更新日時:2021.09.16
【アンゴラ戦翌日WEB取材】ブルーノ監督がW杯初戦で感じた手応えと課題。「4つの失点は私たちの問題が出てしまった」
PHOTO BYFIFA/Getty Images
9月15日、アンゴラとのW杯初戦を8-4で勝利した翌日、日本代表選手数名とブルーノ・ガルシア監督がオンライン取材を行なった。
アンゴラ戦は、12発が入り乱れる打ち合いに。日本代表にとっては、9年ぶりのW杯ということで、ほとんどの選手が初めてW杯を戦うことになった。そんな中、難しいW杯初戦を勝って終われたことはとてもポジティブなこと。しかし4失点してしまったという課題は事実としてある。
このアンゴラ戦を指揮官はどう分析しこれから続くスペイン、パラグアイとの試合にどう生かしていくのか。グループ一番の強敵・スペイン戦へ向けての展望も語った。
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普段では考えられないエラーが重なった
──アンゴラ戦を振り返ってください。
初戦らしい難しい雰囲気の中、選手14人のうち12人が初。スタッフにおいてもベンチに座った8人のうち7人が初めてのW杯という舞台で、勝ち点3を取れてスタートできたことは非常に大きかった。当然、改善すべき点はありましたけど、うまくゲームをコントロールしながら勝利をもぎ取ることができた。当面の目標としているグループステージ突破に向けて、大きな第一歩を踏み出せたと思っています。
──去年開催されていれば代表選手になり得なかったオリベイラ・アルトゥール選手が4得点を決める活躍を果たしました。彼の評価は?
パフォーマンスに関しては、当然ですが満足しています。アルトゥール選手はセットプレーを中心にゴールを取っていましたが、セットプレーというシチュエーションは、相当取り組んできたもので、私たちが勝利の鍵にいつも持っています。アルトゥール選手という、フィニッシャーとしてのスペシャリストがうまく機能したからこそ、そういうゴールに繋がったという位置付けです。仰ったとおり、去年でしたら(まだ日本国籍を取得していなかったので)彼はいなかったわけですけど、われわれがセットプレーを武器としている側面は変わらない。彼がいないケースを考えたとしても、他の選手がフィニッシャーの役を買って、受けてもらっていました。昨日に関してはアルトゥール選手調子が非常に調子が良く、われわれの武器であるセットプレーの好機をうまく生かして、ゴールを決めてくれたということですね。
──星翔太と龍太が兄弟でW杯のピッチに立ったが。
兄弟で初めてW杯に出場して、しかも2人ともゴールを決めたということで、われわれにとっても心情的な影響を与えるファクターだった。他国を見回せば、パラグアイにも兄弟がいますし、過去にも兄弟で代表に呼ばれてW杯に出ているという例はありますけど、決して多くはない。そういう中で、兄弟揃って出てゴールを決めるということは、非常に素晴らしいこと。おそらく星家にとっては、生涯代々続く“メモリー”になるんじゃないかと思います。
──清水和也選手は懸命に前線で頑張っていた。それから、清水選手よりさらに若い毛利元亮選手はあと少しでゴールという惜しいシーンを生み出し、らしさを出していたと思う。2人の評価は?
2人については、非常にパフォーマンスが良かったなと評価して、満足しています。2人ともピヴォという、専門性が高くわれわれにとって大切なポジションの選手です。2人は同じポジションの選手なので、一緒に出ることはないですが、清水選手に関しては、これまでも中核を担って稼働してくれていて、アンゴラ戦でも期待通りのパフォーマンスをしてくれたと思います。
毛利に関しては、初めてのW杯という中で、仰ったようにらしさを出し、エネルギッシュに思い切ったプレーをしてくれていました。2人ともそうですが、試合を重ねるにつれてさらに成長してくれる。そう確信できる試合でした。
──清水選手について、「自分がなんとかしてやる」という気負いを感じたが。
色々な心理的要因もあり、モチベーションがエクストラにみなぎっていたことは、間違いないと思います。彼の立場になってみれば、スペインでプレーしていて、国際的にも知られるようになった選手。そういった状況の中で、初めてW杯に出場するということで、それに見合ったものを出さなければいけないということがあった。場面によっては「もう少し冷静さがあれば」という場面もありました。ただ、W杯に初出場し、成長していく上では、それに応じたものを支払わなければいけないと思っています。経験はタダで手に入らないと思っているので、その部分をきちんと積めたという意味で良かったと思います。
──今大会から新しく導入されたビデオサポートを第1ピリオドと第2ピリオドでそれぞれ使いました。使ってみての感想や期待感は?
「個人的な意見」と「事実」の2つでお答えできればと思います。まず個人的には、本来は必要なければいいなと思っています。審判の仕事というのは非常に難しく、われわれチームスタッフと同じように、生のものをジャッジして進めていく、ゲームをサポートしていくことがある大変な仕事です。協働する仲間の仕事をリスペクトする気持ちがあれば、こういうシステムは本来はなくてもいいんじゃないかと思います。
一方でテクノロジーとしてこういうものがあるということは、その審判の判断・決断を助ける。仕事をやりやすくするという側面で捉えれば、これはポジティブなことに使えますし新しいものとして受け入れなければいけないと思います。その上で受け入れるということで、このテクノロジーの趣旨を理解しながら、駆使できるようになることが重要なポイントになる。それを使いこなすことが今大会の新しい要素なんだろうなと捉えています。実際、そういうことができるかで1点取れるかどうかに関わってくる。実際、アンゴラ戦でも第1ピリオドの終盤に、使う場面があったのでそれがアルトゥール選手がゴールを決めたFKにつながっている。そういう意味では、新しく導入された一つの要因として、上手に使いこなすことがポイントだと思っています。
──国際親善試合でなかなかゴールが決まらなかったなか、8点が決まったことはとてもポジティブなことだと思う一方で、もったいない失点を喫してしまったが。
そうですね。4つの失点に対しては、相手の強みが光ったというよりも、私たちの問題が出てしまったと思っています。1失点目の自陣深いところでボールを奪われるプレー。2失点目のキックインではマーク調整がうまくいかず、セカンドポストできれいに合わせられてしまった。3失点目はオウンゴールですし、4失点目はゴール前でボールを不用意に逸したことで始まった失点でした。普段では考えられないエラーが重なったわけですが、このへんは実に初戦らしい。先ほど話したW杯での経験不足が、メンタル面に響いているのかなと思います。こういうミスが起きてしまうとこの先難しくなりますが、その辺りは今回のゲームで修正していきたい。
──次の試合へは、改善点が見つかった中で臨めそうですが。
次もその次のパラグアイ戦も、よく知っている相手です。これまでに国際親善試合で対戦しているので、お互いを知り合っている。戦い方としては、これまで通り自分たちの強みを生かすことをメインに、先ほど挙げた場面で見られたようなミスを修正して、戦っていく。それぞれ戦術的に非常に長けているチームだと思いますので、戦術的に見てもビッグゲームになるんじゃないかと思います。われわれとしては、良いコンディション、良い調子で臨めるかが大事になります。
──次戦、W杯でスペインと対戦するということで、感慨深いものはありますか?
当然だと思いますけど、自分にとっては、心情的な要因が加わるゲームです。相手のサポーターももちろん、われわれを支えてくれる多くのサポーターがいますけど、その中で自分はさらに「勝ちたい!」という気持ちを強く持てていると感じています。この試合は、大会の中で引き続き成長していくという意味でも、非常に大事な試合。目標となるスループステージ突破に向けても、重要な試合になる。このエクストラなモチベーションをそのパワーに変えたいです。
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