更新日時:2025.01.11
二度の逆転でつかんだ勝ち点3。「タイトルに相応しいチームかを試されている」首位浦安が敵地で見せた“勝負強さ”【F1第21節|記者会見/すみだvs浦安】
PHOTO BY伊藤千梅
【Fリーグ】フウガドールすみだ 4-5 バルドラール浦安(1月10日/ひがしんアリーナ)
1月10日、ひがしんアリーナにてFリーグ2024-2025 ディビジョン1の第21節が行われ、フウガドールすみだとバルドラール浦安が対戦。浦安は5-4で勝利した。
試合を終え、浦安の小宮山友祐監督と石田健太郎が記者会見に出席した。
簡単に勝たせてくれるチームはない
●小宮山友祐監督|バルドラール浦安
──試合を振り返って。
非常にタフな試合でした。第1ピリオドは3-1までリードを広げることができましたが、同点に追いつかれて逆転されて、難しい試合でした。
ただ選手たちが最後まですごく頑張ってくれて、勇敢に戦ってくれました。アウェイの雰囲気にもっていかれそうになりましたが、大きな勝ち点3を取ることができました。自分たちのやるべきことをやり続けてくれた選手たちに感謝したいです。
レギュラーシーズンを1位で終えるのは、クラブ史上初めてのことなので、一つ前進したのかなと思います。ただいつも言っていますが、まだ何もつかんでいないですし、ホーム最終戦も上位リーグもあるので、今日の試合で出た課題を含めてやるべきことをやっていきたいと思います。
──第1ピリオドで「2点差あるぞ」といった声掛けをしていたのは、どのような意図だったのか?
すみだのプレスが速い状況で、ボールをにぎろうとして底辺で失いかけていたので、2点勝リードしているからこそ時間を進めることが大事なのではないか、という意味で伝えたつもりでした。もちろんいけると思ったら攻めてもらって構わないですが、無理をする局面ではないので、ボールを回しながらイゴールを使って、相手コートで試合を進めようと伝えていました。
ただ実際にそれができていなかったのは、伝えきれなかった私の責任です。あれでゲームが振り出しに戻ってしまったのは、自分の起用も采配も反省しています。そんな簡単に勝てるゲームではないので、より現実的に、シンプルにクリアしていいという強いメッセージでも良かったのかもしれません。もったいなかったと感じています。
──今シーズンは35失点と、例年に比べて失点数が少ないことについてはどのように考えていますか?
ディフェンスの意識は、これまでのシーズンとは格段に違います。ゴール前に撤退する、ボールにプレスにいく、最後に体を投げ出すといった当たり前のことを全員ができているからこそだと思います。
ただ今日はそれができなかったから4失点しました。相手も警戒していますし、今後はより細部を突いてくると思います。でも足りないと思うことができれば、よりディフェンスを強固にできますし、逆にポジティブに捉えていきたいです。
今日もレアンドロがいないなかで、石田(健太郎)も田中(晃輝)も、外林(綾吾)も役割を果たしてくれました。まだまだ反省する部分もありますが、イゴールも含め全員で、相手のシュートを1本でも減らして枠に飛ばさせないことはできているかなと思います。
──今日の4失点のうち、3失点がセットプレーからだったことについてどう考えているか。
この間の名古屋オーシャンズ戦でもコーナーから失点していますが、それまではコーナーからは2失点しかしていなかったんですよ。絶対的に自信をもっていたなかであの失点があって、今日もそうですし、うちのディフェンスのどこが狙われているのかは、もう一度見直さないといけないと思います。
今日のコーナーからの1、4失点目はアウトレンジからのシュートで、敵ながらあっぱれと言いますか、2つともいいゴールでしたよね。
星(翔太)選手のシュートはよりパスラインを切れたと思いますが、どちらかというと、我々がやろうとしていることに関して、すみだがやろうとしていることがかみ合ってしまったのかなと思います。
中を締めれば外が空くし、外に広げると中が空いてしまうので、完璧なディフェンスはないですが、追求していかないといけません。システムと考え方でどうとでもなるとも思うので、勝ったからこそいい経験にしていきたいと思います。
──今日の試合で、相手の狙いを読み取って対処したことはありますか?
