更新日時:2025.11.26
史上初のW杯で“前人未到の初勝利”を手にしたアジア女王。日本女子代表・須賀雄大監督「みなさんへの感謝を試合で示せた」

PHOTO BY伊藤千梅
【FIFAフットサル女子ワールドカップ フィリピン2025】日本 6-0 ニュージーランド(日本時間11月23日/フィリスポーツ・アリーナ)
11月23日、フットサル日本女子代表はフィリピンのマニラにあるフィリスポーツ・アリーナでFIFAフットサル女子ワールドカップ フィリピン2025、グループステージ第1戦を戦い、ニュージーランド代表に6-0で大勝。史上初の大会となった初戦で歴史的な白星を飾った。
試合翌日、須賀雄大監督に話を聞いた。
素晴らしい内容と結果
──初戦、6-0の勝利おめでとうございます。
ありがとうございます。
──試合内容をどのように見ていましたか?
ワールドカップが初めての舞台で、前人未到の舞台でもあったので、難しいゲームになることはみんなが理解していました。その難しさを感じた上でいつも通りにできるかが一番のポイントでした。
実際、選手たちは立ち上がりから落ち着いていましたし、いい時間帯にゴールを挙げることができて、非常にいい入り方ができたと思っています。
多くの選手がアジアカップの経験を積んできています。アジアカップでは初戦のインドネシア戦で前半にすごくいいゲームをしたのに、後半に失点してしまい停滞感が生まれました。そういったことも踏まえて、ニュージーランド戦では後半に何をすべきかを考えてギアを上げ、「絶対に失点しない」という気持ちをもって入れました。
その結果、6-0の結果を出せたことは素晴らしいことだったと思います。自分たちの基準で言えば、アジアカップからしっかりと積み上げができて、成長を実感できた試合だったと考えています。
──ニュージーランドについてはいかがでしたか?
ニュージーランドは個人技がある選手がいました。アラとピヴォの選手にはタレント性がありましたし、そういった部分を警戒しながら戦いました。日本人コーチの方もチームに入られていて、ボールを大事にしながらフットサルをする気持ちのあるいいチームでした。
──前人未到という言葉がありましたが、初めてのW杯で試合前はどんな心境でいましたか?
誤解を恐れずに言うと、アジアカップの時は「W杯の切符をつかまなければいけない」という、ものすごいプレッシャーを肌で感じていました。その時の緊張の度合いは、言葉で言い表せないものがあったのも事実です。
一方で、今回のW杯も結果を残さなければなりませんが、「残さなければいけない」という気持ちよりも、「残したい」「このチームの価値を示したい」という希望が強く出る試合でした。そういった点で、試合の臨み方に違いがあると思いましたし、自分の感情を素直に感じることができました。
自分たちがアジアで結果を出して、この大会をつかみ取った自信はものすごくあったので、その自信をそのままぶつければいいという、落ち着いた精神状態があったと思います。いい意味での緊張感はありましたが、過度に緊張せず試合に臨むことができました。
──楽しみ気持ちを感じることができた。
そうですね。監督という仕事柄、本当の意味で試合をエンジョイするのは、選手とは違う立場でもあるので難しいと思います。
どちらかと言うと、選手が躍動する姿を見られることが監督冥利に尽きるというか、そのために監督をやっているとも言えます。試合の立ち上がりから5人がしっかりと体現してくれたのを見て手応えを感じましたし、幸せな気持ちになりました。そして、それを1試合通して継続して出していくことが楽しみで、選手は100%、120%の力を発揮してくれた試合っだったと終わってからも思います。
試合中も、「これだったら本当に大丈夫」「この試合を全員が楽しめている」「自分たちの良さを思いっきり出せる」という手応えを感じながら進めました。
──同じアジアで競ってきたライバルのイランはブラジルと、タイはスペインと対戦しました。その様子を見て、どのように感じましたか?
私たちは、ブラジルもスペインも対戦経験があるので、その強さを肌で感じています。タイは前半を1点差で折り返し、イランは少し離されてしまいましたが、彼女たちの価値をしっかりと示して戦っているのを見て、アジアの同志として頼もしい、誇らしい気持ちになりました。
これからアジアの舞台は間違いなくレベルが上がっていくと思うので、自分たちのレベルを上げるためにも、アジアの同志がみんなでレベルを上げていくことが求められると思います。
実際、イランの監督やタイの監督とは、試合が終わればフットサルというスポーツを向上させる同志としてお互いに接しています。そして今度は自分たちがポルトガルと試合をするので、アジアチャンピオンとして恥ずかしくない試合を見せたいと思っています。
──次の試合に向けての意気込みを聞かせてください。
ポルトガルがグループリーグの一番のライバルになることは昨日のタンザニア戦を見た上でも明確ですし、実際に次の試合がリーグの大一番になると思っています。
ポルトガルとの対戦自体は自分が就任してから2試合目になりますが、フィジカル的に長けていて、戦術的にも洗練されている印象をもっています。特にフィジカルの差を埋めるために、自分たちはより個人だけではなく、個人プラスワンの部分を攻撃でも守備でも考えていかなければいけません。
選手も間違いなく同じ気持ちでいると思うので、前日練習はしっかりとハードなトレーニングをしてポルトガル戦に向かいたいと思っています。
──昨日の会場には多くのファン・サポーターの方が来てくださいました。
ニュージーランド戦を迎えるにあたって、この試合を待ち望んでいた多くの関係者のみなさん、今まで女子フットサル界をつくってきたみなさんの強い思いがあります。
私たちはその思いを全員が全身で受け止めて挑んだ試合でした。国歌斉唱の時から感極まる気持ちがありましたし、感謝を試合で示せたと思っています。
会場に多くのファン・サポーターの方が集まって、日本コールをしていただきました。サポーターのみなさんに日本の応援という形で、代表のチャントを歌ってもらいました。そういった部分で、また1段、日本女子フットサル界の歴史として積み上げられた試合でした。
その積み上がったものをちゃんとポルトガル戦で発揮し、その恩に報いたいとチームの全員が思っています。ぜひ次の試合もまた一緒に戦っていただき、自分たちが日本代表らしく戦う姿勢を見てもらい、楽しんでもらえたらと思っています。
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2025.11.26














