更新日時:2020.01.22
【F1プレーオフ準決勝 第2戦/大分vsすみだ】決勝のキーマンは森洸&パカット。失敗に終わった大分初のダブル・フィクソはリーグ制覇への試金石?
PHOTO BY軍記ひろし
バサジィ大分にとってFリーグ2019/2020 ディビジョン1 プレーオフ準決勝 第2戦のタスクは、『王者・名古屋オーシャンズへの挑戦権を守る』こと。今シーズン、リーグ最少失点のチームにとって“2点差”を守ることは容易のはずだった──。
ほぼ完璧に試合をマネジメントしていた大分だったが、ある1つのミスで“同点”とされた。しかし、このミスこそ名古屋を倒してクラブ初となるリーグタイトルを手にするための布石となるかもしれない。
森・パカットのダブル・フィクソがオプションに
その問題の場面は、28分のプレー。前半から勢いに乗って攻め込んでいたすみだが、後半に入るとそのギアをさらに上げて大分陣内へと攻め込んでいく。大分は、小門勇太、瀧澤太将、田村龍太郎、森洸の3rdセットがピッチでプレーしていた時間帯だが、ここで伊藤雅範監督が動く。田村を下げてパカットを送り出し、森との“ダブルフィクソ”で守備の引き締めを図ったのだ。
「正直にいって、あのメンバーはやっていないセットでした。さらにパカットは言葉を喋れないので、試合のなかで違和感がある状態でした」
不安がある状態でのプレーは最悪の結果を招いてしまう。
投入されたパカットが、ガリンシャをマークするためにハーフウェイライン付近まで上がってしまう。森がポジショニングを修正しようとしたところに、大分陣内の右サイドでフリーにさせてしまった宮崎曉にロングボールが渡ると、そこからダイレクトで繋がれ、最後は後ろから走り込んだ田口元気にネットを揺らされた。
「あのゴールで会場の雰囲気が変わりましたし、勢いに呑まれそうだなと感じました。やってしまったなと」
ではあの場面で何が正解だったのか──。
「基本的に、パカットも僕も後ろ(フィクソ)の選手。でもパカットはピヴォに対して強い選手なので、僕がラインを上げてバランスをとることを求められていたはず」
ある程度、頭の中に完成形があっただけに悔やまれる失点。それでも以降は崩れることなく大分は“2点差”を守り切って、目標としていた名古屋への挑戦権を獲得した。だからこそ言えるのかもしれないが、この“失敗”こそが名古屋戦で生きてくる。
リーグ最多得点である名古屋を相手にすれば、すみだ戦以上に押し込まれる展開が増える。ヴァルチーニョ、ぺピータ、ラファらワールドクラスのアタッカーや星翔太、吉川智貴、西谷良介といった日本代表選手が同時にピッチに立つなど、相手はどこからでも点を奪えるチームだ。
そんな時にきっと森とパカットの“ダブル・フィクソ”が、起用される場面は出てくるだろう。「個人的には、あのセットでもっとやれることがあったと感じています」の言葉が示すように、すみだ戦で課題が出たことはポジティブなことだ。決戦まで日数はわずかだが、その期間でどこまで詰められるか。
「今度は僕らがチャレンジャー。課題を修正して、すみだ戦の勢いを次でも発揮できればチャンスはある。楽しんでしっかり勝ちたいと思います」
大分の新たなオプションが、初のリーグ制覇に導く。
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