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作成日時:2025.11.23
更新日時:2025.11.23

アジアナンバーワン選手は、世界に通用するのか?背番号7・追野沙羅がW杯で証明する女王の実力

PHOTO BY伊藤千梅

アジアで最も優れた女子フットサル選手が、世界に挑む──。

SWHレディース西宮に所属する日本女子代表・追野沙羅は、5月に行われたAFC女子フットサルアジアカップ2025で大会MVPに輝いた。

2018年、ブエノスアイレスで行われたユースオリンピックでフットサルが初めて種目に採用されると、18歳以下で構成されたメンバーに名を連ねた彼女は、周囲の期待に応える活躍ぶりで銀メダルを獲得した。

決勝でポルトガルに敗れたものの、準決勝でスペインに打ち勝つなど、世界レベルを肌で感じながら戦い、準優勝という一つの結果を残した経験は、確実に彼女を成長させた。

あれから7年。再び挑む世界の舞台。ただし、今度は年齢制限はない。12月に25歳を迎える追野は、アジアナンバーワン選手として、どんな姿を見せるのか。もちろん、見据えるのは“金メダル”だ──。

文=本田好伸

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実力で証明したアジアナンバーワン

追野は、女子フットサルで史上初めて開催されるFIFAフットサル女子ワールドカップに「アジアナンバーワン選手」として出場する。ただし、そこに驕りや慢心はない。

「自分がすべきことは以前と変わりません。自分が積み重ねてきたもの、チームが積み重ねてきたものを出していく。本当にそれだけなので、(アジアカップでMVPになったからといって)変わらないと思っています」

そもそも、MVPを「自分だけの力だけでは取れなかった」と話していた彼女は、自身を過大評価しない。ある意味では、周囲が勝手に期待を寄せているだけかもしれない。それでもなお、期待してしまう。

アジアカップでは、タイとの決勝で貴重な先制点をマークした。前線からのプレスでボールを奪い、味方とのワンツーからリターンを受けて右足で決めたその一撃は、日本に大きな希望を与えるものだった。

とはいえ、スコアは3-3で、PK戦の末に試合は決した。追野が今大会で唯一挙げたゴールは決勝点でもなく、大会を象徴するようなベストゴールでもなかった。だが、彼女はMVPに選ばれ、チームメートはみな納得の表情で喜び、追野の受賞を称賛した。

選出理由は公表されていないが、推測はできる。

追野が、日本の優勝に最も不可欠な選手だったからだ。全員の力で勝ち取った栄冠ではあるものの、須賀雄大監督が率いるチームで攻守における舵取り役を務めたのが追野だった。

ストライドの長さは大きな武器であり、対人の守備に強く、奪ってからの出足も早い。相手の裏を突くようなパスセンス、ロングレンジからでも突き刺せるパワーシュート。何よりも、試合の状況を的確に捉え、プレーを判断・決断できる戦術眼とそれを実行する技術が日本最高峰レベルにあることは疑いようがない。

大会中、2ndセットで出場して試合を動かし、試合を締めてきた追野は、その実力でMVPをつかみ取り、アジアで最も優れた選手の一人であることを証明してみせたのだ。

アジアは世界に通用するのか?

W杯に向かう過程は、順風満帆ではなかった。

アジアカップから4カ月、大会後、初めての活動となったトレーニングキャンプに選ばれたものの、コンディション不良のため不参加。結果的に、10月末のメンバー発表前の最後となった活動に、帯同できなかったのだ。

焦りはなかったのか。彼女は言う。

「このW杯のメンバーに入ることを意識するというよりも、自分がその時点でしなきゃいけないことを積み重ねてきたという感覚です。自分がピッチに立っているのは、たくさんの方々の支えや助けがあってのことです。そのことに対して本当に感謝していますし、その気持ちを自分がどれだけピッチで体現できるかが大事だと思っています」

ひたすら自分自身と向き合い、周囲への感謝を胸に戦う姿こそ、彼女のブレない矜持だ。そうやって日々、淡々黙々と研鑽を重ねて大会メンバーに選ばれ、再び、背番号7を背負う。

「支えてくださるみなさんから気持ち良く背中を押してもらえたので、もう本当にそれを出すのみ」

思いは変わらない。プレーでは何を見せるのか。

「自分の強みは、やっぱり足の長さですし、それを生かせる守備だと思います。相手選手も体格が大きいですけど、そこに対応できるところがストロングポイントだと思います。そのディフェンスと、あとはどうやって攻撃につなげられるか。ロングシュートは、左右両方で狙っていきます」

今大会、日本はニュージーランドとタンザニア、そしてポルトガルと同グループに入った。そう、2018年のユース五輪の決勝で敗れた相手だ。FIFAランキング1位のブラジル、2位のスペインに続く、3位のポルトガル。日本は5位につけているものの、アジア勢とその“世界3強”の間には、順位だけでは測れない大きな壁があるとも言われている。

それでも、期待してしまう。

「積み重ねてきたことが、世界に対して通用するのか楽しみです」

いつもと変わらない涼しい顔で、追野はそう話す。アジア女王と、そのチームから選ばれたMVP選手が挑む、世界の舞台。果たして、その挑戦は頂点へと続いていくのか。キーマンはやはり、日本の背番号7だ──。

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