更新日時:2018.12.25
【フットサル選手のSNS事情】フォロワー13Kの上級者・中井健介の場合は?「集まってくれた人は自分の財産だと思っています」
PHOTO BY本田好伸
中井健介はFリーグNo.1のフォロワー数を誇るSNS上級者だ。Twitterのフォロワー数は、“キング・オブ・Fリーグ”と呼ばれるフットサル界のアイコン・森岡薫の7628人をはるかに上回る13,235人(2018年12月25日現在)。しかも、フォロワーとの関係はネット上にとどまらず、イベントやエンジョイフットサル、試合会場などリアルでもつながり、中井を中心としたコミュニティは日を追うごとに大きな広がりを見せている。
フットサル界屈指のSNS力を武器に、今では日本最大のクラウドファンディング・プラットフォーム「CAMPFIRE」で「中井健介#名刺交換よりパス交換」というオンラインサロンを主宰するなど、彼の“ピッチ外”での影響力は相当に際立っている。
さらに注目したいのが、中井のTwitterの「フォロー数」も1万を超えていること。「多くの人に迷惑をかけてしまったこともあると思う」と自ら“邪道”だと戒めていたものの、この数字は、自らアクションを起こしてきた証でもある。「一歩、踏み出すこと」を中井は自ら行動することで実践してきたのかもしれない。
【ステップ1:試合の告知と報告とコメントへのレス】
──おそらく、Fリーグの選手で中井健介選手が一番SNSのフォロワーが多いですよね。やはりSNSの重要性を認識している……って早速スマホをいじってますね。
ちゃんと聞いていますよ(笑)。
──いつごろからSNSを意識していたんですか?
これはいい話なんです。
──自分でハードルを上げましたね。
でもいい話なので(苦笑)。
──どんなエピソードですか?
5年前(2013シーズン)のホーム最終節で絶対に勝たないといけないという試合、相手はデウソン神戸だったのですが、めっちゃ盛り上がったんです。この試合に向けて選手同士で「SNSでみんなで声を掛け合ってお客さんを呼ぼうよ」と話していたんです。当時からSNSを使っていましたけど、みんなもフォロワーが1000人くらいで、僕もそうだったんですけど、自分からやってもいいんだって思いました。
──町田市立総合体育館に2000人弱(1909人)が集まったすごい試合でした。
そう、超満員でした。それまでは、プレーするだけでもすごく楽しかったのですが、応援の力でこれだけ自分の気持ちを高めてくれるんだってことを初めて感じました。前半は0-1で負けていて、後半にも失点して0-2になったのですが、ピッチに立っていると全然、負ける気がしなくて。それで5-3で逆転勝ちしました。ペスカドーラのスタッフもみんなこの試合のことをよく覚えているんです。僕はSNSの力はすごいんだということを感じて、そのときからちゃんとやっていこうと思いました。
──いい話ですね。
でも、そのときはまだみんなあまり発信できていたわけではないんです。ちょっとツイートするといろんな人に何かを言われてしまったり、ハードルが高いなと感じていて。それで他の選手よりもフォロワーが多かった滝田(学)さんに相談して、これはいいんじゃないかとか、言葉遣いはこうした方がいいとかって教えてもらいながら少しずつ発信できることをしていって、自分のなかにあったハードルを下げていきました。
──当時はツイートがメインですよね?
そうですね。あとはFacebookと。インスタはまだでしたね。SNSを使って選手が発信するものではないよねというような風潮もまだ残っていたような時期だったと思います。
──そのときに何から始めたんですか?
まずはテンプレートというか、よく言えば「まじめ」な、悪く言えば「キレイゴトを並べてつまらない」ような「試合があるので応援よろしくお願いします!」という試合情報とリンクを貼って、試合後には結果の報告を。週に2回、大事なところを知ってもらうイメージです。それでコメントをもらえたら、きちんと返していきました。「一生懸命に練習します」という当たり障りのないコメントだったかもしれないですが、ツイートしないよりいいと思っていました。
【ステップ2:ツイートの質を高める】
──その次は、フォロワーを増やすことを考えたんですか?
