更新日時:2025.02.19
“先生”への直談判から始まったキャリア。長坂拓海が語る、恩師・小宮山友祐監督とつかんだトロフィーへの思い【浦安/優勝インタビュー】
PHOTO BY伊藤千梅
【Fリーグ】バルドラール浦安 5-5 しながわシティ(2月16日/パークアリーナ小牧)
2月16日、Fリーグ2024-2025 ディビジョン1 ファイナルシーズンの小牧ラウンド(第27節/最終節)が行われ、レギュラーシーズン終了時点で首位・バルドラール浦安と2位・しながわシティが対戦。5-5で引き分け、悲願の初優勝を果たした。
しながわのシュートがゴールラインを割り、浦安の選手やスタッフ、ファン・サポーターの誰もがドローを確信した、残り時間4.5秒。
一目散に相手のゴール前まで走り、最後まで「勝って優勝」にこだわりつづけたのは、浦安を代表するスピードアタッカー・長坂拓海だった。
その諦めの悪さと「誰よりも走る」ことへの執念深さは、自身がFリーグを目指すきっかけとなった、小宮山友祐監督の下で刷り込まれたものでもある。
「小宮山さんと監督と選手という立場になれて、優勝することができた。本当に幸せです」
試合を終え、頬を伝う涙をようやく止め笑顔を見せた長坂が、恩師と共につかんだ優勝への思いを語った。
本当の意味で「戦える集団」になれた
──優勝おめでとうございます!今のお気持ちを聞かせてください。
ありがとうございます。
最高ですね。もう最高の気分です。
──岸和田ラウンドでペスカドーラ町田に1-5で敗れたあとの、小牧ラウンド初戦。名古屋オーシャンズ相手に不安はなかった?
2017-2018シーズンに浦安でFリーグデビューをしてから、リーグ戦で名古屋に勝ったことは一度もなかったですけど、不安はなかったですね。町田戦のインタビューで話した時と変わらず、優勝をするためにどの試合もやるべきことはやっている自信もあったので、いつも通り準備をするだけでした。
監督はよく「どれだけ足がボロボロになっても戦うつもりで」と話をしてくれますが、ボールを失ったら全力で戻るし、足がつるまで走ろう、と。順位的には自分たちの方が1つ上でしたけど、「挑戦者」という気持ちで臨みました。
──そして、このしながわシティ戦。試合終了の笛が鳴った瞬間は喜びと安堵、どちらが大きかったですか?
もう、ただただ「うれしい」しかなかったです。最後にしっかりと笑って終わりたいとずっとチームでも話をしていたので、それが実現して、これ以上のことはないですね。
──優勝できた要因は、どこに感じていますか?
本当に“いいチームだった”というところじゃないですかね。
これまで浦安は「足元がうまい」とか「クワトロが上手」と言われ続けてきました。今シーズンは、それも継続しつつ今まで以上に全員がサボらず、体を張ってディフェンスをするし、攻撃もするということを徹底できた1年でした。
出場機会が少ない選手も腐ることなくベンチから声を出して、出た時にはしっかり結果を残していました。もちろんうまくいかない試合もあって、要求しあった結果練習で喧嘩になりかけたこともありましたけど、それは勝つためだとお互い理解していたし、タイトルに向けて、みんなの意志がそろっていたなと感じます。
そしてその積み上げを、この小牧ラウンドでもしっかり発揮することができた。本当の意味で「戦える集団」になれたんだと思います。
初優勝が終わりではなく、ここからが始まり
──「監督を胴上げする」という目標もしっかりと叶えました。長坂選手にとって、小宮山監督はどんな存在ですか?
これだけ、「熱い」人はそうそういないですよね(笑)。
もともと小宮山監督は僕の大学の非常勤の先生で、プレーを見て「自分も入りたい」と直談判をしたんですよ。そしたら「お前、体重何kgだ」って言われて、「56kgです」て言ったら「そんなんじゃ無理だ。もっと食え」って言われて……。
たった一言なんですけど、僕にとっては忘れられない出来事だったんですよね。
そこから選手になるために自分なりに努力をして浦安のセグンドに入ることができて、この浦安というチームで小宮山さんと監督と選手という立場になれて、優勝することができた。本当に幸せだし、自分の人生にとって宝物と言える、掛け替えのない経験です。
──大きな目標を達成しましたが、ご自身のフットサルキャリアをどう歩んでいきたいですか?
僕は自分のことをうまい選手だとは思いませんが、誰よりも「走る」ことはできると思っています。
だからそれを目一杯生かして、うまくないなりに個人としてどう結果を残すかを考えているし、これからも考えていきたい。もちろんチームのことは大事ですけど、自分が結果を残すことがチームのためになると思っているので、まずは自分が全力で守備も攻撃もして、点を取ってアシストもすることを、これからも続けていきたい。
すぐに全日本選手権も来ますし、代表も含めてしっかりと成績を積み上げていかないといけません。
初優勝が終わりではなく、ここからが始まり。どんどんタイトルを取れるように、また気持ちを入れ替えて、戦う準備をしたいです。
取材・文=青木ひかる
1996年7月31日生まれ。神奈川県出身。大学在学中、Jリーグや学生サッカーに魅了され、スポーツライターのアシスタントとして現場での取材経験も積む。スポーツ写真販売などを手がける一般企業を経て、2023年にスポーツメディアを運営する株式会社ウニベルサーレに入社。現在は横浜FCのオフィシャルライター、サッカー専門新聞エルゴラッソの横浜FC担当としても活動しながら、フットサル全力応援メディアSALにてFリーグやフットサルの魅力を発信中。
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