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2021.12.09

【日本代表/WEB取材】新たな強化フェーズを迎える新生・木暮ジャパン「短い時間軸で最高のパフォーマンスを示すことが必要」

PHOTO BYJFA

日本サッカー協会(JFA)は9日、今月13日から15日にかけて高円宮記念JFA夢フィールドで行なわれるフットサル日本代表候補トレーニングキャンプのメンバーを発表した。

5年間にわたり日本代表を率いたブルーノ・ガルシア前監督の退任を受けて、後を引き継いだ木暮賢一郎監督。新体制となって初のトレーニングキャンプに向けたオンライン会見では「代表の強化方法は新たなフェーズに入った」と語る。

これまでのような「選手を具体的に知る」、「代表のコンセプトを伝える」、「モデルを理解する」ようなアプローチではなく、より実戦を意識して「短い時間軸の中で、代表としての最高のパフォーマンスを示す」ことが必要だとの考えを示した。

そのほか、オンライン会見では、今回のメンバー構成の意図や初招集となったクレパウジ・ヴィニシウスへの期待を語っている。

フットサルの価値を上げていく

木暮賢一郎監督(フットサル日本代表)

W杯終了後の新体制を迎え、年内のうちに3日間の活動を行なうことができて感謝しています。リーグ、各クラブ、選手が協力してくれているからこその活動だと思っています。この喜びと感謝を伝えたいなと思います。

今回の活動に関しては、大きく2つあります。1つ目は新体制のもと、継続していくものに加えて新しい価値観や新しいコンセプトをしっかり共有していくこと。もう1つは、新しい活動におけるダイナミズムというものを理解していくことが狙いとなっています。

私が現役のときから、10年以上にわたって月に1回は代表活動が行なわれてきました。今回のように3日間の合宿を繰り返しながら強化していくスパンが続いています。それによって強化が進んだのは間違いなく、選手としてコーチングスタッフとして実感してきました。

しかし、強化方法は新しいフェーズになると思っています。それは、短いスパンでパッと集まって、どの国にも対抗できるような強化方針が必要になってくるということ。これはフットサルだけでなく、サッカーの日本代表も同じだと思います。

この3日間は、選手を具体的に知る、代表のコンセプトを伝える、モデルを理解するということに重点を置くよりも、(本番を想定して)週末のリーグ戦を終えて月曜日にリカバリーをして、火曜日からの短い時間で、対戦相手の分析をして試合に臨む。最終日には紅白戦を予定しています。

選手、新たなコーチングスタッフに理解してもらいたいのは、水曜日にゲームをするということ。その相手はブラジルかもしれないし、イランかもしれない。短い時間軸の中で、代表としての最高のパフォーマンスを示す必要があります。

これから始まっていくものに対する適応していく。そこが狙いになっています。

──どのような意図でこういった今回のメンバーを決めたのか?

前提として、通常は次のW杯に向けて4年の準備期間があります。しかし今回は、すでに3年を切っている状況でプランを立てる必要があります。実際には長期というよりも中期に近いプランニングになると思っています。

そのなかで逆算をして、さらに短期、中期、長期という観点でどう強化をしていくか。われわれがまずターゲットにすべきものは、2022年に行なわれるAFCフットサル選手権と、それに進出するための東アジア予選の2つの大会です。

2024年のW杯という大きな目標があります。ただ、今年行なわれたW杯はアジア選手権が中止になったことで、一つ前の大会の結果が反映されて、予選を戦うことなく出場しました。

この先何が起こるかわからないなかで、22年大会は最高の結果を求める必要があると感じています。もう1年を切っているなかで、まずは東アジア予選というものを勝ち抜かなければいけません。

具体的な大会に対する結果へのアプローチ。そして世代交代については、意図的にするつもりはないですが、新しい選手たちを24年に向けて起用していく必要はあると思っています。

そういう意味では、24年のW杯に向けた長期計画へのプロセスと、目の前の大会でも結果を出していく。この2つを同時進行で行なっていくを大きなプランニングの一環として考えています。その結果、こういったメンバー構成になっています。

今回は平均年齢は24.47歳くらいです。Fリーグが開幕して以降、日本のフットサルは育成にも力を入れてきました。その大きなトピックとしてFリーグ選抜、アンダーの日本代表の活動があります。この2つは、長い期間をかけてフットサル界全体として取り組んできました。

