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「日本の大正時代に、今行ける」。立川・府中の副理事・中村恭平さんが“謎の国”トルクメニスタンの魅力を伝える。

PHOTO BY軍記ひろし

あらゆる民族と文化が混ざり合う場所

──ではトルクメニスタンの生活のことを教えてください。ネット環境はどうでしょうか?

ネット環境は非常に悪いですね。ホテルなどは、遅いですがつながっています。政府によってブロックされているところがあるようです。SNSの使用にはVPNが必要ですね。現地の人とは今でもLINEでやりとりするので使えるはずですが、facebookは使えないと思います。いや、でも最近、現地の人からメッセージをもらうので、もしかしたら使えるのかも。海外に出た際に使用しているだけかもしれないですが……。僕がいたのは2017年までなので、あくまで2年前の状況だということはご理解ください。YouTubeは見れないですね。当時の連絡手段は、メールかLINEでした。Twitterも難しいかもしれないです。

──SIMはどうでしょう?

僕はSIMフリーを入れて使っていましたね。ものすごい遅いのですが……。

──大会が行われるオリンピック村周辺の環境はいかがでしょうか?

すごく整備されています。もともと国際大会の開催はありえないと言われていた国で、2017年当時は、オリンピック村から出るための規制もありました。2時間以内に戻らないといけなかったりして。

──周辺には何かありますか?

すぐ近くに、国内最大級のショッピングモール『Berkarar(ベルカラール)』がありますね。飲食店やショッピングもできます。日本で言えば三越デパートみたいなものでしょうか。

──移動はタクシーが一般的ですか?

そうですね。ホテルなどにはオフィシャルのタクシーもありますが、ほとんどが白タク(自家用車で営業している無許可タクシー)。道で下に向けた2本指を振ると、すぐに止まってくれます。やってはいけないジェスチャーなどはない安全な国ですし、言葉は通じなくても、写真や地図で行きたい場所を示すと連れて行ってくれます。ぼったくることもほとんどなくて、だいたい定価が決まっています。現地通貨の5〜10マナト(1マナト=31円程度/1月25日現在)。その白タクの向かっている方向と違うと断られます。

──では、出歩く分には何も不便はないということですね。

そこは本当に自由だと思います。いたるところに警察が立っていますが、それは逆に言えば、ものすごく安全だということ。夜に女性が一人で歩いても大丈夫。写真撮影や動画も、基本的には問題ありません。大統領がいる場所や政府関係施設などはNGですが、最初は注意をされるだけ。いきなり連行されることはないです。

──日本円を現地で両替することは難しいんですよね?

そうですね。ドルが流通しているので、ドルを持っていれば両替できます。物価は、日本の1/5から1/3くらい。両替は空港かホテルがいいと思います。ただ、空港でドルチェンジを持ちかけてくる人には要注意です。一般的なレートの数倍を提示してくるのですが、そもそもそれは違法行為です。警察のオトリの場合もありますから気をつけてください。クレジットカードはレストランなどでは、使える店も数多くありますね。

──現地の言葉を教えてほしいのですが、これだけは覚えておくといいというものはありますか?

何よりも「インシュアラー」ですね。これはイスラム教全般に通じる「すべては神の思し召し」という意味で、最強の言葉です(笑)。失敗しても、これを言えば許してもらえます。

──すごいですね……。では「ありがとう」は?

「Sag bolun(サグボール)」です、「こんにちは」は「Salam(サラム)」ですね。ロシア語を話せる人が多いので、「ハラショー(素晴らしい!)」とかも使えますし、通訳機の「ポケトーク」などがあると、会話がかなりできると思います。英語が通じるのは10人に1人くらいですね。ただ、子どもに日本語が通じることがけっこうあります。トルクメニスタンでは、子どもの1/3が日本語、1/3が中国語、1/3が英語を勉強しているんです。子どもに話しかけてみるといいかもしれません。

──なるほど。では、気候はどうですか?

すごく乾燥するので、対策した方がいいかもしれません。日本と同じような気温ですが、朝方はかなり寒い。冬に雪が降って、積もった水が溶けて利用されるので、あまり水がない。飲料水は問題ないですが、水道水は飲まない方がいいかもしれないですね。僕も料理なども影響していますが、最初は下痢をしました。

──トルクメニスタン料理はいかがでしょうか?

多くはマトン(羊)料理ですが、僕は一生分は食べたので飽きました(苦笑)。マトンを串焼きする「シャシリク」は美味しいですね。あと、肉と野菜を巻いて食べる「ドネル」。トルコのドネル・ケバブですね。イスラム教なので基本的に豚肉は出ないですが、ロシア系も多いのでエリアによっては提供しているお店もあります。それと、個人的なオススメは「チョロ」というパン。日本円で40円くらいですね。焼きたての普通のパンなのですが、何もつけないでそのまま美味しく食べられます。滞在するなら、トルコ料理が安定感ありますし、いいですね。牛肉のステーキ屋などもあります。辛いものはあまりありません。

──日本料理も恋しくなると思いますが、恭平さんはどんなものを持って行ったのでしょうか?

バックいっぱいに納豆を持って行きましたよ(笑)。入国でこれはなんだ、ダメだって言うので、その場でかき混ぜて匂いを嗅がせたら、「もういい、いけ」と(笑)。イミグレーション(出入国管理)では、中身をすべて開けて見られると思っていた方がいいですね。時間もかかりますし、没収される場合もあります。禁煙国家なのでタバコもダメです。お酒を持ち込むことは可能ですが、飲めるのはホテルや指定のレストランです。

──オススメのお土産はありますか?

マトリョーシカとか? 絨毯もすごくいいですが、高いですね。ペルシャ絨毯。持ち出すには許可証がいるので、空港などで購入するのがいいと思います。それと、宝石が安いです。きちんと整った石ではないもので、民族衣装に合うようなゴツいものが、3000円くらい。女性へのお土産に喜ばれると思います。

──恭平さんのお話をうかがって、トルクメニスタンに早く行ってみたくなりました。

どこでも味わえないような、いい国だと思います。僕自身、有名な「地獄の門」や観光地にはほとんど行けませんでした。でも、「モスク」など世界的な遺産はたくさんありますし、そういったものが好きな人は興味深く訪れることができるでしょうね。入国までは大変ですが、入ってからは犯罪もなく安全で、生活も安定していて、大統領を崇拝していて、みんながいい人。夜の公園では、若いカップルが、すごく健全に語り合っていますからね(笑)。街並みもLEDでライトアップされていて、アゼルバイジャンのようにきれいです。

──トルクメニスタンに行くなら、アジア選手権が開催される今しかないですね!

この先、また10年したらどんどん近代化してしまうと思います。その意味で「日本の大正時代に、今行ける」。そういう感覚です。人は優しく、人情味があり、街並みもきれい。シルクロードのど真ん中で、あらゆる民族と文化が交ざり合い、今もきちんと残っている。どこでも手軽に行けるようになった現代で、食べたことがないもの、見たことがないものに触れられる機会は、そうあるものじゃない。トルクメニスタンには、それがある。そんな国は、世界のどこにもないですよ。ぜひ行ってみてください。

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