更新日時:2025.06.26
中村充はなぜ、ゴールを決められるのか?4戦4発の“新戦力”が結果を出せるワケ「小さなことでも一つひとつ」【F1第4節|インタビュー/しながわ】
PHOTO BY本田好伸
【メットライフ生命Fリーグ2025-26シーズン ディビジョン1】しながわシティ 3-2 名古屋オーシャンズ(6月21日/品川区立総合体育館)
6月21日、メットライフ生命Fリーグ2025-26シーズン ディビジョン1の第4節が行われ、しながわシティと名古屋オーシャンズが対戦。しながわが3-2で勝利を収めた。
一進一退の攻防となった一戦、1-1で迎えた第2ピリオド早々、カウンターから決めたのが中村充だ。平田・ネト・アントニオ・マサノリのパスを受けた右の高溝黎磨がていねいかつ正確にファーへと送り込むと、走り込んだ背番号19がドンピシャで合わせて勝ち越しを決めた。
今シーズン、立川アスレティックFCからしながわに移籍した中村は、これで4試合連続4点目。明確に“結果”を求められる移籍先で、いち早くフィットして、求められる数字を残している。
中村は今、どんな思いでピッチに立つのか。名古屋戦に勝利した試合後、話を聞いた。
しっかりやらないと、他の選手に替わられてしまう
──本当に大事な試合に勝利しました。
もちろん毎試合、大事ですけど、ホームで2週間前に負けていて(6月7日 第2節 立川戦 ●2-7)、先週は勝ちましたけど(6月14日 第3節 町田戦 ◯4-3)、4-0から4-3にもっていかれた後味の悪い試合になってしまったので、今日はどちらにせよ難しい試合になると話していたなかで勝ち切れたことが良かったと思います。
──中村選手自身は開幕から高いパフォーマンスを見せています。どう感じていますか?
そう言ってもらえるのはうれしいですけど、僕としてはすごく調子がいいというわけではありません。僕は今年から加入して、もともとあったセットに入っているので、合わせないといけない部分はもっとあると思います。
──ただし、目に見える結果も出せています。なぜ、いきなりフィットできているのでしょう?
点を取れているのは、崩したところでのセグンドなど、最後にGKと1対1になるところにいられるからですね。スペースが空くところは、誰がキープしていて、誰が時間をつくってといったところはわかるので、“ここにくるかな”と。それは、練習でも、今日のように(高溝)黎磨くんが仕掛けてくれたり、前回はマサくん(平田・ネト・アントニオ・マサノリ)がしっかりと時間をつくってくれたりする。そういう特徴はわかってきています。
どこにいけば点が取れるのかなというのが見えるというか。他の3人、クロ(GK黒本ギレルメ)を含めて4人がしっかりとつないでくれて、僕は最後、そこに走り込んで流し込んでいるだけ。僕の得点というよりかは、おいしいところだけをもらっているという感覚ですね。
──中村選手といえばミドルシュートも特徴ですが、そこも求められている?
そうですね。打てるところは打っていけと言われていますし、打てるなら打ちたいと思いますけど、戦術的にも、マサくんがいる分、いいところに入ってきてくれているので、よりゴールに近いところやセグンドのほうが、得点チャンスは広がるので。
もちろん時間の流れや展開によって打てるところは打とうと思っています。それ以上に能力の高い選手が多いですし、そこで打つよりもいい他の選択肢が試合中に見えるので去年よりはシュート本数は少ないですね。ただ、結果的にはそれでいいのかなと。打てるのであれば、決められるのであれば打っていきたいと思います。
──その話でも感じますけど、より“見えている”なと。しながわに最初からいたと思うほど違和感がない。
特徴のしっかりある選手、それはマサくんも、(笠)篤史も、ダニ(サカイ・ダニエル・ユウジ)もそうですし、どういう選手かはこれまで対戦してきたので、どんな選手かはわかっていました。それに、僕がどう動けば、どんなつくり方をすれば彼らが生きてくるかは、プレーをしていくなかで「やっぱこうだよね」というものがあるので。細かい“練度”はまだまだ合わせていかないといけないですし、ミスをしたとしても、お互いの“目”が合っていれば、「そこはこうだよね」という話をしたりすることが多い。なので予想よりはうまく入れたと思います。
──対戦相手として見ていた部分と、実際に合わせる部分では、印象が違うこともありますか?
