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作成日時:2018.12.04
更新日時:2018.12.13

「強い浦安」を取り戻すために。クラブの未来を託された生え抜き・宮﨑岳が代表初合宿で感じたこと

PHOTO BY軍記ひろし

星翔太や荒牧太郎、小野大輔、岩本昌樹といった中核メンバーが抜け、スペイン人新監督の下で新チームの構築の着手したバルドラール浦安は、25試合を終えて10位と下位に低迷している。開幕戦には勝利したものの、それ以降の9試合は勝ち星から遠ざかり、浮上できないまま終盤戦を迎えてしまった。

名古屋オーシャンズと2強と呼ばれた10年前の面影は、そこにはなかった。

しかし、第21節のバサジィ大分戦の粘り強い引き分けを皮切りに、第25節のペスカドーラ町田戦まで5試合無敗。第22節、第23節には今シーズン初めての連勝をマーク。目に見える結果もさることながら、内容にも明らかな変化が見え始めている。言うなれば「浦安イズム」が、そこには漂っていた。

2014シーズンに浦安セグンドから昇格して(2013シーズンには特別指定選手としてトップでもプレーした)一気に頭角を表した加藤竜馬が、今では絶対的なリーダーシップを発揮しながら、浦安が信条とする「美しいフットサル」の体現者としてピッチを縦横無尽に駆けている。そして今、その加藤の背中を追い掛けながら、同じように先頭に立ってチームを引っ張る選手の姿がある。11番を背負う宮﨑岳だ。

2014年に関東リーグ2部のチームから浦安セグンドに加入して、今では中心選手へと成長を遂げた。浦安を支えた現インドネシア代表監督の髙橋健介を思わせる、戦況を捉えたインテリジェンスを感じさせるプレーと、味方のために攻守に汗を流す献身性を見せ、チームのコントロールタワーとして欠かせない役割を果たしている。

アルベルト・リケル監督は加藤とともに宮崎を中心にチームを組織して、「どんな状況でも主導権を握れる理想的なフットサル」というクラブが掲げる壮大なフットサルの担い手として、彼らに絶大な信頼を寄せているのだ。そんな宮崎はこの11月、キャリアで初めて代表候補合宿に召集された。候補とはいえ、10位のチームからの選出には、ブルーノ・ガルシア監督もまた宮崎に大きな可能性を感じているということだろう。

「強い浦安を取り戻す」と誓う宮崎は、どんな思いでピッチに立っているのか。合宿から凱旋して4試合ぶりに白星を手にした第22節のアグレミーナ浜松戦の後に話を聞いた。

「候補」ではなく「代表選手」にならないといけない

──久しぶりの勝利でした。しかもホームで。

率直に嬉しいです。続けてきたことは間違っていないと思いますし、少しずつ結果に出てきています。

──勝てなかったとしても、中盤戦以降は接戦が増えましたし、上位にも食らいついています。

上位相手でも、自分たちのフットサルができればやれることが結果にも出ています。ただし、前回のホームで敗れた北海道戦や(第15節の)大阪戦のように、チャンスがすごくあるのに決め切る選手がいないことで苦労している面はあります。「チャンスは作れるけど勝てない」ことが現状です。打開するには、決め切る選手が出ないといけないですし、それはチームを引っ張る僕や(加藤)竜馬くんの仕事だと思っています。

──浜松はそれほどプレスが厳しくなさそうでしたが、相手の土俵でやってしまっているようでした。

(浦安のフットサルでは、パスを出した選手が前線に)抜ける動きが大事なのですが、どういうときに抜けるかを個人で判断し切れていません。相手が並んでい(て裏にスペースがあ)るときは抜けていいのですが、相手が絞ってい(てカバーリングがい)るときに抜けてしまっていることがかなりあります。相手のプレスがないのに抜けてしまうと、自分たちで苦しくしてしまいますね。

──相手はカバーしていて、味方のサポートを得られないところに抜けてしまう。

そう、そこの判断能力の部分が足りません。監督にはいつも言われていますが、それをやるのは選手なので個人個人がもっと意識しないといけないですし、僕ももっと伝えていかないといけないなと。

──宮崎選手は中心選手としてやっていますが、その分、結果が出ないことへの責任を感じてしまうことも?

出場時間もすごく多い中で得点には満足していないですし(取材時点ではチームトップタイの9点)、もっと取らないといけないし、シュート数も、チャンスを作ることももっと。日本代表選手が決め切っているデータもありますから。それでも、こういうシーズンになることは感じていたので、結果が出なくても続けることに意味があると思います。

代表合宿でも強度が全然、違いましたし、浦安の練習が少しマンネリ化していたところもあると思います。全く足りないことに気づき、同時に成長する機会を得られた合宿でした。でも「候補」ではなく「代表選手」にならないといけないですし、また強い浦安に戻すために、僕からやっていかないといけません。

──初めての代表合宿はどんな印象でしたか?

これまでは違うチームの選手とやる機会がなかったので新鮮でしたし、ドリブルに秀でた選手やゲームを読む力が強い選手などが集まっていいところを盗める機会でした。すごく楽しかったですね。

──では呼ばれたときは何を感じましたか?

正直、まだ行くに値しないと思います。ミスも多く、やるべきことも多いのでまだまだ。それでも呼んでもらって、新たな刺激を受けたので、続けていくだけです。

──自身では「まだまだ」と言いながらも呼ばれた理由はどこにあると思いますか?

少しずつ点を取れ始めていますし、少しずつゲームコントロールもできるようになったところを評価してもらったのかなと。でも満足できていません。今日もずっとペースが同じときもありましたし、そういうときにタイムアウトを取らないでもベンチから発信できないといけません。4人でパスを回すのか、3-1のピヴォを前に置いた形なのか、状況に応じてすべきことをもっとやらないと。その能力が足りていないからこそこの順位にいるんだと思います。もっと勉強しないといけないです。

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