更新日時:2021.09.09
【日本代表/WEB取材】決戦は6日後。仮想アンゴラに「イニシアチブ握れた。初戦ワクワクしている」ブルーノ監督
PHOTO BY松岡健三郎
FIFA フットサルワールドカップ リトアニア2021まで、いよいよ1週間を切った。14日のアンゴラ代表との初戦に向け、大会前最後のオンライン取材が8日に行われた。
日本は12日に現地リトアニアに入り、8日に行ったモロッコ代表と非公開の親善試合では3-0の完封勝利をおさめた。8月7日から始まった欧州遠征での親善試合の日程と結果は以下のとおりだ。
8月18日 ● 2(0-0)3 ポルトガル代表
8月19日 △ 2(2-1)2 ベネズエラ代表
8月24日 ● 1(0-2)2 アルゼンチン代表
8月28日 ○ 1(0-0)0 ベトナム代表
8月29日[中止]グアテマラ代表
8月31日 ● 0(0-1)2 スペイン代表
9月 7日 ○ 3(0-0)0 モロッコ代表
仮想アンゴラであるモロッコを3-0で破った翌日、充実の表情でオンライン取材に臨んだブルーノ・ガルシア監督はモロッコ戦までの準備期間を総括し、本大会へ向けての手応えを語った。
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我々の色はコレクティブに主導権を握ること。皆さんにも誇りを感じてほしい
昨日のゲームは完勝と言えるものでした。モロッコは、2020〜21年で29戦27勝1敗1分けという成績を残している強敵です。彼らの特徴や強さを知りつつ戦った結果、守備、攻撃、トランジション、セットプレーのゲーム全般で我々がイニシアチブを握ることができ、内容、結果ともにポジティブな試合でした。
──モロッコ戦はW杯前最後の試合ですが、これまでの5試合とは何か違うテーマを持って臨んだのでしょうか。
まず、試合ごとに対戦相手が異なるので、毎回同じテーマということはなく、ゲームプランもその都度異なります。一方で、我々が今まで取り組んできたことの上積みや改善を行うことは、どの試合でも普遍的なこととしてあります。そのなかで昨日のモロッコ戦についてですが、モロッコは「アンゴラに似ているチーム」ということを念頭に入れて、初戦のイメージを持って戦いました。
──本番の選手起用について教えてください。これまでの親善試合では3つのセットをある程度均等に起用していましたが、本番も同じですか?
選手起用は、ここまでの準備期間と大会本番で変わってきます。ここまでの準備期間に関しては、選手たちのゲームリズム、ゲームフィットネス、ポジションバランスの側面で、それぞれの選手が満遍なく刺激得て「出場している」という感覚を掴んでもらうためにも、3セット起用を意図的に行なっていきました。ですが、先ほども話したように試合ごとに相手が異なるので、そのゲームでの狙い、特徴や進行によって起用方法は変わります。あらかじめルールを決め「3セットで起用法をしましょう」という考え方に縛られることはありません。本番においても、その時の必要性に応じた起用になると思います。
──初戦のアンゴラ戦は日本のファン・サポーターも大いに注目しています。どんなフットサルを見せたいですか?
久しぶりの公式戦を戦う姿を皆さんに見せられることは喜ばしいですし、私たちもワクワクしています。モロッコ戦でも実現できたように、あらゆる局面でイニシアチブをとる日本を見てほしいです。例えば、攻撃では3-1と4-0にシステムを変えながらイニシアチブを取るところ。守備ではプレッシング。ボールを失った時は、すぐに切り替えてボールを奪い返しトランジションを起こすところ。セットプレーでは相手を危険に晒す。「全員が一体となりコレクティブにゲームを進める、そこでイニシアチブを取る」ことが我々の強みです。タレントを光らせることが強みのチームもありますが、我々の色はコレクティブに主導権を握ることなので、そこに皆さんも誇りを感じてほしいです。
──大会前最後の試合での勝利は、選手の心理にも良い影響がありそうですが。
もちろん勝利をすると、ポジティブな心理作用があると思います。ここまでの継続的な取り組みをゲームで発現できたこと、それが右肩上がりに積み重なり勝利に結びついたこと、しかも相手は今までとは違う特徴の相手だったことが、この勝利のポジティブさに拍車をかけています。ただ、繰り返しになりますが、これまでの延長線上に昨日の勝利があるので、積み上げを確認できたという意味でポジティブに思っています。
──ベトナム代表監督時代から日本をスカウティングし、課題を感じていたと思う。就任から5年間で日本に伝えたかったメソッドをどこまで伝えることができましたか?
この5年間、自分の考え方やフットサルのモデルをメソッドとして注いできましたが、その成果についてはまだ評価できる段階ではないと思います。W杯の結果を受けての振り返りが評価のタイミングになると思います。ただ、満足している部分があるとするなら、ここまで辿り着いたプロセスです。日本代表のスタイル、これはピッチで見せるスタイルではなく、代表チームをどうやって作り上げ構成していくかの仕組みという意味でのスタイルを、発現できたという点です。例えば、ラージリストを作りフィルタリングをかけ、世代バランスやポジション別に層を作り、というような中長期の仕組みのことで、日本サッカー協会のスタッフと協力しながらこの構造を作れたことはすごく満足していますし誇らしいです。他国の代表やリーグも見てきましたが、強豪国のそれに迫る構造だと思います。
──W杯で日本はどんな新しい刺激を受けとるべきでしょうか。
AFCも公式大会ですがW杯は最終目標です。この大会で経験したことは、その国の歴史を変える力があると思っています。優勝経験国はブラジル、スペイン、アルゼンチンの3カ国ですが、優勝という経験だけでなく、それぞれのレベルにおけるそれぞれのチャレンジに対する経験が、その国の歴史を変えるきっかけになったのを、これまで私も見てきています。前回大会で私が率いたベトナムもそうでしたし、中米カップにおけるペルーもそうでした。このW杯で私たちは「主役になって勝ち進むこと」を狙っていますが、どのような成績になろうと改善点はあるものです。「こういうことがあって、だから私たちはこうしたい」というような声が、今大会がメガホンのような役割を果たして大きくなって、推し進めていけるようになる。そういうような刺激を受けることを期待しています。
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