていたので、いつもよりは大丈夫だと思います。でも実は意外と、いつも緊張してガチガチになっちゃうんですよね(苦笑)。

──やっぱり代表は違いますか……?

違いますね。(自チームとは)やることが違うので、それを頭の中に入れることも、大変な作業だなと思っています。けど、きっと自分はそれを求められているのだろうなとも思っているので、頑張りたいです。

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