更新日時:2024.12.19
【女子F第16節|記者会見/浦安vs神戸】レジェンドの“一番弟子”として。山川里佳子が涙のリベンジ宣言「選手権ではエリさんと一緒に最高の結果を残したい」
PHOTO BY伊藤千梅
【女子Fリーグ】バルドラール浦安ラス・ボニータス 3-0 アルコ神戸(12月15日/セーレン・ドリームアリーナ)
12月15日、セーレン・ドリームアリーナにて日本女子フットサルリーグ2024-2025(女子Fリーグ)の第16節が行われ、バルドラール浦安ラス・ボニータスとアルコ神戸が対戦。神戸は0-3で敗れた。
今シーズン、OGである加藤正美氏の監督就任、そしてレジェンドの若林エリの現役引退発表により、例年以上の団結力で“リーグ制覇”に挑んだ神戸。
開幕戦ではリーグ4連覇中の浦安を破ると、レギュラーシーズンは8勝1分1敗で2位につける快進撃を見せていた。
ところが、田中ちひろの海外移籍に加え、高畠早奈恵が負傷により戦線を離脱。ファイナルシーズンは3戦未勝利が続いたことで、西宮に勝ち点を抜かれ自力優勝の灯が潰えると、守備の要である伊藤沙世も全治5カ月の怪我を負い、“フィクソ不足”の状態で最終節を迎えた。
それでも、長年チームに貢献した若林のリーグ最終戦を笑顔で終わるべく、全員で浦安の攻撃を跳ね返し1失点に抑え第2ピリオドへ。30分まで追加点を許さず反撃を試みるも、終盤に2ゴールを決められ完封負けを喫した。
試合を終え、神戸の加藤正美監督と山川里佳子が記者会見に出席。
「憧れの存在」と若林を慕う山川の目には、涙があふれた。
「思いっきりぶつかってこい!」という思いで送り出した
●アルコ神戸|加藤正美監督
──試合を振り返って。
勝ち点を積み上げ、一つでも順位を上げてリーグ戦を終えたいという目的で、今日の試合に臨みましたが、立ち上がりの失点でリズムが崩れてしまいました。それでも選手たちはしっかりと前を向いて、パワープレーをしたり、最後まで得点を取るために一生懸命走ったり、自分たちで色んなこと考えながらプレーをしてくれました。無得点で終わってしまったことは課題が明確になったと思うので、改善できるよう取り組んで、全日本選手権では日本一取れるようにまた頑張っていきたいと思います。
──伊藤沙世選手が怪我で離脱し、この最終節はセットの組み替えを行っていました。その意図を教えてください。
今シーズン、髙畠(早奈恵)と伊藤のフィクソ2枚が抜けてしまったのは、チームとしてはかなり痛手でした。それでも、その状況に対して高校生の(柳澤)仁湖をはじめ、「自分がやらなきゃ」という気持ちで一生懸命取り組んでくれました。それを見て、監督として「ミスをしてもいいよ」とは言えませんが、日本のトップレベルの選手がそろう相手に「思いっきりぶつかってこい!」という思いで送り出しました。
また後藤(茉耶)も、彼女の特徴でもあるフリーランでスペースを作るような動きに加えて、体を張って前線の選手にボールをつなぐ役割を全うしてくれました。
チーム状況の関係で、自分がやりたいプレーをできなかった選手もいたかもしれません。ですが、逆に今まで見えてこなかったいい部分も試合のなかでたくさん出ましたし、新しい引き出しが増えるいい機会になったのではないかと思っています。全日本選手権までの間にまだ突き詰めていく必要があるので、この試合を生かしていきたいです。
──得意としているカウンターやピヴォでしっかり収めてチャンスにつなげるシーンが少なかったように見えました。その要因は?
