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作成日時:2018.09.28
更新日時:2018.09.28

名古屋オーシャンズはどうして強いのか?前半戦で見えた王者が最強である理由とは。

PHOTO BY軍記ひろし

今シーズンのFリーグは、33試合中14試合を終えて名古屋オーシャンズがぶっちぎりで首位を快走している。13勝1分で無敗を継続し、2位のペスカドーラ町田との勝ち点差は11ポイント。30日にはその町田との天王山を控えているが、試合の結果次第では、折り返しを待たずに「リーグ1位」が“確定的”となるかもしれない。

もはや言うまでもないが、Fリーグにおける唯一の完全プロチームは絶対的な王者であり、最強のフットサルチームであることは間違いない。

では、名古屋はどうして強いのか。改めて今、考えてみたい。

プロチームなのに、ファミリーのような一体感

新戦力はバルドラール浦安から電撃加入した星翔太だけであり、ペドロ・コスタ体制3年目を迎えた今シーズンは例年の継続路線で走り出した。昨シーズンのMVP・ラファが3月の全日本フットサル選手権決勝で右膝前十字靭帯断裂などの大ケガで全治約1年の離脱となったが、入れ替わるように昨シーズンをケガで棒に振ったペピータが復帰。戦力のバランスは保たれていたが、一方で、年々レベルアップする他チームとの比較の中では、名古屋の苦戦が予想されていた。今シーズンは、優勝を逃してしまうのではないか──。

しかし彼らは、例年以上の強さで他チームを圧倒してみせた。

驚くことに、第8節でFリーグ選抜に2-2で引き分けた試合以外はすべて3点差以上で勝利している。完封勝利は2試合にとどまっているが、5点差以上も5試合ある。フットサルの見どころの一つに、リスクを背負ってゴールをガラ空きにして攻め上がる「パワープレー」があるが、その攻撃を逆手に取った“パワープレー返し”で終盤にリードを広げるケースもある。しかし、名古屋の強さにもはや疑いの余地はない。

では彼らの何が強いのか。一言でいうなら、それは「すべて」だ。技術、戦術、駆け引き、フィジカル……すべてにおいて相手を上回っていることで、彼らが後手に回る確率は圧倒的に低い。

それを可能にしているのは彼らのプロ環境であり、日々フットサルだけに専念できることは何よりのアドバンテージだろう。これまで蓄積してきたその強みが、現在のリーグ事情とも重なって顕著になっている。

その理由は2つある。

1つは、他チームが“強くなっている”ことだ。多くのチームが近年、大きくレベルアップする中で、指揮官をはじめ各チームはそれに比例するようにタスクを増やしている。「名古屋に対抗すること」だけではなく、実力の拮抗する他チームへの対策もこれまで以上に時間を費やす必要があり、かつ自チームのオリジナリティを追求するための時間もさらに必要としている中で“対名古屋”が最重要課題ではなくなったのだ。

ほとんどのチームがシーズン最初に「リーグ1位」を目標に掲げながらも、監督や選手の頭の中には“現実的なライン”というものがある。特に今シーズンはプレーオフの枠が上位5位から3位に減ったため、“名古屋以外のチーム”からいかに勝ち点を奪うのかに注力する必要性が増しているのだ。

こうした状況を踏まえると、名古屋への緻密な分析や戦略に基づく戦いよりも、自分たちが現時点で名古屋とどの程度まで戦えるのかを測る意味でも、真っ向勝負を挑むケースが多い。3回戦総当りのリーグ戦だけに、特に1巡目はその傾向が強いことも、名古屋が横綱相撲で勝ち切る試合が増えた理由だろう。

もう1つは、名古屋のチームカラーだ。かつての名古屋はそれこそ、動物園の檻の中にライオンもトラもチーターもゾウもゴリラもみんなが一緒に入っているような“超個性派集団”だった。一人ひとりのキャラクターが強く、能力の高さは折り紙付きだが、一方でそんな集団をまとめ上げるのは一筋縄ではいかない。ある意味では非常に“プロっぽい”ドライな集まりであり、どんな時でも「結果」を一番に考えるチームだった。

しかし今は、統率の取れたファミリーのようでもある。プロとしての自覚と決意、そして「結果」にこだわるメンタリティーを失うことなく、チーム全員で目標に向かっていく“優等生集団”なのだ。「チームワーク」を重んじるペドロ・コスタ監督が2016シーズンから指揮を執るようになってからは特に、その年からキャプテンに就任した星龍太がリーダーシップを発揮するようになった。

そして、吉川智貴や西谷良介、星翔太、酒井・ラファエル・良男など、経験値の高いベテランが脇を固めることで、安藤良平や関口優志、篠田龍馬といった中堅、八木聖人、齋藤功一、橋本優也、平田・ネト・アントニオ・マサノリといった成長株の選手が思う存分、力を発揮できる雰囲気が生まれている。

いわゆるトップリーグの助っ人外国人は“我が強く扱いづらい”という印象もあるが、名古屋にそれは当てはまらない。現在、トップに所属しているペピータ、ヴァルチーニョ、ルイジーニョについては、選手やスタッフが「本当にいいやつら」と口をそろえ、星龍太も昨シーズンの優勝後に「名古屋はプロだから“仕事”と捉えられるのが普通かもしれないですが、それを超えた家族のような関係性になれている」と話していた。

“名古屋以外のチーム”が拮抗する中で、すでに突出する名古屋が“さらに上”を見据えて強化を進め、その上さらに、チーム力、つまり一体感も加えた。だから名古屋は、ぶっちぎりで首位を走っているのだ。

“名古屋1強”の勢力図がこの先、塗り変わることはあるのだろうか──。

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