更新日時:2022.01.28
【ブラインドサッカー】4得点・0失点。完璧な試合運びでfree bird mejirodaiが初のブラサカ日本一に!
PHOTO BY日本ブラインドサッカー協会/鰐部春雄
ブラインドサッカーの頂点を決める戦い、「第19回アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権」決勝戦のカードは、free bird mejirodai vs buen cambio yokohamaとなった。どちらが勝っても初優勝となるこの対戦は、4-0でfree bird mejirodaiが勝利。前回大会の決勝で負けた悔しさを晴らし、悲願の初優勝を果たした。
■buen cambio yokohama vs free bird mejirodai(決勝ラウンド)
初優勝をかけた一戦が幕を開ける
1月22日、快晴の東京フットボールセンター八王子藤森競技場。「第19回アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権」の決勝戦に進出したのはbuen cambio yokohamaとfree bird mejirodaiの2チームだ。
初優勝を目指す両チームの先発選手10名とガイド2名、審判団が入場し、ピッチに整列する。そして、場内アナウンスでメンバー紹介が行なわれる。
「トータルフットボール」、4人全員で攻め、4人全員で守ることがチームコンセプトのfree birdの先発メンバーは、GK泉健也、FP丹羽海斗、永盛楓人、園部優月、鳥居健人、GUは金子苗菜乃。
対する圧倒的なフィジカルと個人技がチームの特徴であるbuen cambioの先発メンバーは、GK和知舜哉、FP近藤凌也、齊藤悠希、和田一文、中村駿介、GUに曽根純雄となった。
その後、国家黙唱。君が代を心の中で唄い、試合へ向けて気持ちが高まっていく。ブラインドサッカーの頂点を目指した40分がキックオフされた。
エース・鳥居健人の技あり2ゴール
この試合、ファーストシュートを放ったのはbuen cambioのキャプテン齊藤だった。キックオフからそのままドリブルで右サイドを持ち上がり、自らシュートを放ったが、これは枠の外に外れる。
その後は、free birdのFP4人がコンパクトになって全員で奪うディフェンスでbuen cambioの攻撃を凌いでいく。時より、齊藤が個の力を生かして何本かシュートを放つがゴールとはならず。
すると先制したのはfree birdだった。前半4分、エースの鳥居が右サイドでボールを受けると、得意の足に吸い付くドリブルで中に切れ込んで左サイドまでボールを運ぶと、左足で強烈なシュートを突き刺した。
先制して勢いに乗るfree birdは5分に、またもや右サイドでボールを受けた鳥居が、今度はそのまま縦に突破し右足でゴールを決めて早くもこの日2点目を挙げる。鳥居の個人技が光る連続ゴールでfree birdがリードを2点に広げた。
流れを断ち切りたいbuen cambioは、2失点目の直後にタイムアウトをとり、チームを一度落ち着かせる。しかし、タイムアウト明けも先にシュートを放ったのはfree birdだった。鳥居が右サイドからシュートを放ったが、ここはyokohamaのGK和知がファインセーブで防ぎ、これ以上の失点は許さない。
なかなか得点を奪えずにいたbuen cambioは7分に、16番和田に変えて、8番鎌野暁斗を投入する。まずは、シュートまで持っていきたいbuen cambioだったが、free birdの激しいディフェンスの前にシュートを打たせてもらえない。
一方、鳥居の2ゴール後、なかなか追加点を奪えずにいたfree birdは、15分にタイムアウトをとる。すると18分に、相手GKからのスローをカットした丹羽が右サイドをドリブルで持ち上がると、中に切れ込んでゴール中央から右足でゴールネットを揺らし、3点目を挙げた。
さらに畳み掛けるfree birdは19分に、左サイドでボールを受けた東京パラリンピック日本代表の園部が中に切れ込んでから右足で強烈なシュートを放つと、これが決まって4点目を奪う。
このゴールの直後にbuen cambioはGKを和知舜哉から姉の和知梨衣菜に交代する。和知舜哉は交代後、悔しさからその場に倒れこみ、泣き崩れた。
前半終了間際、フリーキックから齊藤がシュートを放つも枠に飛ばすことができない。このまま前半が終了。4-0でfree birdがリードして折り返す。
一進一退の攻防が続く後半
後半スタート時にbuen cambioは、鎌野に変えて和田を再びピッチへ送り出した。後半開始早々から、齊藤にボールを集めてゴールを狙いにいくが、free birdが素早く4人で囲んでディフェンスし、自由を与えない。free birdは、時よりGKへのバックパスも使いながら丁寧にボールを繋いでいく。
後半最初の決定機は24分、鳥居が右サイドからシュートを放つが、これはポストに当たってゴールならず。25分には、buen cambioの齊藤が強烈なシュートを打ったがこれはGKの正面を突いた。
その直後にアクシデントが発生。鳥居が接触で倒れこんでしまい、一度は立ち上がるも足の痛みから交代を余儀なくされる。変わって15番の17歳北郷宗大がピッチへ。free birdはエースを欠いて残り時間を戦うことになった。
27分に、永盛が左サイドからシュートを放つが、ここはGKの和知が好セーブ。29分には、buen cambioの近藤が決定的な場面を迎えたが、シュートを枠に飛ばすことができず。一進一退の攻防が続くが、スコアは動かない。31分には、丹羽に変わって鳥居がピッチに戻ってくるが、その後のタイムアウト時に再び丹羽と交代する。
試合終盤、ピッチ上ではfree birdの攻撃が終わると、GK泉から「撤退!ダイヤモンド!」と言う声が響き、疲労のたまる時間帯でもあるが素早く守備陣形を整える。
懸命にゴールを目指したbuen cambioだったが、free birdの徹底したディフェンスを最後まで崩すことができず、4-0で試合終了。試合終了と同時にキャプテンの園部は喜びを爆発させ、雄叫びをあげた。
1-7の大敗を糧にfree birdが戴冠
free birdは、前回大会の決勝で1-7というスコアで大敗していた。その悔しさを持ち続け、今大会でリベンジするためにこれまで厳しいトレーニングに励んできたのだ。その雪辱を晴らし、悲願の初優勝を果たした。
一方、負けたbuen cambioだったが、キャプテンの齊藤を中心に拍手で優勝チームを讃えた。スポーツの素晴らしさが伺えたワンシーンだ。
大会MVPに輝いた鳥居健人は「前回大会で非常に悔しい負け方をして、そこから気合を入れ直して、チーム一丸となって戦ってきて、優勝という形で終えることができてすごく嬉しい気持ちです」とコメント。
また、ベストGKに選ばれた日本代表でもある泉健也は「新しい1年を優勝という形でスタートしようということを合言葉に、チーム一丸となって、どういうサッカーをしていくかということを選手同士で合わせていった結果が、今日の4-0という結果に結びついたのかなと思います」と語った。
free birdの初優勝によって幕を閉じた今大会。ブラインドサッカーの歴史に新たな1ページが刻まれた。これまで歴史を刻んできた「アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権」。迎える記念すべき第20回大会がどんな大会になるのか、今後もブラインドサッカーから目が離せない。
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