今日はこちらのGK攻撃に対して、いろいろなディフェンスの対策をしているとは感じました。ただどんな守り方をしてきても、こうしよう、ああしようというのは選手たちに提示していました。うまくいった部分も、いかなかった部分もありましたし、状況を見て変えていくことは難しいですね。
ただ、対策も伝えますしトレーニングもしますが、それをやらなかったからダメだとは思いません。なぜなら私はピッチに入れないですし、最後に選ぶのは選手たちなので。指示したことをやらなかったからと言って「てめえなんでやらないんだよ!」とはまったく思いませんし、自分で考えてやって、うまくいかなかったら、選手たちも気がつくと思います。
監督が言った通りのことをやるのは、うまくいったらうれしいかもしれないけど、選手としての成長はどうなのかと思いますよね。私は大枠や狙いは伝えますし、トレーニングもやりますが、選手たちが自分で考えて自分で選択したプレーが一番素晴らしいと思っています。
今日の田中の左足のゴールなんて、なんの戦術もないですよ。な?だからみんな、あんなにびっくりしたんだよな。うおおって。
石田 (笑)。
でもその決断を下した田中が素晴らしかったと思います。
逆に決勝点の長坂とロドリゴのプレーは、すみだはあそこが空くからというのはずっと言っていました。ただそれができたのは拓海がそこにいて、そこにパスを出せるロドリゴがいたから。彼らが選んだ決断ですし、それは尊重したいと思います。
難しいですよね。技術、戦術、メンタル、全部大事ですが、どんな指導者も全部を追い求めると思います。ただ私はすべてを自分の思い通りにするよりも大事なことがあると思って5年間やってきています。
──今日の試合は、浦安にとってどんな位置付けの試合でしたか?
いろいろな思いはありますよね。自分が退任することもそうですし、このクラブにタイトルをもたらしたいという思いが強いので、試合が始まる前から今日の試合の位置付けが大事なものになるとは感じていました。
すみだは上位リーグ進出がない状況でしたが、ホーム最終戦で絶対に負けたくないという意地があるチームですし、今日の試合も素晴らしいファイティングスピリットで我々に向かってきました。そこを超えていくことがタイトルを獲るために必要です。
年末に名古屋で同じような雰囲気のなかで0-2で敗戦しました。あそこで自分たちが名古屋を倒すことができていたら息の根を止めたと思っていましたし、それができなかったことは、まだまだ自分たちがタイトルに相応しいチームかを試されているのだと思います。
今日勝つことが、タイトルに直結する道だと思っていましたし、なんとしても勝ちたいという気持ちで臨みました。これまで私の元で頑張ってくれた選手たちの思いもありますし、なにより今シーズン一緒に戦ってきた選手たちの日々の頑張りを間近で見ている人間として、なんとしても勝たせたいという思いが強くありました。
そのなかで私ができることは、選手を信じて起用して、勝てる可能性が高くなる戦術を落とし込んで、あとは気持ちを盛り上げることです。
例えば今日の田中のゴールは、胸にくるものがありますよね。田中のあんな左足のスーパーゴールは見たことないですから(笑)。でもそれがこの大一番で出ることは、すげえなと思います。彼らが日々やっていることは、どこのチームと比較しても恥ずかしくないし、だからこそ、このチームにタイトルをもたらしたいです。
今日勝つか負けるかは大きな転換期だったと思うので、勝つことができて本当にほっとしています。喜びよりも安堵の気持ちのほうが強いです。簡単に勝たせてくれるチームはありません。でも、タイトルを獲るとは、そういうことじゃないですか。どこも我々を引きずり下ろそうとするので。それを超えることが大切で、名古屋はそれをずっとやってきています。あと6試合全部勝って優勝することが理想だと思いますし、試練だと捉えて、慢心することなく、謙虚な気持ちで向かっていきたいと思います。
厳しい試合はここからたくさんある
●石田健太郎|バルドラール浦安
──試合を振り返って。
監督も言っていたように、難しい試合でした。すみだがホームで勢いがあるチームだということは試合前からわかっていましたが、自分たちのやるべきことができていない時に失点してしまいました。試合には勝利しましたが、隙を見せてしまったと思います。
ただそのなかでも勝ち切れたことは良かったと思います。前節は名古屋戦に負けてしまいましたが、今シーズンは連敗していないところを継続できて、次につなげられて良かったです。
──残りの試合をどんな思いで戦いたいですか?
自分たちが昨シーズン町田の優勝を阻止したように、今シーズンはこれまでも厳しい試合がたくさんありましたし、ここからもたくさん出てくると思います。
そういった意味で、選手たちはいい意味で優勝を意識しすぎていません。1試合に全力を出していますし、目の前の戦いに負けられないという思いが強いので、そこの油断のようなものは心配ないかなと思います。
ただ相手を勢いに乗せないために、自分たちがしっかり勢いをもって戦わないといけませんし、最後まで強い思いをもって戦わないといけません。6試合全部勝ってリーグを終われるように頑張りたいです。
──試合前に手を握って祈っているような姿がありますが、その時はどんなことを考えているのですか?
それは、ちょっと秘密で(笑)。
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