更新日時:2018.09.14
【独占取材】Fリーグ選抜・高橋監督が感じたロベルト・カルロスのすごさとは。
PHOTO BY軍記ひろし
9月9日(日)、DUARIG Fリーグ2018/2019 ディビジョン1共同開催の大阪ラウンドでロベルト・カルロスはFリーグ選抜の一員としてFリーグのピッチに立った。
かつて世界で活躍したワールドクラスの選手をFリーグ選抜の高橋優介監督はどのようにして起用したのか。また、そんな世界のスーパースターから何を感じたのだろうか。大阪共同開催が終わった後、独占取材を行った。
ロベカルが示したスーパースターの在り方
──大阪ラウンドではまずは初戦の名古屋戦でいっぱいいっぱいと言っていましたが、いつ、どんな起用法をしようと決めたんでしょうか。
試合中に調整して整えてという感じです。誰と使おうとかどうやって使おうとか全然で。サッカーだと左サイドバックでどっちに入ってプレーできるのかなとか。本人と話したら左サイドがいいと言うので、それは僕らが合わせなければいけないし。
サッカーだったら自分の目の前に人がいるポジションにいたたわけだから前にピヴォがいた方がいいんだろうなとか。ですけど最初はあえて[4-0]のところに入れてみたりして、2回目のところは左と左の関係になってしまいますけど(新井)裕生が視野に入っている方が一緒にいて安心できるかなとか。もしポジションが重なってしまったら新井選手が調整してねという感じです。
──現役時代の時のような慣れている状況を作り出した。
そうですね。できるだけ見ていた光景のような近い状況を作ってあげた方が。例えば自分の目の前にいたピヴォの選手がいなくなったら自分は上がっていくとか。そういう画というのはたぶんサッカーでもあると思うんですよね。自分の目の前のスペースが空いていてチャンスだと思ったら行くというのは、やれるかは分からないですけど引き出せるんじゃないかなとは。
あと、守備の面に関しては動けないかなというのがあるのである程度補わないといけないというのがあると思うので、その辺の組合せもやりながらですね。走れる選手とかの組合せを考慮して、3回しか出ていませんけど2回目3回目はある程度このメンバーでできるという組み合わせで出しました。だからそこまで細かい指示は出せないですね。
──それでも結果を得点で出すのは改めてすごいですよね。
そうですよね。1点目の場面、フットサルでは自分のいる方にドリブルで運んできたら前にボールを受けに行くというオーソドックスなルールがあるんですけど、それがタイミング的にゴール付近にいたからディフェンスもいないし、パスも来る良い所にいたなと(笑)。
──そのあと追いつかれましたがもう1点決めて勝利に貢献しました。
やっぱりすごいですよね。焦ることもなく、自分であの場でやれることをきっちりこなすと言うか。でも、一緒に出ていた選手も反応してやっていたのはすごいなと思うんですよね。ある程度割り切ってここはこうしたらいいとフィールドの4人か対応してやれていたんじゃないかなと思います。
──正直、体は重そうでトラップミスした時は怪しい空気になりましたが……。
そうですね、それでも点を取れてしまうのですごいなと。
──あれがワールドクラスという感じでしょうか。
気持ちの持ち方とかもしっかりしていると思いますよ。何点ゴールを取ろうとか、どういう心境かはわからないですけど勝つために今、自分ができることを意識してプレーしていたんだなというのは感じますね。
──ピッチ外でもよく声を掛けていましたよね。
前半、北野選手のところで変な形で失点してしまったんですけど、その後「まだ20分あるんだから気にするな」と声かけたりとか。そういうところも、自分はすごい実績があってスーパースターな選手なんですけど、若い選手に対してもスタッフに対してもリスペクトあるというか。一人と一人の関係としてコミュニケーション取ってくれてるなというのはすごく思いましたね。後半も「使い方も試合に出る出ないも含めて全部任せるよ」と言ってくれたので、「じゃあわかった。こっちで考えて出すよ」と。
──「もっと俺を使えよ!」とかそういうのはまったくなかったんですね。
「このゲームは勝たなければいけないというみんな同じ目標でいるので、そのために向かって俺は与えられたことをしっかりこなす」という話をしました。
──相手がパワープレーを始めて、恐らくもう自分の出番はないとわかっていてもベンチから鼓舞したりと仕事を全うしようとしているように見えました。
そうですね。ハーフタイムでもロッカーで「今日のゲームは絶対に勝つんだ」というやはり一流でいて、獲得できるタイトルを獲得してきたじゃないですか。そういう勝者のメンタリティというのはあるんだなと思いましたね。
