更新日時:2023.10.09
【日本代表】“未知なる敵”オーストラリアに完封勝利!木暮賢一郎監督「素晴らしい相手と、非常に価値のあるゲームができた」
PHOTO BY本田好伸
フットサル日本代表は10月7日、AFCフットサルアジアカップ2024予選の初戦でオーストラリア代表と対戦し、4-0で勝利を収めた。
例年のアジアカップ予選において、日本は東アジアの各国に対して大差をつけて本戦に出場していた。ところが、開催形式が変わった今大会は、対戦経験も少なく、強靭なフィジカルをもつオーストラリアを前に苦戦を強いられた。
しかし、序盤のこう着状態を脱して、9分に吉川智貴のゴールで先制すると、13分、33分、35分に追加点を挙げたオリベイラ・アルトゥールがハットトリックを達成。この試合で日本代表デビューを果たしたGKファビオ・フィウーザも活躍し、見事な完封劇で勝ち点3をつかんだ。
試合を終え、木暮賢一郎監督に話を聞いた。
オーストラリアは、アジアのレベルを上げる存在になる
──初戦で4得点かつ無失点で勝ち点3を獲得しました。この結果は監督としても、ポジティブに受け止めていますか?
もちろんです。ワールドカップに向けた戦いの開幕ですし、例えば昨日はスペイン代表が(スロベニア代表と)引き分けたりもしていて、なにが起こるかわからないという話を、選手たちにも試合前にしていました。特にオーストラリアは久しぶりにアジアカップに出場したチームですが、過去にはワールドカップに何回も出ていますし、もともとポテンシャルのある国です。どういう準備をしているかという情報はもっていましたが、なかなか見えない部分もたくさんあったので、サプライズが起こり得るゲームだったとは思います。
そこでまずは勝つことができ、スコアも含めて、次につながるいい結果になりました。現地のサポーターやメディアのみなさん、時間帯的にもYouTubeなどで配信を見て応援してくださった日本の方も多いかと思いますが、いろんなフットサルのファン・サポーターの方に勝利を届けることができて本当にうれしいですし、感謝しています。
──これまで東アジア予選も何回か見てきましたが、明らかに今日のオーストラリア代表はレベルが違い、予選ではなく本大会で対戦するようなチームだったように感じました。初戦ということもあり、うまくハマらなければもっと難しい展開も十分あり得たのかなと思いましたが、監督から見てどうでしたか。
見ていただいたとおり、体も大きく強くてフィジカル的なアドバンテージのある選手がそろっていて、ロングボールやフィジカルコンタクトなど、強みを前面に出してきました。当然、想定はしていたので、私たちはそこに対する準備もしていましたが、素晴らしいチームでした。もちろん勝つこともそうですが、今後の成長やチームをブラッシュアップしていくことを考えても、非常に価値のあるゲームができたと思います。先ほども話したとおり、(オーストラリアは)W杯出場経験もあるチームですし、彼らもこれからどんどん力を入れてトレーニングを重ねて、アジアのレベルを上げてくれる存在になると思っていますし、手強い相手が増えたなと認識しています。
──試合終盤はボールを回して、ポゼッションを高く保つ時間が続きました。もちろん完封は意識していたと思いますが、意図としてはさらに点を取っていくためだったのか、それともある程度セーフティーに終えるためだったのか、どちらだったんでしょうか。
ボールを長く持つことに関しては、もっとブラッシュアップしないといけないと感じています。ああいう体が大きくて、フィジカルに優位性のある相手に対して、自分たちはサイズは小さくても、技術やスピードのある選手が戦力の割合を占めているので、ボールを速く動かすところに関してはこだわらないといけません。
自分がもしオーストラリアの立場だったら、次のチャイニーズ・タイペイ戦に向けてこれ以上、点差が開くことをおそらく避けるだろうと。実際に彼らはパワープレーもしなかったですし、リスクをかけるようなことをしてこなかったので、我々もあの時間に関しては回すことが多くなりました。今までにはないカルチャーではあるので、そういう展開に相手を引き込めたことは良かったです。併せて、多くの組み合わせや選手のバランスを見ることができたことも収穫でした。
GK陣がいい競争をしていることは心強い
──足元の技術が高いフィウーザ選手を起用しましたが、今日はその強みを出し切らず、ある意味、手の内を見せずに勝てたという側面もあるように思いますが、いかがですか?
ファビオに関しては、まず非常に素晴らしいデビュー戦を戦ってくれました。足元に関してはクラブと代表で使う意図やタイミングが違うのでアダプトできていない部分もあって、全体としてブラッシュアップが必要な段階です。大きなオプションとしては、GKを使う戦い方ももってはいますが、自分たちの武器を隠したということではなく、チームとしても初戦だったことや彼にとっても初めての代表でのゲームだったこともあり、リスクをどう取るかを考えた結果、使わずに試合を進めました。
──GK争いについては、監督にとってうれしい悩みでもありますね。
そうですね。ただ前提としてみなさんに伝えたいのは、よくメディアの記事でもGK陣について「帰化をした」という書き方をされますが、自分は全員、同じ日本人だと思って接しています。UEFA(欧州サッカー連盟)をはじめ、他国では少しそこでの問題が起きていますが、いわゆるズルをしたり、代表を強くするために帰化したわけではないことは改めて伝えたいです。
彼らはしっかりと国が認めているオフィシャルなガイドラインに沿って日本で5年以上生活をして、しっかり日本語のテストを受けています。我々が代表を強くするために彼らを利用するようなことは、今までもこれからも一切ありません。年齢層が高いことは事実としてあるので、今後若くていいGKが出てくることをもちろん強く望んでいますが、今、彼らがハイレベルにあって、いい競争をしてくれているのは我々にとって非常に心強いです。
劇的な変化をすぐに起こすことはできない
──国内と現地に来てからのトレーニングの成果は、今日の試合で出せましたか?
ゲーム構造をつくることは時間もかかりますし、一つずつの積み重ねで選手が良くなっていく部分でもあります。今がベストとはもちろん言えないですが、監督は魔法を使えるわけではないので、劇的な変化をすぐに起こすことはできないと思っています。少しずつ課題を修正して、いいところを伸ばして、しっかり練習しながらですね。それでも、時間は有限ですし、限られた時間のなかでステップアップしていくことを選手に求めていかなければいけません。
日本代表チームとしてもっといい試合をしてほしいとか、たくさん点を取ってほしいとか、いろいろな期待に応えていきたいと思っています。そのために今、少しずつオプションを増やしながら一歩一歩、階段を登って成長していってるんじゃないかとは思います。
──そこは明日からの練習でもこだわっていく部分でしょうか?
まずは疲労を回復することからですね。
チャイニーズ・タイペイ戦は今日とはまた違ったゲームになると思いますが、大事なことは2つあって、一つはこういうトレーニングや試合ができる有意義な機会や積み重ねるための時間を大切にすること、そして当然相手がいますので、チャーニーズ・タイペイに対してどういう戦いをするかということ。この2つを積み上げて、いい形で予選を終えて各選手がクラブに戻れるように取り組みます。
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