おおむね、こうだよねとはなります。ただこういうことをするんだとか、こういう動きもするんだというのは、やってみないとわからないところもあります。外枠の部分はイメージどおりですね。いずれにせよ、細かい部分のクオリティが高いですし、そういうふうにやれるんだということは、プレーしても、話していても思いますね。
──古巣・立川戦は厳しい試合となりました。どんな感想でしたか?
前半、先制点は取れましたけど、1-2で折り返して、後半はみんな時間をつくりながらというか、点を取らないといけないという部分にフォーカスがいきすぎていました。最終的に点を取れればいいよねというよりも「点を取らなきゃ」という気持ちが強かった。間のスペースに入られて、本来であれば撤退しないといけないところでも、僕もそうでしたけど、ボールを奪わないといけない意識が強くて、それがすべて悪い部分として出てしまった。
まだ時間はありましたし、覆せる試合だったのに、自分たちで首を絞めてしまいました。
──対戦相手として戦うアスレはどうでしたか?
いや、それは「イヤ」ですよ。わかっていますけど、みんな頑張りますし、走ってきます。僕らのマークチェンジがズレたらそこを狙ってきますし、前にいきすぎていたら、その裏を取ってくるのはみんなうまいので。まあ、わかっている分、突っ込めなかったり。最後、(花田)耀祐が点を取ったところも、パスをしないことはわかっていたけど、(逆サイドに)いる分、(コースを)切らないといけないし。一つ遅れてしまうのは難しい部分。改めて、戦ってみて「めんどくせーな」と思いました(苦笑)。
──花田選手には気持ちよく決められましたよね。
あれはもう仕方がないです。みんな前がかりになったところで1対2の局面でしたし、(パワープレー中に撤退していたのでGKが)ダニだったし、GKを代われていなかったので仕方がない部分はありましたね。
──試合後に、誰かと話したんですか?
特にないですよ。でも、パーソナルトレーニングが(湯浅)拓斗と一緒なんですけど、彼がすごい喜んでいて、「俺、すごい調子いいっすわ!」って鼻高々に言っていたので、次やる時はつぶしてやろうかなって(笑)。
──古巣にやられるのは悔しいですよね。
ただそもそも、勝たないといけないチームですからね。どこが相手でも。でも、僕の中ではずっと「不完全燃焼」でいるので。ずっと残っています。何日経っても。僕からしたら、そういう大事なところだったり、去年の選手権での決勝もそうですけど、立川にいた時のことで言えば、7試合くらい勝てなかった時のこととか、ああいうのは残るものなので。そういう思いがある分、連敗してはいけないですし、引き分け続けちゃいけないし、決めるとこ決めなきゃいけない。
今日の試合僕は、前半に決定機を外しています。でも、その(下のコースを止められた)イメージがあったから、点を取った時は上に蹴ろうってのがあるんですけどね。ただ、ああいうところで決めないと、今日みたいに苦しい試合になっちゃうので。
だから、(うまくいかなかった記憶ほど)ずっとありますね。
──名古屋に勝つことは、本当に大きい。当然、まだ先は長く、常に目の前の試合に勝つことを考えてやっているとは思いますが、それでも。
どのチームもそうだと思いますし、去年の優勝チームの浦安とか、絶対王者だった名古屋とか、優勝経験のあるチームに勝つこと。しながわはまだ優勝したことはないですし、僕自身もまだその経験がありません。
それを知っているチームにリーグ戦で勝てることはすごく大きなものだと思います。
──決意をもって移籍してきたと思います。今シーズン、しながわで成し遂げたいことや、見せたいものは?
もちろん優勝は目指していますし、そのために僕が必要なピースとして、しっかりとチームに当てはまっていかないといけないと思っています。
そのなかで結果を求められますから、それを残して、チームの結果に貢献できることを示していきます。
──なにより、結果を出さずに、生き残れるチームではないですからね。
はい、それはもちろん。
──だから、ピースでありながら、個人として示す結果が大事になる。
シュート、ゴール、もちろん、アシストもそうですけど、その上で守備も。そこは比嘉(リカルド)さんは大事にしているので、最後に体を投げ出して止めたり、一つひとつのことをやっていく。シュートを止めれば、それはゴールと変わらない“1点モノ”だと思っているので、そういうところもしっかりやっていかないと、すぐに他の選手に替わられてしまう。いい選手はいっぱいいるので。小さなことでも頑張っていかないといけないと思っています。