更新日時:2025.03.03
名古屋・清水和也が背負う2つの“十字架”「すべてを自分のエネルギーに変えていく」【インタビュー】
PHOTO BY伊藤千梅
【Fリーグ】名古屋オーシャンズ 3-6 バルドラール浦安(2月14日/パークアリーナ小牧)
2月14日、Fリーグ2024-2025 ディビジョン1 ファイナルシーズンが行われ、小牧ラウンドの第26節で名古屋オーシャンズとバルドラール浦安が対戦。名古屋は3-6で敗戦を喫した。
2024-2025シーズン、清水和也は2つの大きな目標を失った。
1つ目は、日本代表でのW杯出場権だ。W杯予選直前に行われた練習試合で負傷し、無念のメンバー辞退。得点源を失ったチームは、歯車が噛み合わないまま、グループステージ敗退というまさかの結果に終わった。
2つ目は、名古屋でのFリーグ8連覇だ。監督交代1年目のチームは序盤から波に乗り切れず、浦安の背中を追う展開に。清水の驚異的なゴールラッシュで追い上げたものの、ファイナルステージの直接対決で敗れ、優勝を逃した。
浦安戦では不運な判定で2枚目のイエローカードを受けて退場処分を下された。最後までピッチに立てなかった悔しさは、どれほどだっただろうか。
浦安戦から2日後、清水和也がインタビューに応じた。
「嘘であってくれ」と思うけど……
──浦安に敗れて優勝の可能性がなくなりました。
この敗戦をすぐに切り替えろと言われても難しいですし、今もどこかで「嘘であってくれ」って思ってます。ただ、自分自身はこの結果としっかり向き合って、責任を背負って、糧にして、必ずリベンジしたいです。
──1-3で迎えた第2ピリオドの開始1分48秒、2枚目のイエローカードで退場となりました。
優勝のかかった重要な一戦で、自分が退場したことによって迷惑をかけたことは間違いありません。名古屋を応援してくれるすべての方々に申し訳ない気持ちで一杯です。
──ただ、映像を見返すと、清水選手の足は引っかかっていないように見えます。
2枚目に関しては……言いたいことはありますけど、もう終わったことなので、自分がとやかくいうことはしたくありません。それを受け入れて、そこに至るまでに仕事ができなかったのが自分の実力だと思います。
──残念な形で試合の流れが決まってしまった。
もちろん不本意ですし、自分にファウルをする意図はなかったですけど、それも含めてスポーツです。先ほども言ったように、それ以前に自分たちでどうにかできるチャンスがあった。それが自分たちには足りなかったと思います。
──試合終了後、スタンドにいた清水選手がうずくまって涙を流していました。
自分自身がそこにいられなかったこと、仲間を助けられなかったこと。それが一番悔しかったですね。
人生でずっと背負っていく
────フウガドールすみだから移籍してきて2年目のシーズンを振り返ると。
今年はうまくいかない時もブレずに、自分がやるべきことを全うできたと思います。ただ、このチームを助けてきた人たちは、どんな状況でも最後の最後に結果を残してきた。自分がそうだったかというと、そうではなかった。ゴールをとれた試合よりも、とれなかった試合での不甲斐なさを強く感じます。もっと僕が仕事をしていれば、ひっくり返せた試合もあった。特にスコアを動かさないといけないポジションなので。
──清水選手は名古屋オーシャンズのエース、そして日本代表のエース、2つのプレッシャーを背負っています。
W杯に出られなかったのは、フットサル界にとっては大きな損失になってしまいましたし、僕自身は大会前に怪我をしてしまって、ピッチに立てなかった。当事者として、フットサル人生……というよりも人生でずっと背負っていかないといけないと思っています。
──あまりにも大きな出来事が2つもありました。
自分の中で苦しいシーズンになったのは間違いありません。簡単に「責任を感じています」とも言えない。結果で返すしかないので、すべてを自分のエネルギーに変えていきたい。幸いにも自分には取り返せるチャンスはまだあります。その責任をしっかり果たさないといけないという強い気持ちでいます。
文=北健一郎
1982年7月6日生まれ。北海道旭川市出身。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、放送作家事務所を経て、フリーライターとしての活動を始める。2004年、学生時代に日本人初のセリエAプレーヤー、相根澄さんのインタビューに同行したことでフットサルの世界に興味をもつ。これまでに手がけたフットサル関連書籍は10冊以上。04年、08年、12年とフットサルW杯を現地取材。唯一のフットサル専門誌だったフットサルナビの休刊を受けて、見る人・蹴る人・着る人をつなぐ新たなフットサルメディア「SAL」を立ち上げる。
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