私は最初のFリーグ選抜で監督を務めています。そしてU-20でも監督、コーチという立場で関わっています。

今回のメンバーではFリーグ選抜を経験している選手が6名。世代別日本代表を経験している選手が10名。重複している選手もいますが、かなりの割合を占めています。リーグ、協会、クラブという日本フットサル全体が、育成としてタネを蒔いてきたと思っています。

その蒔いたタネを刈り取るタイミングが、私が監督に就任したタイミングと重なっているのかなと感じています。日本フットサル界全体として取り組んできた一つの成果というものを発揮していく。そういったメンバー構成になっています。

ただ先ほども話したように、代表チームとしては結果というものが求められますし、A代表は育成をメインにしている場所ではないということは十分理解しています。代表チームで育成をしようということではなく、長期のプランの中から逆算し、22年に向けた最初の活動としては、このようなメンバーが最適だと思っています。

掘り下げれば細かいところはたくさんありますけど、大枠としてはそういった意図を持ってこのメンバーを選出しています。

──代表選手の顔ぶれもかなり変わったが、選手たちにはまずどんな声をかけたいか?

日本代表というものは、過去から継続しているものです。今のメンバーは、これから未来に向かっていく時間軸を意識してほしいと思っています。日本代表のアイデンティティをピッチの中だけでなく、特にピッチ外でも表現してもらいたい。

われわれが一番に掲げているのは「フットサルの価値を上げていく」ということ。フットサル日本代表としてやれることは、結果だけではなく、フットサル界の先頭に立って価値を上げていくことです。

そういったものを全選手共有して進んでいきたい。戦術的な話よりも、日本代表としてのアイデンティティ、向かう方向性、価値観というものを共有する話をしたいと思っています。

──今まで、メンバー発表の際はGKとFPの2つで発表していました。今回、細かいポジションごとでの発表になったのは木暮監督の意向?

そうです。私がそういう形で発表できないかということを協会の方に相談させていただいて、理解していただきました。

意図としては「この選手がどういう役割を代表で求められているか」ということを、メディアの皆さんに理解してもらうことで、代表を見る視点が広がると思います。ファンの方や代表活動に興味のある方もポジション表記をされることで、具体的なイメージが湧きます。

当然、選ばれる選手が「監督はこういうことを考えているんだろうな」、「こういう要求があるんじゃないだろうか」、「こういうタスクがあるんじゃないか」というイメージをできるんじゃないかという狙いもあって今回の形で発表しました。

──ブルーノ前監督は、トレーニングキャンプを何度も繰り返しチームを作り上げて試合に臨んでいた。今回のように試合を主体とした強化は、ブルーノ前監督のときと比べて大きく変わった点のように感じるが?

代表チームでありながら、クラブチームのようなモデルを共有することのメリットを感じています。具体的には、今まで以上に成果を出すために、より自立した選手たちが必要だと思っています。

自分が思う代表監督として肝になる部分は、選手をセレクトすること。じゃあどういう選手をセレクトするかというと、日々活動しているクラブでの取り組みを見ています。その取り組みが現れるのは、毎週末のリーグ戦でのパフォーマンスです。

リーグ戦の中でハイ・パフォーマンスを発揮している選手を見ています。また、ポジションごとの競争、次の対戦相手、戦略によってどういうタイプの選手が必要かは変わります。普段のリーグ戦においては、各クラブでどういうシステムの下でプレーをしているのか。

例えばセットプレーでいうと、そのも守り方もFリーグの1部において何パーセントのチームがゾーンディフェンスで守っているのか、マンツーマンディフェンスで守っているのか。その戦い方は、われわれの次の対戦相手、次の大会において有効なのか。

すべての面に置いて、最終的に戦う選手をセレクトするということが、私のやるべきことの大部分を占めていると思っています。

招集した選手を正しく評価して、新しい選手を起用して、競走しながら然るべき大会のリストをつくる。トレーニングでの理解、キャンプでのパフォーマンスの良さ以上に、実際の試合でどれだけ早くハイ・パフォーマンスを発揮できるのかが大事です。

選手たちはそのダイナミズムを理解して、普段クラブで示してくれているパフォーマンスを、代表でも発揮してもらう。それができる選手を最終的にはセレクトしていく。

その指標を測る上で、常に競争のなかで、さまざまな異なる対戦相手とゲームを重ねていく。そして最終的に14名の大会出場メンバーの座を勝ち取る。多くの時間をクラブで過ごすので、そのなかで選手自身が常に向上心を持って取り組んでいってほしい。そういうところから発想を変えたと感じてもらえればいいなと思います。

──若い選手が多く招集されているなか、34歳のクレパウジ・ヴィニシウス選手が初選出となった。素晴らしい実力を持った選手だがこのタイミングでの選出は意外に感じたが?

