更新日時:2025.02.16
名古屋に勝って、優勝に王手。「私はそのために18年間、ここにいる」。小宮山友祐監督が味わった特別な感情【F1第26節|記者会見/名古屋vs浦安】
PHOTO BY伊藤千梅
【Fリーグ】名古屋オーシャンズ 3-6 バルドラール浦安(2月14日/パークアリーナ小牧)
2月14日、Fリーグ2024-2025 ディビジョン1 ファイナルシーズンが行われ、小牧ラウンドの第26節で名古屋オーシャンズとバルドラール浦安が対戦。浦安は6-3で勝利を収めた。
勝てば優勝の可能性が一気に跳ね上がる超重要な一戦ながらも、相手は王者・名古屋。小宮山友祐監督が就任する以前の、2016年11月27日に勝利して以来、8年間も未勝利だった相手だ。しかし浦安は7分の吉田圭吾の先制点を皮切りに、12分、14分に田中晃輝が連続得点を挙げて3点を先行。その後、反撃に遭いながらも逃げ切った。
実に、3001日ぶりの白星。と同時に、名古屋の優勝の可能性を消し、初優勝に文字通り“王手”をかけた。チームにとっても、選手、監督にとっても“特別な1勝”を挙げた試合後、小宮山友祐監督と石田健太郎が記者会見に出席。両者ともに興奮気味に試合を振り返りつつ、最終戦で「勝って優勝する」と力強く宣言した。
必ず優勝して、みなさんにいいご報告を
●小宮山友祐監督|バルドラール浦安
──今日の試合を振り返って。
一言では言い表せなくらいタフなゲームだったと感じています。試合前からの背景を含め、自分たちがタイトルに向かうために是が非でも勝たないといけない試合にしっかりと勝つことができたのは、選手たちの力であり、チームの力でもあります。
絶対に負けたくないという王者・名古屋のプライドをさらに上回るためにも、自分たちがチャレンジャー精神をもちながら勇敢に戦おうという話をして送り出しました。選手はその言葉通りに戦ってくれて、本当に大きな勝利を手にすることができました。選手たちに感謝しかありません。ただし、勝ちましたが、まだ何もつかんでいないので、あと1試合気を引き締めて、最後に勝って優勝できるように準備したいと思います。
──前節の町田戦での1-5の敗戦を経て、選手の組み合わせを変えました。この名古屋戦に向けたものか、2試合を見据えたものか。
セットについては名古屋戦だけにフォーカスして組み替えました。名古屋の一番何が危険かを考えた時に、やはり強烈なピヴォである清水(和也)選手をどうやって止めるのかが大きなポイントの一つだと思いました。
町田戦は前線からプレスがかかっていませんでした。名古屋にプレスがかからないと厳しくなるので、健太郎を一列前のアラで使えると今日のようにハイプレスがかかる。その分、健太郎がいつもやっているフィクソを、全幅の信頼を寄せている田中晃輝にしました。何回か(ピヴォに)反転されましたけど、本当に清水選手を抑えてくれたことが勝利につながったと思っています。
町田戦ではやはり選手に硬さもあったと思いますし、「緊張しているのか?」と話した時、選手によって反応が違いました。背負うものや難しい面もたくさんあったと思います。
彼らに伝えたのは「今日この試合に勝つためだけに準備してきたなら勝てないけど、1年間、本当にこのタイトルを取るために準備してきたみんなだから『必ずいいプレーができる』『必ず勝てる』」と。自分たちは、2、3週間前からやってきたのではなく、1年間かけてタイトルを獲るために準備してきたので、それをそのままピッチで表現してほしいという話をして、そのまま表現してくれました。
田中が清水選手を抑えることが、本当に一番難しいミッションだったと思います。素晴らしい選手だと思いますし、彼の役割が本当に大きかった。なおかつ2点も取りましたから出来過ぎだと思いますけど、それは彼が本当にひたむきにやってきた結果だと思います。
──監督として、実直に続けてきたことが結果につながった。改めて選手たちへの思いは?
