更新日時:2026.03.28
9年間の感謝と惜別の涙。大分・狩野新監督が振り返る苦悩と指導者の野心「自分にはチャレンジする舞台が必要」【第31回全日本フットサル選手権大会/インタビュー】

PHOTO BY本田好伸
第31回全日本フットサル選手権大会は3月22日に決勝が行われ、ペスカドーラ町田が前身時代を含めクラブ史上3度目の優勝を果たして幕を閉じた。
その町田に準々決勝で敗れたバサジィ大分。今シーズンのリーグ戦は、序盤戦の6試合で白星を得られず、2025年11月から12月にかけては6連敗を記録するなど、苦しい時期を過ごした。残留争いを戦いながらも、ファイナルシーズンは下位リーグで4勝1分けと駆け抜け、全日本選手権では準々決勝に進出した。
そのチームを率いた狩野新監督は、今シーズン限りで退任。現役時代を含め、9年間を過ごした大分を去る。クラブの功労者である指揮官はなぜ、クラブを離れる決断を下したのか。苦闘のシーズンを振り返り、次なる挑戦について語った。
取材=本田好伸
編集=柴山秀之
12月から負けなかったことは選手の努力の成果

──まずは今大会を終えて率直な今の心境をお聞かせください。
怪我人もいたので、最後は全員で戦いたかったですし、この場所に来られなかった選手と一緒にできなかったことは指導者としての心残りです。
でも、本当に悔いのないゲームだったのかなと。選手たちは全力を出してくれましたし「バサジィらしさ」を出たと思っています。
──今シーズンの結果は満足のいくものではなかったと思いますが、改めてバサジィ大分というチームへの思いはいかがですか?
昨シーズンから今シーズンにかけて人数もすごく入れ替わったなか、自分としては新しく構築していくことがうまくできませんでした。シーズンの最初は特に、選手たちに不安な思いをさせたしまったなと。
後半戦は自分たちのやるべきことが明確になり、全体の連係も取れ始めてチームとしての活力も上がりました。そこまでいくのに、自分たちの成熟度が足りなかったと感じるシーズンでした。
──監督の目には涙の跡も見えます。試合後、選手たちにどんな話をされたのでしょうか?
自分は、正直に感謝の気持ちを伝えるしかありませんでした。
最初に言ったのは、前半戦で選手たちに不安な思いをさせてしまったこと。そこでも諦めなかった選手たちに「感謝したい」、12月からほとんど負けていないことは「これは努力の成果だよ」と伝えました。
あとはブラジル人選手たちも通訳がいないなかでも来てくれて、自分の助けが少なかった申し訳なさと感謝を伝えていたら、涙があふれてしまったというか、本当に熱いものが出てしまったという感じですね(苦笑)。
──今シーズンを振り返ると、難しいシーズンでしたか?
難しいところではありますが、僕たち指導者は与えられた環境でやっていくしかありません。若い選手が多いなかで、戦術的なことに関しても、彼らに適した落とし込み方があったかもしれない。少し上級者向けになってしまい、僕が変えなきゃいけなかったのかなとは思いました。
ただ、その基準にしないとFリーグでは絶対に戦えない。僕は細かいタイプでもあるので、伝えすぎてしまった部分もあったかもしれないのですが、このリーグでやる以上は伝えなきゃいけないと考えてきました。
そうしたことを踏まえても、シーズンを通しての選手たちの成長は非常に大きくかったと感じています。結果的に見れば、優勝できなかったですし、下位リーグに甘んじてしまいましたが、その責任は自分にあります。でも、バサジィにとって若い選手たちが成長できたことは良かった部分ではあるのかなと。
──狩野監督は選手で2年、その後コーチを務め、館山マリオ前監督から引き継ぐ流れで指揮を執りました。リリースでは任期満了に伴い「本人からの申し出により」退任とのことですが、9シーズン過ごしたクラブを離れる決断はどのようなものだったのでしょうか。
監督を3年間務めてきて、もう少し自分自身のレベルアップが必要だと感じました。指導者としてもっと上を目指すことを考えた時に、今の自分にはチャレンジする舞台が必要だと思い、チームに話をしました。ただ、離れる実感がいまだに湧いていないというか、悲しさやつらさもあります。
──選手、監督として過ごした大分はどういうクラブでしたか?
僕たちが思う「バサジィらしさ」とは、どんな時も攻守にピッチを走り回り、アグレッシブに、最後まで諦めないこと。そんなチームだと思っています。
街の人たちにも本当によくしてもらいました。温泉も何時でも入らせてもらえる環境もありました。街を歩いていると「応援しています」と言ってもらえますし、こういう見た目なので声はかけづらいと思うんですが(笑)。すごく良くしてくれた場所なので、離れるのはさびしい気持ちがあります。

第31回全日本フットサル選手権大会
<日時>3月14日(土)〜22日(日)
■試合結果<決勝>
<会場>駒沢オリンピック公園総合運動場 体育館
<決勝>3月22日(日)
13:00 バルドラール浦安 2(PK3-4)2 ペスカドーラ町田
■表彰
<優勝>ペスカドーラ町田
<準優勝>バルドラール浦安
<3位>名古屋オーシャンズ、湘南ベルマーレ
<フェアプレー賞>ペスカドーラ町田
<MVP>ビゴージ(ペスカドーラ町田)













