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作成日時:2018.06.15
更新日時:2024.03.08

「今まで味わえなかった幸福感がある」。“名古屋の星翔太”が初タイトルで遭遇した感情。

PHOTO BY本田好伸

名古屋オーシャンズに新加入した星翔太にとって、オーシャンカップ制覇は初めてのこと。クラブで獲得したタイトルでは、FUGA MEGURO時代に日本一となった2009年の全日本選手権以来となる。つまり、Fリーグ加入から初めてのタイトルだった。もはや日本を代表する選手の一人といって過言ではないが、決して“タイトル慣れ”しているわけではない。星翔太は、新天地でたどり着いた頂点に、どんな感情を抱いたのか──。



勝たなければいけない環境が幸せ

「Fリーグに入ってから最初のタイトルなので嬉しいです」

今シーズン、名古屋オーシャンズに加入した星翔太に優勝した率直な感想を聞いて少し違和感を覚えた。優勝が義務付けられている名古屋の選手たちは、カップ戦であれリーグ戦であれ、優勝の感想は「ホッとした」で統一されてきたからだ。

星自身、「新しい選手は僕だけで、タイトルを逃せば補強のせいだと思われます。なので少なからず普通の状態ではありませんでした」。名古屋にとって「タイトルは守るべきもの」。そのことは十分に理解している。しかし、それ以上に、今までのキャリアで味わえなかった幸福感があるようだ。

「今は試合も楽しめていますし、日々の練習から幸せに感じています。優勝してホッとしていますが、それよりも勝つために何をするか。そういう(勝たなければいけない)環境にいられることが幸せです」

慣れ親しんだバルドラール浦安では、長くキャプテンを務め、チームの顔でもあった。そんな星が32歳で新たな環境を求めたのは「自分自身が成長したいという思い」が大きかったという。成長への欲求が高まったのは、今年2月に行われたAFCフットサル選手権の戦いがきっかけだった。

「ケガをして代表から離れ、アジア選手権で復帰しましたが、代表のレベルと自分のレベルの差は大きいだろうなと思っていました。でもプレーしてみて、思ったよりも感覚が良かったんです」

2020年に開催予定のワールドカップを見据え「そのピッチに自分が立っていなくても、日本代表を強くするために(自分の経験を)還元できる場所はどこだろう」と考えた結果が名古屋加入の決め手だった。

現在、家族と離れ単身で挑戦を続ける。「本当は家族で一緒にいられることが良いですが、言い訳をせずに家族のため、自分のため(にあえて厳しい道を歩む)」。だがシュライカー大阪との決勝戦ではノーゴールに終わり、本調子とは程遠い。サポーターからも「翔太!ゴール取るぞ」と、発破を掛けられた。

「サポーターの声も聞こえましたし、自分でもゴールがほしい。でもそこまではまだまだ。ピヴォでのプレーも久しぶりで、まだ拾えていない(感覚が戻っていない)部分があります。それでも楽しいです」

新たな環境で喜びを手にして、まだまだ成長できる──。1年間のシーズンを終えた時、星翔太の胸には、どんな感情が生まれているだろうか。



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