プランニングに紐づいています。短期、中期、長期というそれぞれのフェーズにおいて、プランニングを見誤ることなく、パーフェクトに進めていく必要があります。W杯まで3年しかないなかで、すべての活動においてパーフェクトに進めていきたい。

具体的にどう進めていくかというのは大会ありきで、いくら若い選手が多いからといって負けてもいいということはありません。どうやって勝ち点を取るのか。どうやってゴールを奪うか。どういう選手構成で最初の東アジア選手権を勝ち抜くかを考えなけばいけません。

そうした試合を想定した時に、苦しむ部分はゴール。彼はこれまで多くのゴールを積み重ねてきました。試合のなかでセットプレーやパワープレーなど様々なシチュエーションに対応できます。ただし、彼だけでなく選手一人ひとりの特徴を踏まえて選んでいます。組み合わせのなかで彼が挙がったということです。

もう1つ、選考の背景で言い忘れたところがあります。今回のメンバー以外にも多くの選手がリストに挙がっていました。具体的な名前は挙げせんが、現時点でケガをしていて招集が不可能な選手も複数名いました。ポジションや利き足を含めて、いろいろな可能性を検討したなかでの今回のメンバーです。

──今までは名古屋オーシャンズの選手がメンバーの多くを占めていた。しかし今回はかなり少なくなった理由は? また、ヴィニシウス選手以外の初選出された選手については?

私自身も名古屋でプレーしていたので、なぜ名古屋の選手が代表チームに多いかという理由は身を持って感じています。

これは名古屋の選手が少な理由ではないですが、今回の招集は私からのメッセージです。一度代表に足を踏み入れるということは、日本代表の価値観、代表がどういう存在なのかを理解し始める最初の一歩です。そこから試合を重ね、代表の重み、そこにいる理由などをどんどん理解していきます。

なので、「代表に呼ばれなかったからもう次はないのかな」と思う気持ちもわかりますが、私が思う代表選手の理想像というのは、呼ばれても外れても常に代表に選出されるための準備をして、呼ばれたときに最高のパフォーマンスをすること。そういう心構えを持った選手たちが国内リーグにたくさんいることが、代表を強くする一つの理由だと感じています。

そういう意味で、名古屋の選手だけでなく、ここに入っていない選手にも当然チャンスはあります。ただ、先ほど言った代表選手としての心構えが何よりも重要です。それはリーグを視察していれば表情から伝わる。私はそういうものを敏感に読み取ります。

「どこのチームからが少ないから」とか「(代表を)経験している選手が少ないから」ということは、選手を選ぶ上で私にとっては気にならないことです。

例えば今回は左利きの選手を5人選んでいます。左利きの選手は、私のプランニングや日本が進むべき道において必要になってくるポジションです。割合としては過去最多だと思います。

また、ALA/FIXOという表記をしているのは、特に若くてゲームをコントロールできるフィクソは、経験を積みながらどういう選手が生き残っていけるかを見なければいけない。そういう視点も持っています。逆に、実力があってここにいない選手もいますが、それは力を十分にわかっているから。

ただそういう選手でも、代表選手としてふさわしい姿勢を見せ続ける必要がありますし、結果を出し続ける必要があると思っています。名古屋の選手が少ない背景としては、代表経験がある選手がたくさんいますし、彼らの実績や強さの秘密は私自身がよく理解しています。そういった背景から結果的に少なくなったのかなと。

新しい選手に関して言うと、純粋にリーグでのパフォーマンスが高いからです。具体的に、牧野謙心であれば数節前まで首位にいた湘南ベルマーレでプレーしています。名古屋より前を走ることがどれだけ大変かということは選手、監督の経験から十分理解しています。

最初の5試合で前を走るのではなくて、長いスパン前を走るためには勝ち続けなければいけない。そのプレッシャーを体感するという意味では、日本にとって、チームにとって、リーグの構図として非常に重要だと思っています。

そういったチームのなかで19歳という年齢でコンスタントにプレーしているということは、クオリティだけでなく、かかるプレッシャーや積み重ねる経験値をしっかりと評価しています。そうした視点を持って選出しています。

あとは堤優太もケガから回復して試合に出ていますが、私がコーチをやっていたときからリストにあった選手ですし、移籍をしてから、特にシーズン序盤のチームの躍進を支えました。そして左利きであるとか、選手としての調子の良さをリーグで十分示してくれているという評価でした。他の選手に関してもそういう理由で選んでいます。

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