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作成日時:2025.02.21
更新日時:2025.02.25

「僕が出るということは、“点を取りに行くぞ”という合図」リーグ初制覇の切り札・吉田圭吾が大事にしているマインド【浦安/優勝コメント記事】

PHOTO BY伊藤千梅

2月16日、Fリーグ2024-2025 ディビジョン1 ファイナルシーズンの小牧ラウンド(第27節/最終節)が行われ、レギュラーシーズン終了時点で首位・バルドラール浦安と2位・しながわシティが対戦。5-5で引き分け、悲願の初優勝を果たした。

「チームの全員が、常にストイックに競技と向き合っています。ただ、彼は人一倍ですね。誰よりも自分に厳しい男です」

小宮山友祐監督も太鼓判を押し、もっている“個の能力”に絶大な信頼を置くのが、吉田圭吾だ。

“浦安の切り札”としての役割をまっとうし、リーグタイトルを目前にした大事な試合でもゴールを決めたドリブラーに、焦点を当てる。

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ケガで苦しんだ2年を乗り越えて

「このチームにいる全員が大事な選手で、リーグタイトルを目指す上で欠かせない戦力」

今シーズン、浦安・小宮山友祐監督は、記者会見のたびに何度も同じ言葉を繰り返してきた。

メディアを通して選手たちに伝えたかったのは、「たとえ出場時間が少なくても、もっている力をピッチに立った時に最大限に発揮してほしい」というメッセージ。シーズンを通しその期待に応え、大一番でチームを救う活躍を見せたのが、吉田圭吾だ。

「選手として、さらに成長するために」

強い覚悟をもって、吉田は2022年に4年間過ごしたバサジィ大分を退団。長年日本代表として功績を残してきた、小宮山監督率いる浦安に加入した。

しかし、加入初年度の2022-2023シーズンから度重なるケガに苦しみ、加入1年目から思うように出場時間を伸ばすことができず。負傷明けからのスタートとなった今シーズンも、若手主体のサードセット、あるいはファーストおよびセカンドセットを崩した際の、スポットでの起用が続いていた。

それでも、ここぞの場面でピッチに送り出されると得意のドリブルで相手陣内に切り込み、短い時間でゴールをもぎ取ってきた。

優勝争いの佳境となるファイナルシーズンでは、さらに気合のこもったプレーで存在感を発揮。1月26日に行われた立川アスレティックFC戦で、エース・本石猛裕のゴールに続き狙い通りのサインプレーから追加点を決め、ベンチとスタンドを沸かせた。

「出さないからだ」と言えるくらいのマインドで

「もっと試合に出たい」

そのもどかしさを抱えていることは認める吉田だが、そのジレンマとどう戦っているのか。なぜ、そのなかでも期待通りに、わずかな時間で結果を残すのができるのか。

1ゴールを決めた立川戦後に尋ねると、力強い口調でこう返ってきた。

「僕が出るということは、“点を取りに行くぞ”という合図だと思っています。とにかく、チームが勝てばなんでもいい。出たら結果を残すし、負けたら『自分を出さないからだ』と言えるくらいのマインドで、求められていることをやるだけです」

その言葉の真骨頂となったのが、“頂上決戦”の小牧ラウンドでの、2位・名古屋オーシャンズとの一戦。第1ピリオド7分に、カウンターのチャンスでボールをもった吉田は、ドリブル突破でネットを揺らし貴重な先制点をマーク。合計6点を重ねたチームは、前回王者に8年ぶりに白星を挙げ、リーグ優勝を大きく引き寄せた。

「本当は股抜きを狙っていたんですけどケアされてしまって、こぼれ球がもう一回僕の方に転がってきて、2回目のチャンスをしっかり決めることができました。たまたまなところもあるけど、チームを勢いづけられて、本当にうれしかった」

そして迎えた、2月16日のリーグ最終戦。しながわシティ戦をドローで終えた浦安は、クラブ史上初のリーグ優勝を達成。タイムアップの笛が鳴ると、試合後に感情を表に出すことの少ない吉田の目にも、安堵と喜びの涙が光った。

なんでもできる選手になるために

慣れない環境に戸惑いながらも、初めて首都圏のクラブに加入し、早3年。Fリーガーとして、最高の栄光とも言えるリーグチャンピオンの座をつかんだ吉田は、今シーズンをもって浦安を退団する。

順風満帆ではなかったかもしれない。それでも「自分の価値や強みを、再確認できた」と浦安で過ごした3年間を振り返る。

「今シーズンは特に、目の前の1試合1試合に全力で臨んで勝つことだけを考えて、ここまで到達することができました。地元の浜田から両親もフットサル選手として挑戦する僕を快く送り出してずっと応援してくれてるなかで、こうして目指してきたものを獲れたことは本当にうれしい」

ただ、胸にあるのは充実感や達成感よりも「まだまだやれる」という、向上心。リーグタイトルの余韻に浸ることなく、吉田はすでに次を見据えている。

「パスもあって、ドリブルもあって、シュートもある。欲張りかもしれないけど、なんでもできて得点も動かせる選手になりたいというのは、フットサルを始めた時からずっと変わりません。それを実現できるように今後も選手として努力していきたい」

リーグ王者の肩書きを提げたアタッカーは、今日も自分に矢印を向け、さらなる成長と飛躍を誓う。


取材・文=青木ひかる
1996年7月31日生まれ。神奈川県出身。大学在学中、Jリーグや学生サッカーに魅了され、スポーツライターのアシスタントとして現場での取材経験も積む。スポーツ写真販売などを手がける一般企業を経て、2023年にスポーツメディアを運営する株式会社ウニベルサーレに入社。現在は横浜FCのオフィシャルライター、サッカー専門新聞エルゴラッソの横浜FC担当としても活動しながら、フットサル全力応援メディアSALにてFリーグやフットサルの魅力を発信中。

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