本当に素晴らしい選手たちです。まだ優勝していないのでなんとも言えないですけど、浦安は絶対にタイトルを獲れないとか、夜練習だったら絶対勝てないとか、週4.5〜5セッションくらいの練習のチームが優勝なんてできるわけないとか、自分が現役の頃から散々言われてきましたけど、絶対にそんなことはない。
やり方次第で優勝できる、自分たちがやってきたことをブレずにどこまでやり続けられるかだと思うんです。そういった意味では今シーズンの選手たちは、この試合の後に明日(15日)は仕事があるから東京に帰る選手もいます。そういう部分でも私生活や仕事を一切言い訳しないで、24時間、365日、フットサルに対してコミットしてくれている。練習がない時でも個人でジムに行ったり、トレーニングしてくれている。そうした日々の積み重ねだと思います。私は言うだけなので簡単ですけど、やるほうは大変ですよね。
自分もそれを10年間やってきて、でもそれでは名古屋を倒せなくて、勝てなくて。プラスアルファで何ができるかというと、もっと自分に矢印を向けること。本当にたぶん、どう違うかなんてわからないですし、難しいと思います。年頃の選手たちですし、フットサル以外にやりたいことだってきっとあると思います。
でも、タイトルを獲るためにこっちが課したミッションを練習からしっかりと取り組んでくれた選手たち。本当に誰かのせいとかではなく、たまには試合中に言ってしまうこともあります。でも、自分と、自分たちに矢印を向けて戦ってくれた選手たちを誇りに思いますし、その選手たちだからこそここまで来られました。
でも、何度も言いますけど、まだタイトルを獲れていない。まずはしっかりとタイトルを獲ってから喜びを分かち合いたいと思います。ただ本当に、環境とか、自分たちへの言い訳にできるものはたくさんありますけど、それを一切しないで、妥協しないでやってきた選手たちを、私は本当に心から誇りに思います。彼らに優勝させてあげたいという気持ちが、今は一番強いですね。
──試合後にファン・サポーターの前で挨拶した際に何を伝えていたのでしょうか?
「あと1つ、一緒に戦いましょう」と伝えました。我々があれだけ戦えるのはファン・サポーターのみなさんの応援があったおかげですし、間違いなく、自分のためだけではなく、誰かのために戦えるからこそ走れるし、体を投げ出せると思います。どこのアウェイでも、ホーム浦安でも、多くの方が応援してくださったその力を受けて、ピッチで我々が表現しないといけないことですから、あと1つ一緒に戦ってください。まだここで終わりではなく、あと1つ勝つことが必要なので、選手たちの背中を押してほしいという意味で、伝えました。
──石田選手がパワープレーの守備で足を攣りながらも代わらなかったシーンはどう感じていますか?
まあ、攣っていたので1回、代われよって思いましたけど、自分もその立場を何度も経験していて健太郎の気持ちもめちゃくちゃわかります。自分が出て止めたいという気持ちは選手としてすごく大事なことであって、足が折れたりとか走れないなら代われと思いますけど、攣ったくらいでまだいけるんだったら、全幅の信頼を寄せているのでいってほしいですけどね。ただ、まだもう1試合あるから、トラブルが起こったら困るなと。
それは選手として健太郎がどう捉えるかだと思います。自分も選手で同じ状況だったら代わらなかったと思いますし、クリアしてもっと大きなガッツポーズをしていたと思います(笑)。その意味では健太郎がああやって「俺が出る」と意思表示したことは素晴らしいと思います。9年前の彼からは考えられない姿なので、頼もしい。それに彼がこれからW杯や日本代表で活躍するためにも必要ですし、大事なことだと思います。良くぞ頑張ってくれたと。
──外林綾吾選手と柴山圭吾選手をスポットで起用しました。後半の大事なタイミングでした。その狙いは?
チームは総合力だと思います。健太郎と、タケ(本石猛裕)と長坂(拓海)と菅谷(知寿)と、主力だけで戦えるような簡単なゲームではない。タフな試合の中で彼らの役割が非常に大事だと思っていました。柴山にはキープを、外林にはボールを奪うことを求めて、実際に外林が奪ってから柴山が1対GKのシーンをつくりました。また、見事に外しましたけどね。ああいうのを決めたらもっと出場時間が伸びてくるのになって。
前にも1対GKを外していて、いつになったら決めてくれるんだよって思いますけど、ああいうのを決めていたらもっと試合に出られるはずです。それでも大きな期待を寄せています。浦安U-15、U-18と生え抜きで、彼らもこのクラブを背負って戦ってきた選手です。彼らの活躍は私だけではなくこのクラブに関わるすべての人が応援してくれると思います。そこでいい結果を出してほしいと思って送り出しています。
──優勝は決まっていないですけど試合終了の笛が鳴った瞬間、何を感じましたか?
