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父親は元セレソンの名将。それでもアルトゥールが、日本人としてW杯を戦う理由|ブルーノジャパンの肖像

PHOTO BY高橋学

日本人はブラジル人のようにはなれない

──今までの経験を踏まえて教えてほしいのですが、日本の選手たちはどうすればアルトゥール選手のような選手になれますか?

ブラジルと日本で文化の違いが激しすぎるので難しいと思います。前提として理解してほしいのですが、ブラジルと日本は国柄がそれぞれ違うので、過ごしてきた環境によってその人の性格、価値観も変わってくると思っています。

──ブラジルと日本、両方で過ごしてきてどのような違いを感じていますか?

まず経済状況が大きく異なります。日本は貧富の差が少なく、経済的に安定しているので子どもはちゃんと学校に通えます。豊かな生活を送ることができますし、どの職業に就きたいかを自由に選択できる。逆にブラジルは貧富の差が激しく、ちゃんと教育を受けられないケースもあれば親が子どもを育てられないくらい貧しい家庭もある。言葉は悪いですが、ドラッグに溺れてしまったり虐待を受けてしまったりすることで悪い道へ進んでしまう子もいれば、「自分が大きくなったらサッカー選手、フットサル選手になって家族を養いたい」とその環境をバネにする子もいる。プロとして活躍することが家族も含めてその環境から抜け出すための手段にもなるので、サッカーやフットサルが自分が生きていくための唯一の選択肢になっているということも珍しくありません。そういった強烈なハングリー精神の部分がそもそも違いますよね。

──日本では考えられない状況ですね……。

そういった背景の違いは人の価値観にも現れます。このギャップは会話ではすべて伝わらないと思いますし、解決できるものでもない。日本は島国ですが国同士の交流を深めて「こういう世界観もある」と知っておく必要がある思っています。私自身、日本に来ていろいろなことを学べましたし、日本人に帰化してより分かったこともああります。

2つの国の世界観を知る者としてお互いの考え方を伝え、より理解を深められるように発信したいと思っています。「自分はスポーツをして食べていきたい」という信念がどれだけ強いか。(ブラジル人のような精神を持つことは)そもそものマインドを変えることになりますし、何年もかかることだと思いますから、とても複雑なことだと思います。

日本は世界ナンバーワンの「個」と対等に戦える

──改めて、W杯へ向けた意気込みはいかがでしょうか。

まだ(最終メンバー発表はされていないので)日本代表に選ばれる権利を得ただけで、W杯の出場はブルーノ・ガルシア監督をはじめ周りの人の評価で決まります。自分が「W杯に出たい」と言って必ず出られるものではないので「今」を大事にたい。ゲームでいいパフォーマンスを発揮するためにも、日々のトレーニングから高いレベルでこなしたいですね。それでもしメンバーに選ばれたらこの国に恩返しをするために、日本人として“1000%”の力を発揮できるようにしたいです。

──W杯ではブラジル代表と戦う可能性もゼロではありません。

それも考えたことはあります。母国ブラジルと対戦することになれば、さまざまな感情が溢れてくると思います。ブラジルは世界各国のトップレベルのクラブに選手を輩出していますし、世界でナンバーワンの「個」を持つ国です。ですが今の日本代表も、歴代でもっとも強いと感じていますから、対等に戦えるはず。「チャレンジャー」としての気持ちを忘れずに立ち向かうことが重要ですね。自分は世界でも戦っていける自信がありますが、実際に戦うことで自分が今どこに立っているのかがわかると思います。

──ありがとうございました。W杯での活躍、楽しみにしています。

はい。W杯がすごく楽しみですね。

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