更新日時:2023.02.19
プレーオフ決勝の大舞台で仕掛けた巧妙な罠。「珍しく冷静だった」平田マサの“半歩”先をいく頭脳プレー
PHOTO BY高橋学
Fリーグ2022-2023 ディビジョン1 プレーオフ決勝・第1戦は、至高の駆け引きの詰まったゴラッソで幕を開けた。「珍しく冷静でしたね」と語る名古屋オーシャンズの平田ネトアントニオマサノリが、貴重な先制弾につながる伏線を明かした。
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プレーオフ決勝の舞台で仕掛けた“網”。頭脳プレーが生んだ貴重な先制点
年間優勝を決めるプレーオフ決勝の第1戦は、立ち上がりから王者・名古屋が主導権を握った。しかし、堅守を武器にここまで勝ち上がってきた立川のゴールをこじ開けられずに時間が経過。重苦しい雰囲気が漂い始めていた。
そんな嫌な流れを一蹴したのが、平田マサのゴラッソだった。
6分、左サイドの低い位置でボールを触った平田は、アンドレシートに預けてそのまま斜め前方に動き直す。そこからボールは吉川智貴、オリヴェイラ・アルトゥールと繋がって、再び平田の下へ。寄せてくる皆本晃の動きを読み切った平田は、相手が触れようとする直前に素早くターン。これで半歩相手より前に出ると、左手のブロッキングをうまく使いながら右足で豪快に蹴り込んだ。
名手・黒本ギレルメの反応が遅れるほどの強烈な一撃は圧巻だった。しかしそれ以上に、平田が仕掛けた“駆け引き”こそ評価されるべきものだ。
平田といえば強靭なフィジカルを生かしたキープ力が特徴だ。昨年行われたAFCフットサルアジアカップクウェート2022ではゴールこそなかったが、前線で起点となり日本代表のアジア制覇に貢献した。
プレーオフ決勝・第1戦でも、右に左に流れながら相手の激しいマークに合いつつも決してボールを失わずに高い位置で起点を作り出す。いつものように愚直に──。
しかしそれこそ平田が仕掛けた罠だった。
「あれはわざとです。あのスペースに行きたかったので、止まるふりしてそこから回った。あそこでキープすることが多いし、その前にも何回かキープしてボールを返すプレーをしていた。止めた瞬間に(プレスが)くるなと思った」
おそらくマークについていた皆本も平田にボールが渡る瞬間「キープする」と思ったはず。平田が足を止めたところに狙いを定めてアタックする準備をしていたのだろう。そこをうまく逆手にとって反転したことで、平田は半歩だけ皆本の前に出ることができた。
緊張感もある決勝の舞台で、冷静な判断から先制点をもぎ取った名古屋のエース。第2戦ではどのような駆け引きを見せてくれるのか。平田のプレーに注目だ。
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