更新日時:2025.02.14
キャプテンでもいち選手でも、変わらない男・中村充の生き様「どんな立場でもやることをやるだけ」【コメント記事】
PHOTO BY伊藤千梅
今シーズンから立川は「3人キャプテン」体制になった。その1人が、加入3年目を迎えた27歳の中村充だ。
シーズン序盤に行われたオーシャンカップ3位決定戦。キャプテンマークを巻いた試合の直後、中村は「僕はキャプテンという柄ではない」と自らを表現した。
それから約9カ月──。リーグ終盤を迎えた今、中村が示したのは“変わらない姿勢”だった。
一貫した姿勢が集める仲間の信頼
今シーズン、キャプテンになって何か変わったことはあったのか──。そんな問いに、中村は少し笑みを浮かべ、あっけらかんと答えた。
「いや、別に何も変わってないっす。キャプテンマークが苦しいなとか、最初はコイントスに行くのを忘れることが多かったんですけど、本当それくらいです(笑)」
U-20フットサル日本代表ではキャプテンを務め、町田アスピランチ時代には副キャプテンも経験。それなりに場数を踏んできているが「キャラではない」「特に意識していることはない」と、シーズンを通して繰り返してきた。
そんな中村は少し表情を引き締めると、一呼吸おいてこう続けた。
「キャプテンになって何かを変えるんだったら、最初からやれよと僕は自分に対して思います」
今シーズン共にキャプテンを務める上村充哉が、以前「充は人によって態度を変えないので、リスペクトしている」と語っていた。周りだけでなく、自分に対しても、その姿勢は一貫している。
「僕はこれまでも、キャプテンじゃないからといって縮こまっていたわけではありません。どんな立場でも、与えられたタスクやチームとしてやらなければいけないことをやるだけです。それは、キャプテンマークを巻いても何も変わらない」
いつだって自身がすべきことと向き合い、それを遂行するために最大限の力を出し切る。それを積み重ねた先に、今の中村がいる。
確かに、率先してチームに声をかけるタイプではないのかもしれない。それでも、強烈なシュートでゴールに迫る中村はアスレのエースであり、最後の最後、チームが追い込まれた時にボールが集まる「チームの中心」だ。
彼が自分と、そしてフットサルと、真正面から対峙して築いてきたものが、自然とこのチームを引っ張っているのだろう。
苦しい時こそ、点を取る
中村が“選手として”大切にしていることは「チームが苦しい時にこそ点を取ること」。
その言葉通り、今シーズンも幾度となく勝負強さを発揮した。開幕戦から5試合で7得点を挙げ、得点ランキング首位タイに躍り出ると、第19節の名古屋戦では残り時間2分間で2ゴールを決め、チームの勝ち点1獲得に貢献。岸和田ラウンドのしながわ戦でも、同点弾と決勝点でチームを3-2の逆転勝利に導いている。
それでも中村は、「今シーズンは悔しい部分が大きい」と振り返る。立川は8月の中断期間前は3位につけていたが、約2カ月半後の中断明けからは6試合連続で勝利がなく、かろうじて5位で上位リーグ行きを決めたものの、優勝の可能性はなくなっていた。
「リーグ前半戦の勢いで点を取れていれば、もう少しチームが楽になる試合もありました。そこは改善していかないといけない。チームとしても自分としても、最初は良くても、シーズンを通して良くないと、優勝争いには入っていけません」
残された対戦カードは、湘南と名古屋。タイトルの可能性はなくとも、16日に行われる名古屋との一戦は優勝争いの行方を左右する重要な試合だ。
「昨シーズンの得点に並ぶことが毎年の目標なので、最低でもあと2点は取りたいですね。チームとしても一丸となって、練習からまたやっていきます」
残り2試合。中村は最後までブレずにゴールを目指し続ける。
取材・文=伊藤千梅
1999年2月22日生まれ。東京都出身。元なでしこリーガー。スフィーダ世田谷FCやFC十文字VENTUSでプレー。2021年に引退後、FCふじざくら山梨オフィシャルライターに就任。なでしこリーグでのプレー経験を活かした女子サッカー記事や、スポーツ関連企業の求人サイトでのインタビュー記事などを執筆する。現在フットサル取材歴は約1年。シーズン中は毎週末Fリーグや女子Fリーグの取材をしている。2024年4月からは撮影も始め、選手たちのカッコイイ写真を撮れるよう奮闘中。
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