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作成日時:2020.01.26
更新日時:2020.01.26

【ライター・福田の視点】リーグ最少失点チーム・バサジィ大分の真骨頂。第1戦で見せた水際の「超連動」が勝敗を分ける!

PHOTO BY軍記ひろし

25日に行われたFリーグ2019/2020プレーオフ決勝 第1戦。バサジィ大分は名古屋オーシャンズに先制を許しながらも2度に渡り追い付き、2-2の引き分けに持ち込んだ。

今シーズンはリーグ最少の59失点。現行の33試合制になって以降の歴代最少タイ記録を残した守備陣は、絶対王者・名古屋の圧力に屈することなく、互角の戦いを演じてみせた。

名古屋の猛攻を食い止めた超連動ディフェンス

堅守はやはり本物だった。プレーオフ決勝第1戦は、大分が今シーズン積み重ねてきた粘り強いディフェンス力をいかんなく発揮した一戦となった。

大分にとって、試合の入り自体は最悪だった。開始わずか20秒で名古屋・ペピータに先制ゴールを許してしまったのだ。その流れを引きずってしまえば、点差が離れてしまってもおかしくなかっただろう。

だが、彼らは崩れなかった。2つの失点シーン以外にも決定的なピンチは何度もあったが、たとえ陣形を崩されていたとしても、彼らは最後のところでギリギリ持ちこたえていた。特にシュート際での連動した対応は、「これぞ最少失点のチーム!」と称賛されるべきプレーの連続だった。

具体例を挙げていこう。

象徴的だったのは、前半17分の名古屋・ヴァルチーニョのシュートの場面だ。ミドルレンジからダイレクトの強烈なシュートがゴール右上を襲ったが、ゴレイロ岩永汰紀が素晴らしい反応で弾き出してみせた。パッと見では岩永のスーパーセーブに見えるシーンだが、ここでポイントになったのは岩永のセーブのコンマ数秒前、大分のピヴォ・小門勇太のプレーだ。ボールがヴァルチーニョの前にこぼれた瞬間、小門はすぐさま体を投げ出し、下のシュートコースを完全に消していたのだ。

プレーオフ決勝 第1戦ハイライト(AbemaTV)
(ハイライト動画1:23付近)

その動きはスライディングというよりは、“寝そべる”といった方がより適当かもしれない。「普通に寄せに行ったら間に合わない」と察知した小門は瞬時にピッチに寝そべり、下のコースを消していたのだ。

これにより、グラウンダーのシュートが飛んでくる可能性は消えた。そこで岩永はほんの少し腰を高くし、腰高から上のシュートだけに狙いを絞ることができた。

「あの場面は(小門が)滑ってくれたことでブラインドにもならずボールも見やすかったですし、今日は1試合を通してみんなしっかりボールホルダーに寄せに行けていたと思います。FPが限定してくれていたので自分としても守りやすかったです」(岩永)

似たようなプレーは、後半も続いた。後半開始直後の1分、ヴィトンのパスをインターセプトしたペピータがこれまた強烈なシュートを見舞ったが、ここではすぐに切り替えたヴィトンがやはりスライディングで下を消し、逆側からも白方が腰を落としながらコースに入り、二人でコースを限定。これを見たペピータは前半のヴァルチーニョ同様やはり上を狙うしかなく、待ってましたとばかりに岩永が鋭い反応で弾き出した。

プレーオフ決勝 第1戦ハイライト(AbemaTV)
(ハイライト動画1:37付近)

言うまでもないが、名古屋のブラジル人たちのシュートは強烈だ。今シーズン43ゴールのヴァルチーニョ(リーグ1位)、37ゴールのペピータ(リーグ2位)らのシュートスピード・精度・キレは日本人選手の比ではなく、第2PKマーク(ゴールから10メートル)より遠めであっても十分射程圏内だ。いくら岩永の反応が素晴らしいとはいえ、コースを限定できずに打たせてしまえば、高い確率で失点してしまっていただろう。

だが、大分はどんなに押し込まれようと、守備ブロックを崩されようと、最後の最後、名古屋のシュートの際には必ず複数の選手が体を投げ出していた。

もちろん、ただ単にスライディングしに行ったのでは簡単に交わされてしまう。ギリギリまで我慢してシュートコースを狭め、それでも打たれてしまう瞬間にはDFが決死のブロックを敢行。切りきれなかった残りのコースを岩永がしっかり止める。この連携が崩れる場面は1試合を通じてほとんど見られなかった。

わずか数センチのポジションのズレや一瞬の判断の遅れが即失点に繋がる正真正銘のトップレベルの攻防の中で、大分の選手たちは集中を切らすことなく、コンマ数秒の中での超連動を繰り返した。崩されたとしても、ゴレイロとFPが連携して水際で食い止める。様式美にも近いその精緻な連動性と、個々人の尋常ならざるボールへの執着心は、今シーズンの大分が徹底的に磨き上げてきたこのチームの真骨頂だ。

26日、14:30から行われるプレーオフ決勝第2戦。名古屋の攻撃陣は、第1戦以上に猛烈な勢いで大分ゴールに襲い掛かってくるだろう。大分がシーズンを通じて徹底してきた「超連動ディフェンス」はそれをどこまで食い止めることができるのか。

今日の勝敗を占う重要なポイントになることは間違いない。

 

1月25日(土)14:30〜 AbemaTVハイライト
<プレーオフ決勝 第1戦>

名古屋オーシャンズ 2-2 バサジィ大分

1月26日(日)14:30〜 AbemaTV試聴予約
<プレーオフ決勝 第2戦>
名古屋オーシャンズ vs バサジィ大分

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