更新日時:2025.02.21
44歳の守護神ピレス・イゴールがリーグ初優勝&MVP!「体はボロボロでも、まだまだ負けない」来日16年目の悲願達成、歓喜の言葉【浦安/優勝インタビュー】
PHOTO BY伊藤千梅
【Fリーグ】バルドラール浦安 5-5 しながわシティ(2月16日/パークアリーナ小牧)
2月16日、Fリーグ2024-2025 ディビジョン1 ファイナルシーズンの小牧ラウンド(第27節/最終節)が行われ、レギュラーシーズン終了時点で首位・バルドラール浦安と2位・しながわシティが対戦。5-5で引き分け、悲願の初優勝を果たした。
シーズンを通して、44歳という年齢を感じさせないプレーを見せたのが、浦安の守護神ピレス・イゴールだ。勝敗を左右するような数々のピンチをしのぎ、リーグ最小失点に貢献するとともにリーグ制覇の立役者となった。
今シーズンはさらに、高い位置まで持ち上がる「GK攻撃」の起点としても重積を担い、アシストやゴールでも貢献。小牧ラウンドでは名古屋戦、しながわ戦と、優勝につながる一戦で2試合連続ゴールを決めるなど、攻守両面で活躍を示して、文句なしでMVPを受賞した。
2009年の来日以来、16年でベスト5は10回目と、衰えることを知らない守護神だが、リーグ優勝は初めての経験。2020年に患ったギラン・バレー症候群から復活を遂げた“超ベテラン”GKは、悲願のタイトル獲得を果たした試合後、感極まりながら取材に応じた。
歳は関係ない。まだできる
──リーグ優勝とFリーグMVP受賞、おめでとうございます。44歳にして、なぜここまでの活躍ができたのでしょうか?
今シーズンは最初からみんなの調子が良くて、力を合わせることができたからこそ、僕自身もパフォーマンスを上げることができたと思います。僕は44歳ですが、監督も塩谷社長も、スタッフのみなさんも選手たちも、僕のことを信じてくれて、すごくうれしかったです。
個人的には40歳で病気になったときに、もうフットサルができないと思いました。それでも復帰することができて、ワールドカップに出場することができました。
そしてこのリーグ優勝を日本にきてからいつも目指していたので、本当にうれしいです。僕だけではなくて、家族や仲間たちのおかげで優勝することができました。
──昨年は日本代表がW杯出場を逃した後にリーグ戦が始まりました。それでも気持ちを落とさずにプレーすることができたのはなぜですか?
前回の2021年のW杯に出場することができて、個人としては昨年の大会がもう一度出場できるチャンスでした。そのためにフットサルをしてきたし、目標としてプレーしていたので、アジアカップで敗戦してW杯出場を逃したことは、すごく悔しい気持ちがありました。
競技を続けるかどうかで悩む部分もありましたが、日本のフットサルを助けるために、どんなプレーができるか、どんなサポートができるかを考えました。もちろん簡単に代表に入れるわけではないですが、もう一度次のW杯を目指そうと思っています。
若いGKたちと比べたら僕はおじいちゃんですが、まだまだ負けない気持ちはあるし、頑張らないといけません。そうすることでGKのレベルが上がって、日本代表はもっと強くなると思います。個人的には、家族のためにもまだ続けたいです。それを心に置くことで、年齢を重ねてもプレーできています。
──2020年に病気になってから、普通の生活を送ることも難しい状況でした。そこから戻ってきて、以前の自分を超えられたような感触はありますか?
なぜ今シーズンこんなにパフォーマンスが良かったのかは、本当にわかりません。でも逆に、さっき話した若い選手たちには負けたくない気持ちがあります。
年を取ると、いつでも自分よりも若い人と対戦することになるし、体の調子は下がっていきます。でも気持ちは強くもっている。家族が、特に息子がフットサルを楽しんでいるので、彼のためにもずっと選手でいたいし、まだ頑張りたい。歳は関係ないし、まだできます。
でも自分だけではできません。支えてくれる人がたくさんいて、僕だけでなく、チームがすごく活躍しました。だからいいパフォーマンスができたと思います。
──昨シーズンはなかなかホームで勝つことができなかったけれど、今シーズンはたくさんの勝利を重ねました。それはなぜでしょうか?
本当にわからないんですよ。でも、ホームの雰囲気が良くて、サポーターのみなさんが盛り上げてくれました。みんなの力があって勝てたと思います。
──小宮山監督が今シーズンでの退任を発表しています。
彼のためにも優勝できたらと思っていました。いつも前向きな言葉がけをしてくれるし、優しい言葉をかけてくれます。
──今シーズン、得点後に喜びすぎて試合後に少し具合が悪くなったりもしていましたね。
僕は年を取っているので、いつまでフットサルができるかがわかりません。毎試合出場していても、怪我をする可能性はあります。大きな怪我をしたら引退になる可能性があります。試合中に苦しい時間もありますが、味方を見たら力が入るし、全員がもっと強くなれます。「この試合がラストかな?」と思うこともあるし、複雑な気持ちになりますが、だからこそ毎試合毎試合を楽しむようにしています。
──それで喜びすぎちゃう?
そうですね。2年前、小田原アリーナの試合でも、喜びすぎて足をつりました(笑)。いつもスタッフたちに「気をつけてね」「喜ぶ時にはゆっくりね」と言われます。でも、全力で喜びたいからそれはできないですね。ゴールをすることは、本当に難しいですから、決めたら思い切り喜びます。
──表彰式のとき、吉川智貴選手と話していましたが、どんな話をしていましたか?
「おめでとうございます」と言ってもらったので、「ありがとうございます、とてもうれしいです」と。みんな代表で何年も一緒に戦ってきたので、仲が良いです。僕も名古屋が優勝したり、彼が怪我をした時にはいつも「おめでとう」「早く怪我を治してね」といった連絡をします。
文=本田好伸
1984年10月31日生まれ。山梨県甲府市出身。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、編集プロダクションを経て、フットサル専門誌「フットサルマガジン ピヴォ!」の編集者に。初めての単独取材は眞境名オスカーが率いて渡井博之などが活躍していたXEBRA SHIZUOKAがいる東海リーグ。2011年12月からフリーランスとして活動を始めてからは「フットサルナビ」で連載企画などを執筆し、2012シーズンから2024シーズンに発行した「Fリーグオフィシャルガイド」の編集・執筆を担当。著書に「30分で勝てるフットサルチームを作ってください」がある。
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