更新日時:2025.02.14
無意識のゴールパフォーマンスの意味。絶対王者2年目・金澤空が宿した覚悟【コメント記事】
PHOTO BY伊藤千梅
ファイナルシーズン岸和田ラウンドを終え、残すは2戦。名古屋がついに、首位・浦安との勝ち点差「2」まで追い上げてきた。
土壇場での勝負強さを見せる名古屋で、存在感を増しているのが、金澤空だ。思うように出場機会を得られなかった1年目を経て、今シーズンは主力として試合に出場。8連覇を目指すなか、“絶対王者”のエンブレムを身につけた金澤が2年目で真価を発揮している。
ゴールパフォーマンスは手を左胸に
ファイナルシーズン北九州ラウンドしながわとの一戦で、金澤が“絶対王者”としての覚悟を垣間見せた。
1点ビハインドの状況で迎えた開始8分、左サイドの仕掛けからカットインでボールを運ぶと、相手自陣中央付近から迷わずミドルシュート。低い弾道のボールはゴール左隅へ突き刺さり、ゴールネットを揺らした。
「1年間練習してきたシュートの形で決められたので、自信になりました。昨シーズンよりも上手くなってやろうと毎日練習していて、その気持ちを出すことができたと思います」
得点後、サポーター席に向かって全力で喜びを爆発させた金澤は、ユニフォーム左胸に手を当て、エンブレムをつかんで見せた。
「あの時は、とっさにエンブレムを触っていました。そういったパフォーマンスをしようとは考えていなかったんですけど、優勝するという強い気持ちで日々取り組んでいることで、自然とあの形になったのかな、と」
無意識に飛び出したゴールパフォーマンスに、チームの一員としての思いが現れた。
この試合、自らの得点でチームを同点に導いた金澤は、その後も攻守に渡り奮闘。試合は3-3の同点で終わったが、積極的な仕掛けからゴールを脅かす金澤の存在感は、これまで以上に際立っている。
「優勝しかない」プレッシャーを跳ね除けて
2021年に立川アスレティックFC(旧:立川府中アスレティックFC)でFリーグにデビューした金澤は、同年に日本代表に選ばれた。2022-2023シーズンには年間ベスト5に選出されるなど、フットサル歴4年目にして順風満帆な状態で名古屋の門を叩いた。
しかし、名古屋加入1年目は試練のシーズンに。出場時間が限られるなか、開幕から5カ月間無得点。第20節でシーズン初ゴールを挙げたが、リーグ戦を通しての得点もその1ゴールに止まった。
「名古屋での1年目は、フィジカルやプレー強度が想像以上で、正直戸惑いもありました。優勝はできましたが、自分がチームにまったく貢献できないまま終わってしまいました」
それでも、もどかしさを感じていた昨シーズンから一転、今シーズンのリーグ戦はここまでに10得点と、自身初の2桁得点をマーク。アシストなどの仲間を助けるプレーも増えた。
コンスタントに出場機会を得るようになった分、背負う責任も増えた。
「今シーズンは特に主力としてピッチに立っているので、これでタイトルを逃したら自分の情けなさを感じます。絶対に優勝したいですね」
23歳にして、勝利が当たり前とされるチームの一員として戦うなかで、その重圧に耐えきれなくなることはないのか──。
「つらい時も、もちろんあります」
苦笑まじりに答えた金澤は、それでも力強く言葉を続けた。
「でも『空ならいけるから、大丈夫』と言葉をかけてくれる人がいます。他のチームでは感じられないような感情もたくさんありますが、周りの人たちに助けてもらいながらなんとか頑張っています」
この重圧を「自分が名古屋で求めていたことの一つ」と捉え、少しずつ勝者のマインドを身につけた金澤は、ここからだと気持ちを引き締める。
「名古屋にいる選手たちはずっとこのマインドをもちながら戦っていますが、僕はまだ2年目。より強くならないといけない」
自らの手で、チームを優勝へ。決意を胸に目の前の勝利だけを見つめる金澤に、もう迷いはない。
取材・文=伊藤千梅
1999年2月22日生まれ。東京都出身。元なでしこリーガー。スフィーダ世田谷FCやFC十文字VENTUSでプレー。2021年に引退後、FCふじざくら山梨オフィシャルライターに就任。なでしこリーグでのプレー経験を活かした女子サッカー記事や、スポーツ関連企業の求人サイトでのインタビュー記事などを執筆する。現在フットサル取材歴は約1年。シーズン中は毎週末Fリーグや女子Fリーグの取材をしている。2024年4月からは撮影も始め、選手たちのカッコイイ写真を撮れるよう奮闘中。
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