更新日時:2023.03.20
【全日本選手権】タイトルへわずかに届かずも、やり切った表情でキャリアを終える鍛代元気。「クラブにタイトルを残したかった。ただ、やることはやった」
PHOTO BY高橋学
19日、JFA第28回全日本フットサル選手権大会の決勝が駒沢オリンピック公園総合運動場体育館で行われ、湘南ベルマーレとフウガドールすみだが対戦。湘南は第1ピリオド終了間際に先制しながらも、第2ピリオドに追いつかれ、延長戦で逆転弾を喫して敗戦。タイトルへ惜しくも手が届かなかった。
シーズン開幕前に今季限りでの現役引退を表明していた鍛代元気は、このラストマッチでクラブに初のタイトルをもたらすことはできなかった。ただ試合後、サポーターからは最後まで走り、戦い抜いた彼を讃えるように大声援でチャントが歌われ、名残惜しそうにピッチからスタンドを見上げた鍛代。
熱いサポーターに見送られ、キャリアの幕を閉じた鍛代の率直な思いとは。
試合後のミックスゾーンで、鍛代元気が取材に応じた。
ずっとチャントを聴いていたいと思いピッチに残っていた
──今の気持ちを教えてください。
「終わっちゃった」という気持ちで、それ以外の感情が追いついてないです。悔しいですけど、どちらかが勝ってどちらかが負ける勝負の世界なので。向こうは向こうで岡村康平らの引退や退任を発表しているオギさん(荻窪孝監督)が最後ということもあって、こちらも負けられない戦いというなかでの結果で、(試合が)崩れたわけでもないですし、勝負の世界で生きているわけなので仕方ないですね。(すみだに)ちゃんと「おめでとう」と言いたいです。
結果は良くなかったですけど、最後にオカとやれてよかったですし、ピッチで同じ時間を共有できたことは嬉しいです。最後に「お疲れ」と言い合ってました。
──今日は多くの湘南サポーターが会場に詰めかけていました。
そうですね。決勝に連れて来てもらったというか、連れて行ってあげられたというのか分からないですけど、だからこそ勝ちたかった……。悔しい。本当に悔しいですね。
僕のフットサル人生は終わりますけど、僕は今度そっち側(サポーター)に回ると思うので、FもJも一緒にタイトルを取りにいきたいです。
──シーズン開幕前に引退を表明して、この1年どんな心境でプレーしてきましたか?
それが今まで通りのシーズンを過ごして来れたと思っています。引退の理由にもあるのですが、自分が成長しないと限界を感じながらも、成長したいと思いながらプレーしてきましたが、そこが足りなかった。その悔しさもありますけど、中身や評価、コンディションも含めて全然悔いなくやることをやれたシーズンで、特別な試合は今日とホーム最終戦でした。
──結果を抜きにして、この全日本選手権は楽しめましたか?
そうですね。試合自体は本当に楽しかったです。3連戦なので出場時間は監督が調整してくれて、ヘロヘロになるよりもまだ体力が残っている状態でパワープレーができました。入らなかったですけど、あのピッチに立って何度かシュートを打てて、「こうしておけばよかった」というのは一切ない。「やることをやった」という感じです。
──3連戦の3戦目で、前日の準決勝は相当タフな試合になりました。試合前からコンディションはキツかったのでは?
それが朝起きたら全く疲れてないと感じました。疲れているんでしょうけど、精神が肉体を凌駕したというか、ハイになっていた。実は昨日の夜、あまり眠れなくて、寝たのかどうなのかという感じでした。試合をやってみたら疲れていたんですけど(笑)、体はハイだったので始まる前は大丈夫でした。
──最後は花束を持ちながら長い間、ピッチの上に立っていましたが。
ここまで一緒に戦ってくれたサポーターの皆さんへ、なるべく長い時間顔を合わせたいという思いで、「本当にありがとうございました」と思いながら、ずっとチャントを聴いていたいなと思って長々とピッチに残っていました。
──フットサルを始めたばかりの頃は“ヤンチャ”な選手の印象でしたがP.S.T.C. ロンドリーナに入団してから試合中の振る舞いなどが変わっていったように見えました。
僕は選手として仕事でコーチをやるのではなく、先に湘南ベルマーレのサッカースクールのコーチになったんです。コーチとして子どもたちに振る舞うようになったことでそう見えたのではないかなと思います。子どもたちに伝える立場なのにそうした(“ヤンチャ”な)振る舞いをしていたら説得力がないので、その影響がすごく強かったと思います。
──最後に湘南ベルマーレのサポーターから始まって、そのエンブレムを胸につけて生涯ベルマーレでプレーをしたこのフットサル人生を振り返っていただけますか?
クラブにタイトルを残したかった。それに尽きます。ただ、やることはやった。「もっとできたことがあった」とかは一切なく、やることをやった。「よく頑張った」と自分に言ってやりたいです。
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