更新日時:2025.03.27
「難しい状況でも、自分たちのプラスにするしかない」選手と共に最後まで駆け抜けた、狩野新監督の苦しくも学び多き日々【全日本選手権 準々決勝|インタビュー/大分】
PHOTO BY伊藤千梅
【第30回全日本選手権大会|準々決勝】名古屋オーシャンズ 5-4 バサジィ大分(3月20日/駒沢オリンピック公園総合運動場 屋内球技場)
3月20日、駒沢オリンピック公園総合運動場 屋内球技場でJFA 第30回全日本フットサル選手権大会の準々決勝が行われ、名古屋オーシャンズとバサジィ大分が対戦。バサジィ大分は5-4で敗れ、惜しくもベスト8敗退となった。
今シーズンの大分は主力に多くの怪我人が出てしまい、リーグ終盤から全日本選手権にかけては、FPたった5人で戦わざるを得ない状況が続いた。しかしそんななかでも一体感のあるフットサルと驚異の粘りを見せ、この全日本でもアグレミーナ浜松と湘南ベルマーレを撃破。見事ベスト8まで駒を進めた。
迎えた名古屋との準々決勝でも、気持ちのこもったフットサルを披露。2点ビハインドの状況から、陣川凌の連続ゴールと青大祐のゴールで一時は逆転に成功するなど、聖地・駒沢でも確かな爪痕を残してみせた。
試合後、激動のシーズンを終えた狩野監督に話を聞いた。
取材=辻歩
文=福田悠
3段階のゲームプランを立ててきた
──お疲れ様でした。激闘でしたね。
そうですね。こちらがあともう1点取れていれば流れも変わった気がしますけど。パワープレーの守備に関しては、体力的になかなかボールにプレッシャーに行けませんでした。ただ引き込んだ状態でも、アンドレシートからの折り返しがあると思ったので、そこからのパワープレー返しが狙えれば……と考えてはいたのですが。終盤は守備のスライドの部分で体がついていけていなかったですね。
──名古屋相手なので失点を喫してしまうこともある程度想定はしていたと思いますが、「こういう展開になれば大分の勝ち筋になる」という線はどのように描いていましたか?
FP5人でここまで勝ち上がってきたので、そこの流れは変えずに、まずは5人で回そうと思っていました。そこでGK(上原拓也)を使って、それに対してどういう対応をしてくるのかを見極めようと。FP5人とGKでまずはリズムをつくっていく、第1ピリオドの途中から高溝(黎磨)を入れて攻撃のオプションを増やしながら、最後は野口(茅斗)を入れていくという3段階でのゲームプランを立ててきました。
「今後に向けて学びの多い1年でした」
──2回戦から今日の準々決勝まで約3週間時間がありましたが、人数も限られているなかでこの期間はどのような準備をしてきましたか?
コンディション調整に重点を置きながら、スカウティング映像を基に名古屋の対策を講じてきました。
──GKの上原選手がいつも以上にアグレッシブに攻撃参加していたのが印象的だったのですが、あれもチームとして準備してきた形だったということですよね。
はい、そうですね。拓也のところは完全にゲームプランに組み込んでいました。
──この人数なのでどうしても戻りが遅れてしまう場面もあると思うのですが、そこはもうある程度折り込んで許容しながら戦うイメージだったでしょうか?
それはありますね。ただ、映像も見せながら、そのリスクに対して誰がボールに行くのかという話も落とし込んでいたので、そこまでリスクには感じていませんでした。5失点目に関しては、拓也のミスがどうのというより、そのあとのカバーの部分でうまくいかなかったのがもったいなかったなと思います。
──主力に怪我人が多く出るなど難しいシーズンだったかとは思いますが、そのなかでもリーグ戦をよく戦い抜き、この全日本選手権でもベスト8まで残りました。狩野監督の指導者としてのキャリアのなかでも重要な1年となったのではないでしょうか?
そうですね。いろんな難しい状況がありましたけど、そこはもう自分たちのプラスにしていくしかないと思ってやってきましたし、その過程で得たものも多かったと思います。同時に、自分自身もっとあらゆる面で勉強していかなければいけないなと。今後に向けて学びの多い1年でした。退団する選手も多いのでまたイチからにはなりますが、今シーズンの経験を生かして、戦えるチームを作っていきたいと思います。
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