これまではフィクソの伊藤とピヴォの山川の2人組で、縦にいいボールが入っていました。そこの数が減った分、シンプルにプレーするように要求をして、セットプレーもうまく活用しながらボールを前に運んでいきたかったのですが、キックの質が欠けてうまく自分たちの攻撃を構築することができませんでした。伊藤がいなくても、そういったピヴォ当てのボールがもっと入るようになると、 自分たちのリズムも出せるはずだと感じています。
──まだ全日本選手権は残っていますが、監督1年目の今シーズンでどんな成果を得ることができたと感じていますか?
私が監督に就任することになり、まずは選手のマインドを変えようというところに軸に置いていました。フットサル選手としての姿勢、たとえば練習の日以外でもボールを蹴る、自主的にトレーニングをする、わからないことがあったら自分から1対1で質問してくる……。 そういったマインドの部分は、今シーズンの初めに比べると、見違えるほど良くなったかなと思います。
──今節は若林エリ選手にとって最後のリーグ戦になりました。チームにとってどんな存在でしたか?
現役選手の頃から一緒にチームメートとしてプレーしていましたが、いつもチームに元気やパワーを与えてくれる選手でした。
今日はエリさんが点を取って、「みんなで喜んで終わりたい」という話をしていましたが、いつも通りどんどんシュートを打ってゴールに向かって行ってくれました。そこがエリさんのいいところだし、そういう選手は相手からしたらやっぱり脅威ですよね。エリさんが引退した後も相手から「こんな選手、嫌やな」と思われる選手がそろうチームをつくっていきたいなと感じさせられました。
どんな時も常にピッチ以外のところでも目を配ってメンバー外の選手にも声をかけ、チームを鼓舞し続けてくれました。監督としても本当に助けられましたし、感謝でいっぱいです。
まだ全日本選手権も残っていて、「大暴れしてチームを勝たせい」と意気込んでいるので、最後は得点を取っていい形でフィニッシュしてほしいです。
結果で恩返ししたい
●アルコ神戸|山川里佳子
──試合を振り返って。
1年間応援ありがとうございました。
目標としていたリーグタイトルは獲れず、それでも勝ってリーグ戦を終えることを目指していましたが、それも叶えることできませんでした。ただ全員が勝利に向かって戦っていたし、最後まで諦めないアルコらしいプレーを見せられたと思います。
今シーズンはまだ全日本選手権が残っているし、来シーズンの女子Fリーグこそアルコ神戸が優勝できるように頑張るので、これからも応援よろしくお願いします。
──まだ全日本選手権は残っていますが、キャプテンとしての今シーズンの成果は?
自分は、得点王を目指して今シーズン戦ってきました。それを達成することが、「チームを勝たせる」キャプテンとしての示しとして一番大事かなと考えていたので、そこが実現できたのはすごく良かったかなと思います。
足りなかったことは、私たち中堅の選手がもっとチームに対して要求したり、時には厳しい声かけをしたりする意識ですね。経験のあるベテランがそろって、チームをまとめてくれているのはアルコの良さでもありますが、若手や中堅がもっとチーム全体のことを考えて行動していかないと、日本一にはなれないと感じました。選手権まで短い準備期間にはなりますが、少しでも改善したいです。
──シーズン前から明言していた「得点王」は達成しました。もう一つの「優勝」という目標については、全日本で“有言実行”するということですよね?
もちろんです。全日本でも得点王と日本一になって、皆さんに結果で恩返ししたいです!
──そのために必要なことは?
個人としては、基礎技術ですかね。アルコのなかでも自分は一番基礎技術が低いと思っているので、そこを高めることが私の課題です。
──今日の山川選手のプレーからは、若林選手に「点をとってほしい」という思い、そして若林選手の「アシストでゴールしたい」という両方の気持ちが見えました。
エリさんは、中学生の頃からの憧れの存在で、“一番弟子”としてピッチ内のこともピッチ外のことも、いろんなこと教えてもらってきました。今日の試合も、本当はエリさんに点を取ってもらって勝ちたいと思っていたのですが、それは叶わなかったので……。
全日本選手権では、自分が得点を取るのはもちろんですが、エリさんと一緒にピッチに立って最高の結果を残せるように。残り少ないですが、頑張りたいと思います。エリさん、お疲れ様でした。
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