私が就任してから名古屋に一度も勝ったことがありません。初めてです。現役の頃は何度も勝ちましたけど、自分が監督として一度も勝たせてあげられなかったので単純にうれしかったですよね。
私は、そのためだけにずっと浦安にいましたから。名古屋を倒して優勝するためだけに、選手として10年間、スタッフとなって8年間、クラブに残りました。「名古屋を倒すこと」は自分の中で特別な思いがあります。戦ったのは選手ですけど、この18年間、名古屋を倒して優勝することを目指して共に戦った選手、スタッフ、監督、ファン・サポーターのみなさん。亡くなってしまいましたけど、GMを務めた故・浅野(清晴)氏、故・北野徹GKコーチなど、いろんな人たちの思いが、私の背中にはあります。浦安が優勝することはそれくらい大きな意味のあることです。名古屋に勝った瞬間は本当にうれしかったですけど、まだ何かをつかんだわけではないので、しっかりとしながわ戦に勝ってタイトルをつかんだ時に、18年間、塩谷(竜生)社長をはじめ、本当に多くの方に支えてもらった浦安というクラブに自分が恩返しできることなのかなと思います。
あと1試合。もちろん今いる選手の最高の笑顔が見たいという思いが一番強い。でも背景には、我々クラブが歩んできた道のりが私の肩にはあると思っています。必ず優勝して、みなさんにいいご報告をしたいと思っています。
──しながわ戦に向けてどんな戦いを?
比嘉リカルド監督も自分たちが優勝するために何をしなければならないかが頭にあると思います。得失点差を考えて最初からパワープレーをしたり、いろんなことを考えると思います。我々もそれに対して何をするか。
名古屋としながわでは選手もやっているフットサルも違います。まずは自分たちが、どこに彼らより優位性があるのかをしっかりと見極め、試合中に何が起こっても冷静に対応して勝ち点3を取るための準備をします。
長い時間パワープレーをされるかもしれません。今日は健太郎、本石、長坂、田中、菅谷が長い時間出ましたけど、最初からパワープレーをされたらずっと出すわけにはいかないので、全員がパワープレーのディフェンスをしないといけない。中1日ありますから準備したいと思います。
最後に監督を胴上げする
●バルドラール浦安|石田健太郎
──試合を振り返って。
今日は本当に勝たないといけない試合でしたし、前回の試合で大敗して、正直、無理矢理にでもいい雰囲気にもってきた1週間でした。みんな割り切ってできましたし、順位に関係なく、勝ったほうが優勝に近づくと思っていました。苦しい時間はたくさんありましたが、こういう試合を勝つことでまた優勝に近づきました。選手個人としてもより一段階レベルアップできた試合になったと感じていたので勝ててよかったです。
ただし、監督も話していたように、もう1試合あるので勝って優勝したいと思います。
──最後のパワープレーを受けていたシーンでは、足を攣りながらも出場していました。ベンチからは「交代しろ!」と言われながらも代わらなかったのはなぜですか?
まだできるかなという感じだったので。仲間を信頼していないわけではありません。自分が出たいという思いがちょっと出たので、いっちゃいました。ベンチは代われと思っていたかもしれないですけど、勝ててよかったです(笑)。
──パワープレーはどんな思いで受けていたのでしょうか。
ベンチからいろんな声が聞こえてきました。誰の声を聞いたらいいかわからないくらいみんな声を出していて、それは出ている選手には全部聞こえています。この1週間はパワープレーのディフェンスをたくさんトレーニングしてきました。やられてしまいましたけど、逆に奪って得点もできたので、いい形で守れたと思います。出ている責任がありますから、最後まで走りきろうという思いが強くありました。
──優勝に王手です。タイトル獲得への意気込みを。
僕が入ってから9年くらいになるんですけど、ここまで優勝争いをあまりしてこなかった責任を自分も感じています。チームを勝たせる存在になれなかったので、本当に勝って優勝したい。今のメンバー、もちろん(怪我で離脱している)レアンドロを含めてみんなで優勝して、最後に監督を胴上げできたらと思います。
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