「オトナの学校」という番組があって(2015年)、そこで講師をした武井壮さんが「5万人を収容する会場で陸上競技の大会をして、そこには50種目があって、それぞれ50人の選手がいて、そこで1人が20人ずつ呼んでくれば会場は満員になるよね」という話をしていたんです。フットサルに置き換えると、1人が50人から100人を呼べば(2000人規模の会場は)満員になります。それをするにはSNSがいいなと思ったのですが、このまま発信していても無理だなと感じたので、自分からフォローすることをしました。
──どんな人をフォローするんですか?
フットサル楽しいとつぶやている人ですね。反応がなければ解除しました。迷惑がられてしまうこともあるので……あまりいい方法だとは思っていません。ツイートの質を上げればフォロワーも増えると思っていたなかで、その自信がなかったということもありました。
──ツイートの質ってどんなことですか?
まず1つ言いたいのは、フォロワー数が多いからすごいというわけではないということです。フォローしてもらうことのハードルはもちろん高いのですが、その後に僕の投稿を「見続けたい」、そして「応援したい」という関係性を築くことが大事です。そのベースがあった上での文章術というか、言葉遣いや言葉の選び方、それに起承転結のような順番も大切だと思います。そうやっていくうちに、反応がいいツイートの特性もある程度は見えてきたりするので、どうやったら自分の思いが伝わりやすいかを常に考えています。
──中井選手はオンラインサロンを立ち上げたりして、コミュニティづくりもされていますよね。いつから意識し始めたのでしょうか?
それは最近ですね。キングコングの西野(亮廣)さんがオンラインサロンをされていたことにも影響を受けましたし、「名刺交換よりパス交換」ということを、出会った人たちとやれたらいいなと思って。
【ステップ3:自分のやりたいことを応援してもらう】
──SNSを活用するようになって「中井健介」の立ち位置も変わったのではないですか?
生き方が昔よりも明確になったと感じています。この先も、自分のやりたいことをやりながら、同時に何か世の中の役に立つようなことを生み出していけたらいいなと思っています。
──では今後は、SNSをどのように活用していきたいですか?
もっとツイートの質を上げていくこともそうですけど、SNSなどに集まってくれた人は自分の財産だと思います。熱狂的なファンになってくれた方がたくさんいて、その人たちを巻き込んで自分のやりたいことを実現したいです。具体的には観客動員を増やすこと。先ほど話したあの試合のような熱狂を生み出して、そこにはファンの方がいて。そういった自分のやりたいことを応援してくれるコミュニティを大事にしたいです。
──試合会場に来てくれて、大声援の中でプレーして、みんなで喜びを分かち合う。
そう、Fリーガーの中井健介としてはそこです。
──まだ踏み出せていない選手へのアドバイスはありますか?
僕自身、探り探りのなかで突撃していますし、計算してやっているわけではありません。間違ったことをしているかもしれない。でも、SNSをやらない手はないなと思っています。
*
*
中井選手のすごさは、1万人を超えるフォロワー全員とリアルの場でもつながるくらい、一人ひとりとのつながりを意識しながらSNSを活用していること。「試合の告知と報告から始める」「フォロワーを増やす」「ツイートの質を高める」「コミュニティを作る」「自分のやりたいことを応援してもらう」という彼が積み重ねてきたSNS力のノウハウは、選手としての中井健介のためであり、一人の人間としての中井健介のためでもある。
ただ決して独りよがりなものではなく「仲間と一緒に喜びを分かち合いたい」という、自分が巻き込んだ“財産”をみんな幸せにしたいと願う、中井の「生き方」そのものに違いない。
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■中井健介のオンラインサロン
「中井健介#名刺交換よりパス交換」
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