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作成日時:2025.12.02
更新日時:2025.12.02

日本女子代表、20歳の最年少ピヴォ・岩崎裕加が決めた念願のW杯初ゴールと、届かなかったハットトリック

PHOTO BY伊藤千梅

待ち望んだ瞬間は、26分に訪れた。

相手2人に囲まれながらも強引に前を向き、右足を振り抜いたボールが、ついにネットを揺らした。20歳、日本女子代表の最年少ピヴォ・岩崎裕加が奪った、念願のワールドカップ初ゴール。その1分後には反転からの追加点も決めるなど、大舞台で確かな存在感を示した。

しかし、満足はしていない。もう1点、ハットトリックを達成するチャンスもあった。

日本はグループステージ第3戦でタンザニアに勝利を収め、準々決勝進出を決めた。次の相手は世界1位・ブラジルだ。岩崎は、日本を勝利に導く“W杯3点目”を奪いにいく。

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念願のW杯初ゴール

「やっとゴールが取れたという気持ちが、一番にあります。もう、とにかくゴールがほしかったので、うれしかったですね」

自身のワールドカップ初得点を振り返りながら、岩崎裕加は安堵の表情を見せた。5月のアジアカップでは、グループステージ第3戦・タイ戦で“幻のゴール”こそあったものの、公式大会では初得点。「W杯で結果を残したい」と話していた20歳のピヴォが、大きな一歩を踏み出した。

タンザニア戦、第1ピリオドは岩崎にボールが入った瞬間に後ろからのファウルが続き、簡単には前を向くことができず、ゴールへと迫れなかった。ようやく訪れた第2ピリオド26分、相手2人に囲まれながらも強引に前を向き、右足を振り抜いた。

「前半でファウルをされまくっていたので、『どうせ引っ張ってくるだろうな』というのは想定していました(笑)。(中村)みづきがファーに走っているのも見えていたんですけど……ちょっと強引に振ったら入りました」

執念の1点。そのわずか1分後、今度は中央のピヴォ当てでボールを受けると、マークを振り切って反転。一気にGKと1対1の場面へ持ち込むと、冷静にかわしてゴールへと流し込んだ。

大会直前のトレーニングキャンプから取り組んできた1対1。GK陣にも協力してもらいながら磨き続けてきた形が、ようやく実った。

「1対1はずっと課題だったので、時間があればGKの3人にも手伝ってもらい練習していました。GKの練習時間を使っちゃって申し訳なかったけど、形にできて本当にうれしいですし……ありがとうって気持ちしかありません」

喜びは、自らのゴールに関してだけではなかった。セットで組む仲間たちにも結果が出たのだ。

今大会、岩崎が組む2ndセットは、第1戦のニュージーランド戦で、チャンスをつくりながらもノーゴール。第2戦のポルトガル戦は、シュートチャンスさえもつくれなかった。だからこそ、中村、高橋京花、松本直美と共に、4人全員でゴールを奪えた試合は特別なものとなった。

「みんなで『もっとゴールしたいよね』『もっとシュート打ちたいよね』と話していて、先週からたくさん修正していました。だから4人で取れたことがすごくうれしくて。一つ成果が出ましたね」

セットの話題になると「そうなんです、そこなんです」と、自分の得点以上にうれしそうな笑顔を見せて話す姿が、岩崎らしい。

2点目の直後、岩崎はあるゴールパフォーマンスを見せた。左手の人差し指を眉毛に沿わせ、右手でスタンドを指差すそれは、日本代表のキャプテン・清水和也のお馴染みのポーズだ。

もともと、フウガドールすみだでプレーしていた清水は現在、名古屋オーシャンズのエースとして君臨しているピヴォである。リーグ戦19試合で20点をたたき出して得点ランキングトップを走る“日本のエース”から、大会前にメッセージをもらっていた。

「『頑張れよ』って声をかけてもらいました。自分の中でも(清水)和也くんは目標の選手で、ずっと追いかけている存在です。パフォーマンスをやるとは決めてなかったんですけど、気がついたらやっていました(笑)」

思わず清水のパフォーマンスが飛び出すほどの高揚感。この試合が、岩崎にとって大きな自信となったことは間違いない。ただし、完璧だったわけではない。

第2ピリオド、高橋の突破がファウルを誘って与えられた第2PKのチャンスで、岩崎はキッカーを託された。しかし、これを決めきることができなかった。

「そうなんですよね……。第2PKは緊張しちゃって。須賀(雄大)さんには『枠にな!』と言われていて、狙ったところには蹴れたんですけど、GKが左に寄っていたので右に動くかなと思ったら、そのままで……。悔しいですけど、次、頑張ります」

同日、ちょうど真裏の時間帯で行われていたFリーグで、清水はハットトリックを達成していた。だが、岩崎はそのチャンスをつかむことができなかった。

グループステージ突破を決めた日本の次の相手は、FIFAランキング1位・ブラジルだ。実は、男子代表も10月にブラジル代表と日本で2試合対戦し、0-4、2-3で連敗。清水も「ブラジルからのゴール」は記録していない。岩崎は、その壁に挑む。

「もしここで決めて勝利に貢献できたら『ブラジルから点を取った』と胸を張って言えると思います。もちろん今回だけじゃないですけど、常にゴールを目指して頑張ります」

最年少ピヴォは、世界の舞台で“W杯3点目”を決めることができるか──。

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