──ハーフタイムのロベルト・カルロス選手はどんな様子だったんでしょうか。
座ってみんなと一緒に話を聞いて、特に発言はなかったんじゃないんですかね。円陣の時に「相手に絶対負けちゃいけない。怖がるな」とかそういう簡単な声掛けはありましたけど。
──ちゃんと座って指示を聞いていた。
はい。タイムアウトの時も身を乗り出しながら作戦ボード見ながら、すごく聞いていましたね。
──本当に、イチ選手として勝つために試合に臨んでいたんですね。
そうですね。僕もそこまで気を使ったことはしてないと思うので。(笑)ミーティングにも入ってもらって、普通に話しながら。みんなに“ホベルト”(ポルトガル語でroはホと発音)って呼んでくれって言っていたので「ホベルトが出ている時はこうしようね」とかミーティングで言っていましたね。大丈夫なのかなと思いながらも、でもそれは必要なことで、本人もしっかりゲームに集中できるから良いのかなと。
でも改めて、勝ちに行く姿勢がブレないんだなと。「自分が」ではなくて「チームが」というのを第一に考えるのでやっぱりすごいなと思いますね。ただ、僕も後半はもう一度見たかったので使ったんですけど。(笑)点決めたらもう一回見たくなるじゃないですか。「もう一回あるんじゃない?」って。なにより出したいですしね。僕も見たいですし。
──その結果もう一回ゴールはありましたし、そうでなくても純粋に見てみたいですしね。でも、さすがにスタメンでの起用は厳しかったんでしょうか。
ある程度人が出ていて外から見てもらってどういう選手かそれぞれ特徴を見てもらって。通訳の人と話していて、最初からはやはり入れないという話もあったので。相手のこともありますし。相手も一通りの選手が出てからの方がいいと思ったので、それからですね。
──改めてロベルト・カルロス選手から何を得ましたか。
まず、お互いを尊重し合うというのが大事かなと。お互いが何ができてできないとか不得意なこともあるんですけど、その選手が何ができているとかその特徴的なものの悪い面も良い面も理解してあげるというところはすごく。そんなことは言ってませんでしたけどそういう部分は感じさせられましたね。
弱い面がプレー中に出てしまうと選手ってそれではダメなんだって思いがちですけど、たぶん、ロベルト・カルロス選手も全然走れないしスピードも落ちていたとは思うんですけど、それでも自分のやれることに集中してやる。周りも周りでそれに合わせてプレーして。その点で認め合っているということですよね。「そうでなくても俺らはちゃんとあなたになにか不都合があってもちゃんとフォローするし、やれることをお互いに引き出しましょうね」という関係性というのはお互いが尊重し合うところに土台があるんじゃないかなと一つ感じました。やはりどうしても弱点って人間隠したいじゃないですか。別にロベルト・カルロス選手は曝け出しているわけじゃないですけど、できないところはできないとして自分の中で認めてあげて周りも分かってあげて、でも目標はあってグループとしてそこに向かうためにはみんなが悪い面も良い面も認めてあげてプレーすることがこの仙台戦ではいい方向に出たんじゃないかなと。弱点を隠すのって苦労するじゃないですか。でもそんなのに力を使うんだったら自分のいい面とかほかの人のフォローをする方に自分のパワーを使った方が全体的にプラスの方向へ進んでいくと思うので。
もう一つは勝者のメンタリティですよね。どんな状況でも何があっても自分たちのゲームには絶対に勝ちにいくというのはすごく感じました。そういうのを体験できたなと思いましたね。
──しかもその2つをプレーで示してしまっていますからね。
だからこそ、「ああどうしよう」という素振りはないじゃないですか。お互いに信頼関係があるから。「味方がいるから大丈夫だよ」って思っているからそうなるのかもしれないですし、すごい場数を踏んでいるからそうなるのかもわからないですけど、そういう関係性は少なくとも試合後、試合終盤には出ていたんじゃないかなと思います。
やはり良くない面を隠すために頑張っているんだなとは思うことは試合中や練習中にもあるんですけど、それを出さないように努力はしなければいけないんですけどそこをお互いに認めてあげないとリスペクトし合うという部分にはならないなと。自分も認めているからでしょうね。「俺はリスペクトしてるよ」と言っていたところで、なにか悪いプレーが出たときにそれをフォローし合えるのか。そこがジョン等の意味でお互いを認め合っているかだと思うんですよね。その土台ができていれば自分のやりたいことに100%トライできると思うんですよね。本当の意味でそれができているかというのは考えさせられました。
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